【特集】
"電子文書"や"電子の紙"などと言われることの多いPDFだが、そのような抽象的な言葉では片付けられない多くの機能を備えている。まずは、PDFが普及するまで道のりとその特徴について解説してみよう。
PDFの前身にあたる規格「PostScript」は、FORTHと似た文法を持つページ記述言語(PDL;Page Description Language)だ。文字や画像の描画に用いられることを前提としてはいるが、変数や手続きを定義できるなど高級プログラミング言語としての側面を持つ。いわゆる"PostScriptプリンタ"は、この言語を開発した米Adobe Systems製のPostScriptインタープリタを搭載した印刷機なのだ。
PostScriptには3種のバージョンがあり、最初にリリースされた「PostScript Level 1」では8bitまでの色深度にしか対応しなかったため、もっぱらモノクロ印刷に使用されていたが、次の「PostScript Level 2」では32bitカラーに対応、圧縮用フィルタの提供やバイナリコードのサポートなど大幅に拡張。現在のMac OS Xの祖先にあたるNEXTSTEPの画面描画システム(Display PostScript)にもその技術が応用されるなど、当初の印刷用ページ記述言語から対象範囲を広げた。
しかし、PostScriptはファイルサイズが大きくなりがちで、ネットワーク配信に適さない。また、コンテンツをパスワードで保護するといったセキュリティは無いに等しく、商業利用は難しい。情報をデジタルデータのまま保管することが指向されるようになった結果、最終的には紙に印刷することを前提に設計されたPostScriptでは、無理が生じたわけだ。
そこで考えられたのが、「PDF」というコンセプト。それまで蓄積されたPostScriptの技術をベースとしつつ、名称(Portable Document Format)からもうかがえるように、ファイルサイズはPostScriptの1/10~1/40程度と小さく、閲覧ソフトは無償配布されているうえ対応機種が多いという特徴も持つ。当初は"紙に代わる技術"と位置付けられていたが、フォントの埋め込みに対応するなど商業印刷にも耐えうる品質を実現、紙と競合しない形で普及を続けている。
では、なぜPDFがここまで普及したのだろう? 前述した以外の理由をいくつか挙げてみよう。
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