【特集】

生まれ変わったWindows XP - SP2のすべてを知る

1 生まれ変わったWindows XP

    阿久津良和  [2004/09/01]

    9月1日に待望の「Windows XP Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載」(以下、SP2)が、長いベータテストを経てやっと発表された。今回のService Packではバグフィックスだけでなく、「セキュリティセンター」や「Windowsファイアウォール」の導入、Internet Explorerの機能アップなど、主にセキュリティ面を中心とした変更が加えられている。本来Service Packというのは、正式版公開後に発見されたバグやセキュリティホールを修正する「修正プログラム(Hotfix)」の集合体だったが、前述のとおりSP2には、多くの機能拡張が加えられている。そのためマイクロソフトは、「SP2」の正式名称を「Microsoft Windows XP SP2セキュリティ強化機能搭載」と命名したのだろう。

    これは同社におけるセキュリティ強化の方針が大きく影響している。2002年1月にBill Gates氏自らがセキュリティの強化方針を打ち出した「Trustworthy Computing」から始まり、同社CEOのSteve Ballmer氏も数多く行っている講演の端々でセキュリティ強化をアピールし、昨年末には具体的な指針を述べていた。以前からMicrosoft製OSは爆発的な普及力を持ちながら、セキュリティ面をおざなりにしてきた傾向があるとIT関係者から指摘されてきた。もちろん、それらの指摘がすべて正しいとは思えないが、これまでの同社におけるセキュリティに対しての姿勢を表す一例と言えるだろう。

    言わずもがな、セキュリティ対策が施されていないOSとなると、個人ユーザーはもちろん、会社の利益に直接影響する法人ユーザーからも見放されてしまう。そのため、Windows 2000発表以降は徐々にセキュリティ対策を意識するようにし、今回正式公開されたSP2にもかなりの時間と人材を投資して開発してきたようだ(一部では、Windows Server 2003 Service Pack 1やLonghorn開発部隊まで投入したことで、それぞれの開発プロジェクトに支障が出ているという噂も出ている)。

    このようにして生まれたSP2だが、機能拡張だけでなく仕様変更も加えられているため、若干の混乱を招いている。たとえば「Windowsファイアウォール」は初期状態で有効となっているため、セキュリティに疎いユーザーでもはじめから安全環境を提供されることになるが、大まかな仕組みを理解して使っているユーザーや、意図的に個人向けファイアウォールソフトを導入しているユーザーには無用の長物となると言えるだろう。また、仕様変更に伴い任意のソフトウェアが正常に動作しなくなるケースもありえなくない。

    これはコアWindowsコンポーネントを、マイクロソフト製コンパイラである「Visual C++」に用意されたコンパイラ オプション「/GS」を用いて再コンパイルしていることが関係している。同オプションはバッファオーバーランを検出し、リターンアドレスが上書きされていないかどうかをチェックするというもの。これを有効にすることで、未発見のセキュリティホールに対する安全性をより高めることができるのだが、出力されるコード内容が変更されてしまうため、互換性の欠落につながってしまう。

    蛇足だが『SP2をインストールしたら遅くなった』というのは、この「/GS」オプションが関係しているのではないかと思われる。そのロジック上、チェックルーチンが新たに追加されることになり、各種動作に若干のオーバーヘッドが発生する可能性が高い。そのため、体感速度レベルでは気付かないものの、Windows XP全体のパフォーマンスが若干ながら遅くなるのではないかと推測される。話は戻るが、このようにセキュリティ向上を優先させるために、これまでとの互換性を犠牲にしている面が各所で見られるのがSP2におけるもうひとつの特徴だ。

    最後に肝心の配布形態もまとめてみよう。これまでベータテストを行ってきたユーザーにはRTM(製造工程向けリリース)版がいち早く公開されたが、その直後、MSDN会員向けにも同様のバージョンが公開され、IT技術者向けはNetwork Installパッケージが、マイクロソフトダウンロードセンターから入手できるようになっている。エンドユーザー向けには必要なコンポーネントを自動判断してダウンロードおよび適用を行うExpress InstallパッケージはWindows Update経由でインストール可能だ。通常はこのWindows UpdateからSP2の適用を行えばよい。

    それでは次ページから、Windows XP SP2における主な変更点とその特徴を見ていこう。

    今回記事執筆のためにインストールしたWindows XP SP2は、ビルド2600.xpsp_sp2_rtm.040803-2158。RTM版のため、正式公開版とほぼ内容は変わらない

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