【特集】

PDF再入門 - フリーツールでどこまで行ける?

3 PDFを使うメリットとは?

    海上忍  [2004/12/24]

    PDFを使うメリットとしては、まず、再現性の高さが挙げられる。通常、ワープロ文書やスプレッドシートは、作成元のアプリケーションがなければ表示できないが、PDFに書き出せば書式や色を含めて正確に表示できる。アプリケーションはバージョンアップを重ねるうちにファイル互換性に問題を生じることがあるが、仕様を公開しているPDFならばその心配はない。閲覧ソフトが多くのプラットフォーム移植されていることもプラスに働いている。

    暗号技術やアクセス制御といったセキュリティが考慮されていることも大きい。マンガや小説など改変/複製の危険性回避が至上命題ともいえるコンテンツには、必須の技術だ。現在のところ、電子書籍の市場規模はまだまだ小さいものの、PDFに用意されたセキュリティ技術はその命題を多くの点でクリアしている。
    (※ : ここでは詳しい説明を省くが、証明書(Acrobat Self-Signのほか、VeriSignやEntrustなどサードパーティー)による方式のほか、電子署名など複数の方式をサポートしている)

    日本の場合、政府/地方自治体が推し進めようとしている"電子化"の流れにうまく乗っているという事実も挙げられる。官公庁のWebサイトから統計資料などの文書を入手した経験があればわかるはずだが、すでにかなりの割合でPDFが使用されている。高い再現性やセキュリティがあるからといっても、流通しなければ意味はないが、大組織が採用すれば話は変わってくる。

    PC関連分野では、もはや例を挙げる必要はないだろう。PDFの仕様は一般に公開され、近頃ではフリーの生成ツールも登場していることから、アーカイバのZIPがWindows XPネイティブの機能として組み込まれたように、OSの機能として標準装備されることが当たり前という時代が来てもおかしくはない。実際、Mac OS XのグラフィックシステムであるQuartzはPDFをネイティブサポート、システム標準の画像フォーマットとしている。

    Mac OS XではPDFが標準の画像フォーマットとして採用。このブートパネルもPDFの形で保存されている

    デジタルIDを追加することにより、出所の確かなPDFであることを証明できる(画面はAcrobat 7.0 Professional ベータ版)

    PostScriptとPDFの歴史

    1982John E. Warnock氏とCharles M. Geschke氏、米Adobe Systemsを設立
    1984PostScript Level 1のリリース
    1987ベクターグラフィックソフト「Illustrator」のリリース
    1990Adobe Type Manager(ATM)のリリース
    ラスターグラフィックソフト「Photoshop」のリリース
    1991PostScript Level 2のリリース
    Seyboldの会場で初めてPDF(Interchange PostScript)の概要を明らかにする
    1992PDF 1.0のリリース
    1993Acrobat 1.0のリリース
    1994PDF 1.1をサポートしたAcrobat 2.0のリリース
    Acrobat Readerの無償配布を開始
    Aldusを買収、組版ソフト「PageMaker」がAdobeに移管される
    1996PDF 1.2をサポートしたAcrobat 3.0のリリース
    1997初の日本語版Acrobat(3.0)のリリース。以降のバージョンから日本語は標準サポート
    1998PostScript 3リリース(このバージョンから「Level」が使われなくなった)
    1999GoLive Systemsを買収、HTMLエディタを強化
    InDesignのリリース
    PDF 1.3をサポートしたAcrobat 4.0のリリース
    2001PDF 1.4をサポートしたAcrobat 5.0のリリース
    2003PDF 1.5をサポートしたAcrobat 6.0のリリース
    2005PDF 1.6をサポートしたAcrobat 7.0がリリース予定

    PDFの機能の推移

    バージョン 主な変更点
    1.1 セキュリティ機能が追加、外部ファイルへのリンクの設定、
    1.2 プリプレス用途に必須のOPI(Open Prepress Interface)に対応
    1.3 日本語や中国語、韓国語(ハングル)などの2バイト文字の埋め込みに対応
    1.4 XMLに対応。タグの設定や透明効果のサポート
    1.5 レイヤーに対応。FlashやQuickTimeといったマルチメディアコンテンツの埋め込みが可能に
    1.6 OpenTypeフォントの埋め込みに対応。30m以上の大型図面も作成可能に

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