【特集】

地デジのインフラ整ってますか - 意外と知られていない受信のツボ

10 地上デジタル放送受信のために必要なこと(2)

    よしのわたる  [2005/07/06]

    CATVで地上デジタル放送を受信

    地上デジタル放送の受信方法に、CATVを利用するという選択肢も存在する。すでにCATVを導入している、あるいは、集合住宅などで導入の検討をしているというユーザーも多いだろう。

    CATVでは地上デジタル放送を、3種類の方法で、再送信している。簡単に説明しよう。

    1.パススルー方式(同一周波数)
    地上デジタル放送の電波を、そのままの周波数で、CATV網を通じて再送する方式。STBの地上デジタル放送に対応したテレビやビデオなどがあれば、そのまま受信できる。アンテナを立てて地上デジタル放送を受信する場合となんら変わりはない。

    2.パススルー方式(周波数変換:CATVパススルー)
    地上デジタル放送を、別の周波数に変換して再送する方式。CATVパススルー方式に対応したチューナーが必要になる。対応した機器があれば、同一周波数パススルーの場合と同じように視聴できる。

    3.トランスモジュレーション方式
    STBからの映像/音声信号を使用している機器で表示させる方式。ハイビジョンに対応した機器ならば、ハイビジョン映像を楽しむことができるケースもある。

    最近では、同一周波数パススルー方式を採用しているCATVが増加してきている。ただし(これは、集合住宅への導入の部分で書くべきだったかもしれないが)、集合住宅への導入には、見積もりを取ってみるとわかるが、けっこう費用がかかる。筆者の住んでいるマンションで見積もりを取ったところ、3,000万円以上の費用がかかることが判明した。これでは、地上デジタル放送へ対応させるためだけに、CATVを選択するというのはコスト的に見合わない。もっとも、筆者の住んでいるマンションで見積もりを取ったのは、ケーブルテレビ事業者のCATVであったため、他の形態、例えば難視聴対策のための協聴といったケースでは異なるかもしれない。

    まとめ

    アナログ放送が終了して、いきなり今までのテレビが映らなくなったら、それこそ暴動が起こるといっていた人がいたが、筆者にはどうもそこまでの混乱は起こらないように思える(ここまで、さんざん映らない映らないと書いてきていうのも何だが……)。

    「地上波テレビのデジタル化は、ユーザーのメリットには決してならない」という人もいる。地上デジタル放送への移行は、ハードウェアのコスト負担、不便な録画システムなど、一般ユーザーにとってマイナスの面が多いことは事実だ。これを機にテレビを見なくなるという人もそれなりにいるだろう。

    しかし、メディアのひとつとしてテレビを利用している一般視聴者にとって、ハイビジョン化された放送を普通に見ることができるという環境は、決して悪いことばかりではない。もちろん、2011年までには解決しなければならない問題は多い。それでも、無責任な予測ではあるが、ハイビジョンが当たり前のものになる将来というのは、それほど悪いことばかりではないようにも筆者には思える。

    考えてみると、白黒テレビからカラーテレビへ、あるいはラジオからテレビへといった移行も、日本では比較的スムーズに進行してきた。もちろん、それらの場合は、従来のものが使用できなくなったわけではない。唯一それに近いのが、戦後すぐにGHQの命令で行われた再生検波式ラジオの禁止令だろう。再生検波式のラジオは、ちょっと調整を間違えると発振機になってしまうため、電波障害を防ぐためにこの措置が取られたが、これにより、それまで普及していたストレート式のラジオが一掃され、一気にスーパー方式のラジオに置き換えられた。従来のラジオは、その筐体のみが生かされて、スーパー式に改造されたという。

    この時、どんな混乱があったのかは、悲しいかな若輩者の筆者には分からないが、その後数千万台という、ほぼ一家に一台の割合で普及したスーパー式の真空管ラジオを考えると、今回の騒動も、まぁなんとかなるのかなぁ、という楽観的な予測が浮かんでくる。

    ※この記事は、筆者および協力者の取材、調査により執筆されています。各メーカー、放送局、電気店などが、この内容について了承しているわけではありませんので、その点お含みおきください。また、筆者に「よい電気工事店を紹介しろ」などといわれても、不可能ですので、何卒ご了承ください。

    協力 : 吉田昌弘

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