さて話を戻す。QX9770の投入は3月頃にずれ込んだ模様だ。当初は1月上旬という日付が流れていたが、これが伸びた最大の理由は、AMDのPhenomが脅威でなくなったから、というあたりだと思われる。現在発売されているPhenom 9500/9600の性能はKentsfieldのQ6600あたりに及ばないレベルであり、急いでYorkfieldを投入する必要は無くなってしまった。またQX9770は公式にはX48チップセットが必要になるが、まだマザーボードメーカーはX38搭載製品を絶賛発売中なのであって、それを押してまで新チップセットを投入するのは賢明とは言いがたい。おまけにX48のチューニングも全然進んでおらず、それであれば多少時間をとってクオリティを上げてから搭載したほうが確実である。QX9770に続き、第二四半期(おそらく5月以降)にはQX9775も投入されるが、これはLGA771パッケージのSkullTrail向け。LGA771という形状から判るとおり、Quad Core Xeonそのままである。ハイエンドのCore 2 Extremeに関してはこのQX9775が最後で、続くBloomfieldでこの名前を継承するかは現在まだ未定のようだ。

さて、メインストリーム向けとしては、恐らく1月のCESのタイミングでE8200~E8500のCore 2 Duoと、Q9300~Q9450のCore 2 Quadが発表される。ただ、どうもQ9300~Q9450に関しては、実際に製品が投入されるのは3月あたりまでずれ込む(E8200~E8500は1月に投入される模様)ようだ。この理由としてFSB周りの不具合という報道も一部にはあるが、今のところ筆者は複数のルートではこれを確認できていない。まぁ上記と同様、急ぐ必要も殆ど無いということだろう。これに伴い、Kentsfieldは第1四半期一杯、Conroeは第2四半期一杯あたりでメインストリームの座から退く事になりそうだ。また第3四半期(8月位?)に、Wolfdaleベースの新しい製品(キャッシュを3MBに制限したもの)が投入される模様だ。Processor Numberは5000番台と聞いているが、まだ最終決定ではないようだ。これは従来のAllendaleベースのE4300~E4700の後継となるもので、FSBが1066MHzとなる。まだ周波数のレンジは確定していないが、ConroeとWolfdaleが本質的には同一アーキテクチャであり、性能がほぼ動作周波数で決まる事を考えると、製品レンジとしては1.86GHzから2.93GHzあたりを狙うことになりそうだ。これに伴い、AllendaleベースのE4000シリーズは年末まで次第に数をへらしてゆくことになるだろう。

ところでパフォーマンスセグメントのみならず、メインストリームの上位にも、2008年末にはNehalemコアの製品が投入されるとされている。パッケージはLGA1366という全く新しいもので、4コアを集積したものになる模様だが、これがハイエンド向けはともかくメインストリームまで本当に導入できるかは筆者は今のところ疑問視している。従来と異なるプラットフォームだから、マザーボードメーカーにも相応の準備期間が必要だし、検証のための期間もそれなりに必要となる。今年のCeBITで1枚もサンプルが見つからないようだと、かなり怪しいというところ。まぁこのあたりは春のIDF Chinaでもう少し明らかにされそうだ。

最後がエントリーである。非常に微妙なのがPentium Eシリーズであるが、これは最終的にエントリーの分類になりそうだ。このPentium Eシリーズ、どうもE2200で打ち止めということになり、Wolfdaleなどで継承してゆく予定はなさそう。というよりも、Pentiumの名前そのものが継承されない事に決まったようだ。その代わりといってはナンだが、1月中には遂にCeleronブランドのDual Coreが投入される。これがCeleron E1200で、更に第3四半期あたりにはE1300も投入される模様だ。要するにPentium Eブランドが、Celeronに飲み込まれる形だ。ただPentiumブランドは2008年一杯は維持される(つまりE2000シリーズが引き続き販売さえっる)模様だ。勿論Single CoreのCeleron 400シリーズも引き続き併売されるが、E440の上にどこまで上がるかは未知数である。このあたりはAMDのSempronの動向を眺めながら、ということではないかと思う。

その下にあるCeleron 220とかCeleron 215というのは、Basicの分類になる。これは何か? というと、マザーボードと一体になった製品。Celeron 215はD201GLYに、Celeron 220はD201GLY2/D201GLY2Aにそれぞれ搭載されているものだ。同社のページでは"μATX"なる表記になっているが、要するにMini-ITXベースの製品で、AMDのGeode NX同様にVIAのC3/C7マーケット狙いのもの。このマーケットはそういうわけで自作向けとはちょっと無縁のものだが、2008年後半にはここにDiamondvilleなるプロセッサが投入される。これは要するにUMPC向けにIntelが開発中のMenlowコアを転用したものの様だ。詳細はまだ決まっていないが、恐らく1GHz強の動作周波数になるだろう。性能的にはC7と同程度、というあたりになるのではないかと想像される。