【特集】

PDF再入門 - フリーツールでどこまで行ける?

6 PDF作成ツールの現状 - OS Xではシステムと一体

    海上忍  [2004/12/24]

    PDFの利用がもっとも進んでいるプラットフォームは、やはりPDFが描画システムに組み込まれているMac OS Xだろう。ここでは、Mac OS XにおいてPDFがどのように利用されているのかを簡単に説明する。また、PDFを業務フローに取り入れることによる利点や今後の課題について、出版業界の片隅に生きる立場から語ってみよう。

    Mac OS Xでは"システムの一部"

    Mac OS Xの2D描画システム「Quartz」は、PDFの技術を取り入れている。Mac OS Xの元となったNEXTSTEP/OPENSTEPの描画システムにも、同じAdobe Systemsの技術を利用したDisplay PostScriptが採用されており、技術の進歩に伴いPostScriptがPDFに置き換わったと考えて差し支えない。

    実際、AppKit(ユーザインターフェイス関連のフレームワーク)が出力するデータは、NEXTSTEP/OPENSTEPではPostScriptを基本とするが、Mac OS XではPostScriptがそのままPDFに置き換わっている。Cocoa APIのすべて描画コマンドは、AppKitの働きによってデータをPDFに変換し、直接ファイルやプリンタに送信できるのだ。OSの内部にDistillerと似たPDF生成エンジンを持っている、と言い換えてもいいだろう。

    この仕組みにより、ユーザは"見たままの状態"をPDFに変換できる。実際、印刷ダイアログで[PDFとして保存...]ボタンをクリックするだけで、AppKitを利用するすべてのアプリケーションはPDFを生成できる。スクリーンショットですらPDFとして保存されるほどで、PDF対応は徹底している。

    しかし、現行バージョンのMac OS X(10.3、Panther)が対応するPDFはバージョン1.3ベースであり、最新のAdobe製品と完全な互換性を持つわけではない。アプリケーションから(印刷する要領で)生成したPDFも、高解像度のはずのベクター画像が低解像度のものに置き換わってしまう、色空間もCMYKからRGBに変換されてしまうことがある、などの問題が確認されている。商業印刷に耐えうる品質のPDFを確実に生成するという点では、いまだAdobe Acrobatに頼らざるをえない状況だ。

    Mac OS Xのアプリケーションは、どのような書類でも印刷ダイアログ上の[PDFとして保存...]ボタンをクリックするだけでPDFを生成できる

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