【特集】

PCテクノロジートレンド 2004 SPRING ~90nmプロセスとPCI Expressへの移行

1 高速化を阻むリーク電流の壁 - Intel CPU(1)

大原雄介  [2004/01/29]

昨年中にお届けしようと思っていたが、結局年を越してしまう事になってしまった。既報の通り、Intelは90nmプロセスの立ち上げが思うように進まず、一方、AMDも130nm SOIが未だに思うように立ち上がっていない。NVIDIAとATIは共に新アーキテクチャの投入を先延ばしにしており、一方チップセットビジネスはIntelとVIAの訴訟が和解したことと、PCI Expressの登場で新たな局面を迎えつつある。このあたりをまとめながら、順に説明してゆきたい。

○CPU

引き続きPC向けプロセッサはIntel/AMD/VIAの3社のみである。この3社について個別に説明してゆく。

CPUロードマップ

●Intel CPU(1)

Intel CPU

当初は2003年第3四半期にはリリースされる筈だったPrescottだが、「2003年中」に延び、現実問題としては今年第1四半期中のリリースが予定されているようだ。この理由として挙げられているのは2つ。

・Intelの90nmプロセスは予想外にリーク電流が大きく、このため消費電力が130nmプロセスを上回る結果になってしまい、既存のPrescott FMB1対応マザーボードでは動作しない事になってしまった。

・消費電流がかなり大きくなってしまった結果、ダイ内部の電圧制御能力でカバーしきれなくなってしまい、この結果電圧変動が規定値を上回る事になってしまった。

まず前者だが、一般にプロセスを微細化することで、動作電圧を下げる事が可能になり、結果として消費電力が抑えられる、という目論見があった。ただ、これが通用したのはせいぜい130nmまでで、90nmプロセスではリーク電流という新たな難関が立ちはだかる事になった。これはプロセスを微細化することで、トランジスタ回路の敷居が(物理的に)小さくなるため、電流が漏れ流れてしまうという現象で、これによりトランジスタ自体の駆動に必要な消費電力は低減されても、トータルの消費電力がむしろ大きくなってしまう。130nmプロセスにおいてはだいたい消費電力の10%程度がリーク電流によるものだったが、90nmプロセスではこれが60%にも上るという。この結果、仮にトランジスタの駆動に必要な消費電力が130nm→90nmで半分になったとしても、トータルの消費電力は130nmの時の12%程度増加してしまうという。

この結果、同じ動作クロックだとNorthwoodよりもPrescottの方が消費電力が大きくなるという事態に陥ってしまった。従来、IntelはPrescottの方が(同じ動作クロックなら)消費電力が下がる事を想定していたので、これは大誤算である。この結果、急遽Prescott FMB1.5なる新しい電力供給のガイドラインを策定し、マザーボードメーカーにこれを配布するという事態になってしまった。実際、一部のマザーボードメーカーはこのFMB 1.5準拠という製品をリリースしているほどだ。実のところ、Intel自身もこのFMB 1.5で急場を凌げると信じていた節がある。

ところが、話はこれで終わらなかったのである

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