【特集】

History of GNU - GPLとはなにか

2 GPLとはなにか?

    海上忍  [2004/04/13]

    いわゆる「フリーウェア」は、無償で配布されるソフトウェアとして認識されることが多い。しかし、ほとんどの場合は付属のドキュメントで再配布の条件などを記した条文、すなわちライセンスが規定されている。ただフリーウェアと言う場合、そこにはフリー(無償)とフリー(自由)が混在しているのだ。本項では、GPL(GNU GENERAL PUBLIC LICENSE)における重要なコンセプトをピックアップし、ソフトウェアのライセンスにおける「フリー」という言葉の意味について考えてみよう。

    GPLの入手先

    GPLの文書は、GPLに準拠するソフトウェアの書庫内に「LICENSE」というファイル名で保存されている。GNUのWebサイトにも掲載されているので、誰でも自由に閲覧可能だ。

    なお、日本語など各国語訳も用意されているが、公式に有効(と考えられる)のはオリジナルの英語バージョンに限られる。日本語訳を参照したい場合には、以下のリンクから辿れるリンクを参照してほしい。

    ライセンスについて - GNU プロジェクト - フリーソフトウェア財団 (FSF)

    複製も配布も自由、ただし条件つき

    GPLの内容は、以下の点に集約することができる。我が国ではGPLの内容のみならずその有効性について法廷で争われたことがないため、「派生物」という言葉が指す範囲など解釈がわかれる部分も多く含まれるが、ここでは大意として理解していただきたい。

    • 用途制限がないため、商業利用も可能。
    • 複製して自由に再配布できる。
    • 希望すればソースコードを入手できる(オープンソースである)。
    • ただし、複製/配布/修正を行う際には使用許諾に従う必要がある。
    • プログラムの派生物にも同じ使用許諾を適用する。
    • 上記の権利を確保するため、著作権を主張する(コピーレフト)。
    • プログラムの保証は一切ない。

    「コピーレフト」が重要

    GPLに従うソフトウェアでは、改変や再配布は誰でも自由に行えるが、パブリックドメインのように著作権を放棄(※)したものとは決定的に異なることがある。GPLでは「変更を加えたかどうかに関係なく、ソフトウェアを再配布する者はその複製と変更する自由を継承しなければならない」ため、むしろ著作権は強く主張されている。
    (※ : 日本の法律では著作者人格権の放棄が認められていないため、狭義のパブリックドメインソフトウェアはありえないとする考え方が通説となっている)

    このルールが後々まで守られるために著作権(Copyright)を残す(left)ことが、コピーレフトの考え方だ。言い換えれば、GPLはGNUが主張する「フリーソフトウェア(自由ソフト)」を実現するために明文化したものであり、「コピーレフト」はフリーソフトウェアを達成するための手段と言える。GPLというライセンスの核心は、おそらくコピーレフトの概念にあるのだ。

    GPLは"不帰の道"

    GPLのもう1つのポイントが、「一度GPLが適用されたソフトウェアはGPLであり続ける」ということ。ライブラリにリンクすることも含め、GPL準拠のソフトウェアの派生版(二次著作物)もまたGPLに従わなければならないのだ。

    この規定には反発の声も多く、BSDなど他のライセンスを選ぶ開発者が少なくない理由の1つとなっている。しかし、この厳しい規定があることにより、最初はGPL準拠のフリーソフトウェアとして配布しておきながらユーザの依存度が高くなった頃合いを見計らってプロプライエタリにする、といった乱暴な振る舞いを防いでいることも確かだろう。

    商業利用もOK

    現在、ソフトウェア関連事業で収益を確保している個人/企業は無数に存在するが、GNUはそのすべてを否定しているわけではない。GNUのリーダーであるRichard Stallman(以下、敬称略)の掲げる理想は、ときに資本主義を否定しているかのようなニュアンスで解釈されてしまうこともあるが、技術サポートを提供して生計を立てるのは大いに結構だといろいろな場面で説明している。

    なお、ソースコードを公開する義務のないBSDライセンスのほうが商業利用に向いている、とついつい思い込みがちだが、実際にはそうでもないらしい。ソースコードを公開する義務も引き続き同じライセンスを適用する必要もないだけに、結果的に競争相手を利してしまう可能性があるのだという。たとえば、A社とB社が競合関係にあるとして、A社のBSDライセンス準拠のソフトウェアをB社が改変し、プロプライエタリな自社製品として売り出したら……未来永劫"フリーソフトウェア"であり続けなければならないGPLならば、そのような危険性を排除できるわけだ。

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