【特集】

PDF再入門 - フリーツールでどこまで行ける?

9 サードパーティー製PDF作成ツールを試す(2)

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前項で紹介したように、(個人ユーザを対象とした)サードパーティー製PDF生成ツールは、仮想プリンタとしてWindowsに認識されるため、操作性という点ではあまり差がない。ここでは、機能面での違いのほか、どのプラットフォームでも同じ体裁を再現できるというPDFの約束事がどの程度守られているのか、という観点から比較を行ってみたい。

機能面の違いは?

今回テストしたPDF生成ツールは、いずれも仮想プリンタとしてWindowsに認識され、アプリケーションから直接PDFを作成できるという共通点を持つ。しかし、搭載された機能は下表に示すとおり多少異なり、無償版ながらもセキュリティ機能を搭載しているクセロPDFが頭1つ抜けた格好となっている。

とはいえ、どのサードパーティー製品も注釈やスタンプを書き加えるなどの編集機能は装備していない。Adobe PDFWriterもその意味では変わらないが、カラー設定やPDF/X-1a(印刷用途向けPDF規格)に準拠するかどうかの設定など、商業印刷にも耐えうる品質のPDFを生成するための項目が多数用意されている。商業印刷ではDistillerから生成したPDFを利用することが一般的ではあるものの、今回紹介したサードパーティー製品より機能的に数ランク上であることは確かだ。

Adobe PDFWriterの設定パネル。設定可能な項目の数はサードパーティー製品より圧倒的に多い(画面はAdobe Acrobat 7.0 Professionalベータ版を使用)

サードパーティー製PDF作成ツールの機能比較

機能いきなりPDFPrimo PDFクセロPDF
アプリケーションから直接印刷
埋め込むフォントの種類を手動で指定×
スタンプ/電子印鑑×××
注釈の書き込み×××
暗号の種類××40/128bit
パスワードの設定××
印刷/コピーを不許可××
用紙サイズの指定×
図版の解像度(dpi)スクリーン/96/150/300/60072/30072/150/300/600

フォントの処理は?

生成したファイルを他のマシンで表示するテストも行った。対象に選んだプラットフォームはMac OS X 10.3(Panther)、PDFビューアにはAdobe Reader 7.0とPreview.app(Mac OS X標準のPDFビューア)を利用している。なお、MS明朝/MSゴシック以外の日本語TrueTypeフォントについて、どのように扱われるか(自動的に埋め込み処理が行われるかどうか)を調べるため、「拝啓 海上さま」部分に使用したDFP行書体のみMac OS Xにもインストールしている。

テストの結果だが、WindowsとMac OS X(Preview.app、Adobe Reader)の両方でまったく同じ体裁の文書を再現できたのはAdobe PDFWrierのみ。なお、フォントの状況をAdobe Readerの「文書のプロパティ」で確認してみたところ、ArialBlackとArialMT以外のフォントはすべて埋め込み処理された状態だった。

PrimoPDFで書き出したPDFをPreview.appで表示したところ、日本語部分は問題なく表示されたものの、英字部分(Arial、ArialBlack)が文字化けを起こした。Adobe Readerでは文字化けせずWindowsとほぼ同じデザインで表示できたため、PDFに埋め込まれたフォント名をPreview.appが適切に処理できなかったことが原因と考えられる。

クセロPDFは(初期値では)すべてのフォントを埋め込もうとしないため、AGENDA人名S行書体L1とHG丸ゴシックM-PROは他の適当なフォント(HiraKakuPro-W3)に置換されている。なお、ArialBlackを使用した「FAX」の部分がPreview.appでは太字で表示されず、罫線はPreview.appとAdobe Readerの両方で少し太って表示された。

いきなりPDFはといえば、Preview.appでの表示はクセロPDFと同様(「FAX」が太字にならない)だが、なぜかMac OS XにインストールされているDFP行書体がHirakakuPro-W3に置き換えられてしまった。調べてみると、問題なく表示されたクセロPDFのではフォント名が「DFGyosho-LT_WINP-RKSJ-H」であるのに対し、いきなりPDFでは「DFP行書体」とWindowsのフォント名そのままになっていることがわかった。いきなりPDFで作成したPDFを配布する場合には、ファイルサイズを犠牲にしてでもすべてのフォントを埋め込み処理したほうがいいだろう。

Word 2000で作成したFAX送達状をPDF化したものをテストに使用。意図してMSゴシック以外の日本語TrueTypeフォントを使用している

Adobe PDFWriterで書き出したPDFをAdobe Reader(Windows)で表示したところ。アンチエイリアスが効いているが、ほぼ忠実にオリジナルの文書を再現できている

Adobe PDFWriterで書き出したPDFをMac OS XのPreview.appで表示したところ。非標準のフォント(行書体、丸ゴシック)は自動的に埋め込み処理されたため、問題なく表示されている

Adobe PDFWriterで書き出したPDFをMac OS XのAdobe Readerで表示したところ。Windows版Adobe Readerと見比べても、デザインの違いは見つからない

PrimoPDFで書き出したPDFをPreview.appで表示したところ。日本語TrueTypeフォントの埋め込み処理は成功しているが、ArialMTとArialBlackが文字化けしている

クセロPDFで書き出したPDFをPreview.appで表示したところ。日本語TrueTypeフォントの埋め込み処理は成功しているが、ArialMTとArialBlackが文字化けしている

クセロPDFで書き出したPDFをPreview.appで表示したところ。日本語TrueTypeフォントの埋め込み処理は成功しているが、ArialMTとArialBlackが文字化けしている

クセロPDFで書き出したPDFをAdobe Readerで表示したところ。罫線が太ってしまっている

いきなりPDFで書き出したPDFをPreview.appで表示したところ。ArialBlackが太字にならないことはクセロPDFと同じ

いきなりPDFで書き出したPDFをAdobe Readerで表示したところ。なぜかローカルにあるはずの日本語TrueTypeフォントが表示されない

フォントの埋め込み処理の比較

PDF生成ツールPDFビューアArialMTArialBlackWingdingsMSゴシックAGENDA人名S行書体L1DFP行書体HG丸ゴシックM-PRO
Adobe PDFWriterWindows
Mac(Preview.app)
Mac(Adobe Reader)
PrimoPDFWindows
Mac(Preview.app)×××
Mac(Adobe Reader)
クセロPDFWindows
Mac(Preview.app)
Mac(Adobe Reader)
いきなりPDFWindows
Mac(Preview.app)
Mac(Adobe Reader)
注 : ◎=埋め込み処理されたフォント、○=埋め込まれていないが元通り表示されたフォント、△=埋め込まれず元通り表示されなかったフォント(文字化けなし)、×=文字化け

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インデックス

目次
(1) 気づけば普及の進むPDFフォーマット
(2) そもそもPDFって何? - PDF再入門
(3) PDFを使うメリットとは?
(4) そもそもPDFって何? - PDF再入門(2)
(5) PDFWriterとDistillerの違い
(6) PDF作成ツールの現状 - OS Xではシステムと一体
(7) PDF活用の現場
(8) サードパーティー製PDF作成ツールを試す(1)
(9) サードパーティー製PDF作成ツールを試す(2)
(10) Acrobat 7.0の新機能(1)
(11) Acrobat 7.0の新機能(2)
(12) まとめ - いずれは空気になるかも?

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