【特集】

64bit環境で試すコンパイラ - アセンブルコードに見るその実力

18 まとめ

    大原雄介  [2005/05/26]

    えらく長い原稿になってしまったが、色々と明確にすることが出来たのは幸いである。まずWindowsプラットフォームに関して言えば

    • Win32アプリケーションをそのままx64環境に持ち込んでも、性能は上がらない(か、下手をすると下がる)。
    • x64用にコンパイルしなおしたアプリケーションは、高速動作する可能性が高い。ただしそれは64bitというデータ幅に起因するものではなく、従来のx86アーキテクチャと比べて飛躍的に利用できる数が増えた汎用レジスタが貢献しているためである。
    • IntelのC++コンパイラは、比較的優秀なコードを生成する。ただ万能という訳ではなく、またx64環境に関しては今後の熟成が待たれる。とりあえず、早くVisual Studioとの統合を果たして欲しいものだ。

    といったあたりだろう。また、SUSE 9.2に関しては、32bit環境での比較が出来ないので64bit環境での話になるが

    • gccのレベルでも、32bitアプリケーションを64bitで再コンパイルするだけで、大幅に性能を上げやすい。
    • gcc 3.3.xの性能はそう悪くない。
    • icc 8.1の性能は更に良い。

    というあたりだろうか?

    とりあえずWindows XP Professional x64 Editionがリリースされた事で、これからはx64環境でのベンチマークなども増えるだろうが、既存の32bitベンチマークを使う限り、まず性能は出ないだろうということは容易に予測が付く。単にアプリケーションのみならず、ドライバ類の対応が必要なケースもあるだろうから、移行はそれほど簡単には進まないだろう。今回も、午後のこ~だの移行すら出来なかったほどだからだ。ただ、そうした苦労を乗り越えた先には、いきなり性能が飛躍的に伸びる世界が見えてきている。今まで"Officeを64bit化してどうする?"なんて言っていた筆者だが、ここに来て考えが変わった。今では一刻も早く64bit化してほしいとすら思っている。メモリ空間がどうこう、という話ではなく、汎用レジスタが増えることでプログラムが本当に高速化されることが明確になったからだ。他にも、64bit化により高速化して欲しいアプリケーションはいくつも思いつく訳で、対応が楽しみになってきた。

    ところで今回は改めてIntel C++の威力を感じる事が出来た。確かに優秀なコードを吐いてくれる。Dhrystoneと午後のこ~だ以外にいくつかのアプリケーションを(調査を兼ねて)コンパイルした感じでは、概ね互換性も高く、問題はあまり感じない。とりあえずVisual Studioとの統合を急いで欲しい、というのがIntel C++に対する現時点でのリクエストである。(Linux版については、今のままでも問題はないだろう。ただ、ダウンロードで購入をしても、処理が翌日以降になるというshop-intel.comのシステムは改善して欲しいものである。ひょっとして人手で処理しているのだろうか?)

    なお、Intelはコンパイラ以外に「Vtune Performance Analyzer」と呼ばれるパフォーマンスカバレージツールや、「Intel Thread Checker」と呼ばれるスレッド化ツールもリリースしている。実際、今回はIntel C++と一緒にVTuneとThread Chekcerの評価版も利用して、実際にパフォーマンスの改善を行ってみようと試みたのだが、なにしろDhrystoneが相手では、今更チューニングのしようがない(下手にチューニングすると、そもそもベンチマークが成立しなくなる)とか、簡単なマルチスレッド化は困難(dhry21a.cに大幅に手を入れる必要がある)といった事で、やってはみたものの有益な情報が一切出せなかったので、こちらに関するレポートは見送りとさせて頂いた。すでに1回の特集としては原稿の量が爆発していて、とても入れられなかったというのも大きな要因ではある。アマチュアプログラマにはまず無縁の存在だし、プロは当然こうしたツールの効用を知っているから、改めて取り上げる必要が薄い、という事情も関係するわけだが、もしこうしたレポートを更に読みたいという読者の方がおられたら、ぜひ編集部にリクエストをお願いしたいと思う。人気があるようなら、また改めてレポートをしてみたいと思う。

    関連記事

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン