【特集】
冒頭に書いたとおり、筆者はゲラ(著者校正用の試し刷り)の受け渡しにはもっぱらPDFを利用している。その理由は単純、インターネット経由で送受信すれば宅配便より圧倒的に早いうえ、FAXのように文字が潰れてしまうことがないからだ。
個人的には、FAXを使わずに済むことがPDFを使う一番のメリットだと考えている。フォントサイズにもよるが、FAXでは「ボ」と「ポ」、「バ」と「パ」など、文字を識別しにくくなってしまうからだ。実際、「ポート番号」がなぜか「ボート番号」になっていることに気付かず、ゲラをスルーさせてしまった笑えない経験もある。フォントサイズを自由に調整でき、しかもジャギーが発生しないPDFは、我々のような職業にはとてもありがたいものだ。
校正に付きものの赤入れ(訂正を赤字で書き込む作業)にも、Adobe Acrobatを利用している。注釈などを編集者にわかる形でPDFに書き込み、それをメールに添付するかサーバにアップロードするかして編集者に渡せば、著者校正は完了。ゲラに直接書き込む場合とは異なり、何度でも書き直しできるうえ、正確な情報を編集者に伝えられるのでとても効率がいい。ファイルの添付も可能なので、同時に図版を渡すこともできる。編集者と著者の両方にPCのスキルが求められるが、筆者の周りにかぎっていえばその心配は必要ない。
しかし、PDFの提出を渋る編集者もいないわけではない。なぜなら、DTPの現場ではいまなお旧Mac OS(Mac OS 8)が主流であり、PDF作成に手間取ることがあるからだ。書籍では200~300ぺージという分量はごく普通で、そんなものを作っていたら(旧Mac OSが動いている旧式のマシンでは)日が暮れてしまう、最終目的が紙であるだけに試し刷りは必ず行うので、そのコピーを著者校として送れば手間いらず、ということも本音ではあるらしいのだが。
また、フォントによってはPDFに埋め込めない仕様となっているため、紙に印刷する場合と若干デザインが異なってしまうことがある。書籍は2色刷りが多いので、あまり問題にはならないが、色校正をどうするかという課題も残る(著者に色校正させるPC雑誌の編集部はまずないと思うが)。結局のところ、紙でなければならない部分はまだ多く、紙とPDFの使い分けは当分続くと筆者は考えている。
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Mac fanの連載「AquaなUNIX」でも、紙ではなくPDFをゲラとして使っている |
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