【特集】

デュアルコア大研究 - アーキテクチャから消費電力まで

9 ベンチマーク - 消費電力

 

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ここまでで一通り性能面での検証は終ったが、もう一つテストを行っておきたかったのが消費電力。以前のレポートにも書いたが、Pentium DやPentium XEの発熱はちょっと恐ろしいものがある。例えばPentium 4 670の場合、TDPは115Wということになっているが、(ヒートシンクが強力な事もあってか)発熱はあまりたいした事がなく、あまり115Wを実感することはない。ところがPentium D 840とかPentium XE 840は130WのTDPという事になっているが、ちょっと冷却が甘いとすぐに保護機能が働くほど発熱するとか、正常に取り付けていてもヒートシンクがかなり熱いとか、15WというPentium 4 670との差以上に発熱がある気がする。実際のところTDPはある程度マージンを載せた値だから、実際の消費電力はもう少し少ない筈なのだが、ハイエンドプロセッサが押しなべて同じTDPの値だと、「では実際のところはどうなんだ?」というのは気になるところだ。

ということで、実際に消費電力を測定してみる事にした。測定方法は以前この企画実施した時の様に、電源とマザーボードの間にテスター(電圧測定用)とクランプメータ(電流測定用)を挟み、結果を別のPCでサンプリングするという方法である。ただ今回の測定対象(特にCPU周り)は何れも3.3V/5Vラインをあまり使っておらず、殆どが12Vラインである。そこで測定も12Vラインに絞り込んでの測定とした。測定対象は

  • マザーボードへのATX電源コネクタ(24pin)の12Vライン
  • マザーボードへのATX12V電源コネクタ(4pinないし8pin)の12Vライン
  • ビデオカードへの追加の電源コネクタの12Vライン

で、これをまとめてクランプメータで測定している。測定パターンは、前回の

  • Windows XP起動
  • Sandra 2005 CPU Arithmetic Benchmark

に加え、今回は

  • 3DMark05 Game Test 1(1024×768pixel)も加えた。

さて、まずグラフ27がWindows XPの起動である。Pentium系が非常に起動時間が遅いのは、D955XBKがBIOS ROMをSerial Flashに格納しており(従って読み出しが遅い)、更にEFIベースとなっている関係で、処理が遅いことに起因する。そもそもWindows XPの起動画面が出現するまで、Athlon 64系だと10秒そこそこなのだが、Intel系だと30秒以上かかる。加えて言えば、Athlon 64系はデスクトップが出現してから一旦アイコンが砂時計付きになるまで10秒未満、その砂時計が消えるのに5秒強で済むのに対し、Pentium系では砂時計が出現するまで30秒強、そこから消えるまで更に30秒弱かかっており、結果としてブートの時間は1分半以上余分に掛かっている。「何をやっているのか?」は不明だが、同じIntelのD925XECV2や、MSIの915G Combo-FRを使っている時にはもっと全体的にきびきびしていたから、この遅さはD955XBK自体に原因がある可能性が高い。

グラフ27

まぁそれはともかく、気を取り直してみてみるとちょっと面白い傾向がわかる。Pentium系の場合、電源投入直後に一番消費電力が高い。つまり、電源On→POSTの過程で、デュアルコアはどちらもフルスピードで動作していることになる。この結果、ブートの際には最高170W近い消費電力になっているわけだ。ところがAthlon 64 X2の動作を見ると、ピークはPOSTが終了した後、つまりWindowsが起動するタイミングの様だ。Pentium DやPentium XEもWindowsが起動した直後から(ちゃんとプロセッサドライバが動くためか)ガンと消費電力が落ちるが、それまでの間がフル稼働気味であり、対してAthlon 64はピークになるのがWindows起動からプロセッサドライバがロードするまでの僅かな期間であり、このあたりも消費電力を下げるのに役立っているといえる。

で、起動後の平均消費電力もやはり大きく異なる。表3に、電源投入直後から起動完了までの間の平均消費電力と起動に要する時間、及び起動後の平均消費電力をまとめてみたが、圧倒的なまでに消費電力が違うのがお分かり頂けよう。ちなみにベンチマークを計る関係で、AMDのCnQやIntelのC1E/EISTは何れもDisableである。「EISTはともかくC1Eは不公平では?」という意見もあろうが、C1EをEnableにすると性能が落ちるし、そもそもAMDの方はC1Eに当たるものはないから、今回はこの条件で行っている。これらの消費電力のなかには、チップセットやビデオカードに行く分もある(メモリは通常3.3Vラインを使うから、ここには入らない)からこれが全部CPUという訳ではないが、それにしてもAthlon 64系とPentium 4/D/XE系の消費電力の違いには驚かされる。

表3

Athlon 64 4000+ Athlon 64 X2 4800+ Athlon 64 FX-57 Pentium 4 670 Pentium D 820 Pentium D 840 Pentium 4 XE 3.73GHz Pentium XE 840
平均消費電力 (W) 39.3 52.7 53.0 105.9 87.3 123.7 103.2 117.1
ブート時間 (sec) 53 62 60 147 142 142 148 148
平均待機電力 (W) 30.7 38.1 43.0 83.4 63.5 93.9 76.3 85.6

ところでAthlon 64 4000+とAthlon 64 X2 4800+の消費電力の差の少なさも驚くべきだが、これはAthlon 64 4000+がNewCastle、つまり130nm SOIを使ったCG Steppingのもので消費電力が大きいためである。現在発売中のSanDiego、つまり90nm SOIを使ったE4 Steppingの製品であればもっと消費電力は下がった筈で、従ってX2 4800+との差も広がっただろう。逆にいえば、CG Steppingのコアですら、こんなに消費電力が少ないともいえる訳だ。

では、ちゃんと仕事をしたらどうなるか? ということで、Sandra 2005のCPU Arithmetic Benchmarkを実施した結果をグラフ28に示す。これまた綺麗にグラフが分離しており非常に分かりやすいのだが、流石にAthlon 64 X2 4800+も最大90W近くまで消費電力が増える。ただ、それでもピークで90Wそこそこだから、Pentium D 840の待機電力と大して変わらない。ではそのPentium D 840やPentium XE 840は? というと、最大で190Wを超えるほど。軽く100W以上上回っている計算になる。この処理ではビデオカードの負荷などしれているから、純粋にCPUの消費電力がこれだけ増えている、という計算になる。

グラフ28

ではそれだけの消費電力に見合う性能が出ているか? ということで、各々のテスト中の平均消費電力をまとめ、更にグラフ1からスコアを持ってきたのが表4になる。これを使い、消費電力1WあたりのMIPS/MFLOPS値を算出したのがグラフ29である。圧倒的に良いのはAthlon 64 X2 4800+で、これにAthlon 64 4000+が続き、高クロック動作のためかやや消費電力が大きいAthlon 64 FX-57はちょっと数字を落としているが、それでもどのIntelのプロセッサよりも効率が良い。一方Intelで一番効率が良いのは、やはり4スレッドをフルに使えるPentium XE 840であり、あとは軒並み低いスコアに沈んでいる感じだ。実際、Pentium D 820/840とAthlon 64 X2 4800+を比較した場合、いずれの場合でも性能/消費電力比が3~4倍違う(つまりPentium D 820/840は3~4倍効率が悪い)という結果になっており、絶対的な性能はともかくとして、あまりにこれは悪いスコアと言わざるを得ない。

表4

Athlon 64 4000+ Athlon 64 X2 4800+ Athlon 64 FX-57 Pentium 4 670 Pentium D 820 Pentium D 840 Pentium 4 XE 3.73GHz Pentium XE 840
Dhrystone ALU (MIPS) 11050 22380 12993 9391 10592 13017 10972 18853
Whetstone FPU (MFLOPS) 3800 7643 4436 4368 4019 4594 4537 7744
Whetstone iSSE2 (MFLOPS) 4885 9890 5701 6694 5630 6912 7789 13358
Dhrystone ALU 平均消費電力 (W) 53.2 77.3 69.5 135.4 115.8 158.2 129.2 160.6
Whetstone FPU 平均消費電力 (W) 60.1 88.7 77.2 136.0 123.9 191.6 149.1 191.8
Whetstone iSSE2 平均消費電力 (W) 57.9 84.8 74.3 129.6 115.8 169.7 138.2 180.9

グラフ29

ではCPU負荷が低ければ差が小さいか? ということで、次は3DMark05のGame Test 1を実施中の消費電力をグラフ30に示す。120秒前後でびたっと谷が来るのは、3D画面を動かすテストはここで終わるめだ。その後30秒強消費電力が変動するのは、フレームレートを集計してスコアを算出する処理が行われているためである。さて、グラフを見ると先ほどとはちょっと傾向が異なっており、FX-57とX2 4800+、あるいはPentium D 840/XE 840/Pentium 4 XE 3.73GHz/670の結果がかなり接近している。相対的にCPUの負荷が減り、ビデオカードの消費電力が増えた結果だとは思うが、それでも相変わらずPentium D/Pentium 4系とAthlon 64系の間には60W前後の消費電力の差が存在している。この、実際にGame 1が起動してから終了するまでの間の平均/最大消費電力と、Game 1の結果をまとめたのが表5、ここから「消費電力1Wあたりのフレームレート」を算出したのがグラフ31である。一番スコアが良いのがAthlon 64 4000+というのも面白い話だが、このケースでもIntel系プロセッサの電力効率の悪さは際立っている感じである。

グラフ30

表5

Athlon 64 4000+ Athlon 64 X2 4800+ Athlon 64 FX-57 Pentium 4 670 Pentium D 820 Pentium D 840 Pentium 4 XE 3.73GHz Pentium XE 840
GT1 - Return To Proxycon (fps) 27.2 27.3 27.8 26.4 25.2 26.3 27.1 26.1
平均消費電力 (W) 87.0 117.7 120.1 179.6 146.7 186.5 177.0 175.2
最大消費電力 (W) 90.3 122.7 125.1 184.4 152.7 192.5 182.5 182.2

グラフ31

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インデックス

目次
(1) 各社デュアルコアプロセッサ、今回はまとめて総合比較
(2) 概説(1) - CPUはなぜ"デュアルコア"になったのか?
(3) 概説(2) - 各社ラインナップにおけるデュアルコア製品の位置付けとは?
(4) ベンチマーク環境
(5) ベンチマーク - パフォーマンス(1)
(6) ベンチマーク - パフォーマンス(2)
(7) ベンチマーク - パフォーマンス(3)
(8) ベンチマーク - キャッシュアクセス
(9) ベンチマーク - 消費電力
(10) まとめ

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