【特集】

Pantherに秘められた実力 -G5とG4でMac OS X 10.3を検証する-

8 Terminalから見たPantherの変更点

    海上忍  [2003/10/31]

    ○Terminalから見たPantherの変更点

    Finderの機能もシステム全体の処理速度も一新されたPantherだが、その基盤である「Darwin」も7.0.0にバージョンアップ、多数のコマンドが追加されるなど大きく変化している。システム標準の端末ソフト「Terminal」のマルチバイト文字対応も改善され、日本語を扱いやすくなった。この項では、Terminalから見たPantherの変更点について説明してみよう。

    ・Terminalのマルチバイト文字対応が大きく前進

    マルチバイト文字のサポートが改良された「Terminal」。一部のコマンドは日本語のメッセージを返せるようになった
    今度のTerminalにおける最大の変化は、日本語を含むマルチバイト文字のサポートが改善されたことだ。日本語テキストを表示したときに文字が重なる現象もなくなり、emacsでの文書編集もストレスなく行えるようになった。viも「VIM 6.2」に取って代わられ、日本語入力もOK。デフォルトのシェル「bash」も~/.inputrcを用意すれば日本語を扱えるようになるので、日本語環境としての一応の水準はクリアしている。

    tar(gnutar)など一部のコマンドが日本語のメッセージを返すようになったことも、改良点の1つと言えるだろう。Terminalのデフォルトの状態(UTF-8、非ASCII文字をエスケープ)を例にすると、「export LANG=ja_JP.UTF-8」とロケールを設定すれば準備OK。「tar --help」や「info --version」などと実行すれば、日本語のメッセージが表示されるはずだ。

    ・コマンドは12%増量、mount_ntfsもあります

    シェルなどごく基本的なコマンドしか収録されない/binはともかく、一般ユーザ向けのコマンドが置かれる/usr/bin、管理用コマンドが置かれる/sbinと/usr/sbinの内容は、かなり増えた。その4つのディレクトリにあるコマンドの数を調べたところ923、Mac OS X 10.2.8の時点(824)と比較して99ものコマンドが追加されたことになる(※)。比率にすれば、約12%増えた計算だ。
    ※開発環境をインストールした状態から「ls -1 /bin /sbin /usr/bin /usr/sbin | wc -l」と実行して確認。対象にはシンボリックリンクも含まれる

    NTFSフォーマットのMOをマウントしたところ。とりあえずデータを読み取るだけなら利用できそうだ
    いわゆる*BSDの成果物も取り入れられているようで、ざっと眺めた限りでは「ping6」や「ip6fw」といったIPv6関連のコマンドを多数確認できた。また、*BSDでは以前からある「mount_ntfs」を/sbinディレクトリに発見したので、もしやと思い以前Windows NTで作成したNTFSフォーマットのMOを挿入したところ、難なくマウントされた。日本語のファイル名はFinderに表示できない(Terminalでも文字化けする)うえにRead Onlyでのマウントとなるが、NTFSフォーマットの外付けHDDに記録された大容量の動画ファイルをMacに取り込む、といった用途には使えるかもしれない。


    Mac OS X 10.3で追加されたコマンド(抜粋)
    asrボリュームを複製するためのコマンド。ディスクユーティリティの復元機能で使用される
    iconv文字コードセットを変換するコマンド。たとえば、「iconv -f SJIS -t UTF8 mac.txt > utf.txt」と実行すると、SJISのファイルをUTF-8に変換できる
    less最新バージョン(v378)へと更新されたが、jlessのような文字コード自動判定機能は持たない。LESSCHARSET環境変数に「utf-8」を定義すれば、UTF-8で符号化されたテキストファイルを閲覧可能
    mount_ntfsNTFSをマウントするためのコマンド。日本語のファイル名を扱えないなど機能はかなり限定的
    postfixsendmail互換のMTA。v10.2.8までのsendmail(/usr/libexec/sendmail)に代わり採用された
    pstopdfPostScriptファイルをPDFに変換するコマンド。ただし、リュウミンLightなどの日本語フォントは変換できない(アウトラインフォントとして埋め込んだ場合は可)ため、活用範囲は限られている
    dsenablerootrootアカウントを有効にするコマンド。
    その他ipv6関連のコマンド群(ip6やip6configなど)

    ・フルスクリーンモードに対応した「X11 for Mac OS X」

    以前からPublic Betaとして公開されていたXFree86の移植版「X11 for Mac OS X」がGMを迎え、v1.0としてPantherに標準装備された。簡易インストールでは選択されないが、パッケージは3枚目のCD-ROMに収録されているので、Pantherの導入後に手動でインストールしてもいいだろう。

    フルスクリーンモードにも対応、quartz-wm以外のウインドウマネージャを使いやすくなった
    最後のPublic BetaであるX11 Beta 3と比較すると、最大の変更点はフルスクリーンモードのサポートが追加されたことだろう。Aquaから独立した画面でXクライアントを利用できるほか、Xサーバ(X11.app)を終了させずにAquaと画面を切り替えられる。好みのウインドウマネージャを試してみたいと考えているユーザには、好都合な仕様変更と言える。

    なお、X11 Beta 3のベースはXFree86 4.2.1(CVS版)、一方のX11 v1.0はXFree86 4.3.0とバージョンに若干の差があるが、XFree86 ProjectのWebサイトで公開されているChangelogを読むかぎりMac OS X/Darwin用Xサーバの仕様はその間ほとんど変更されていない。OpenGLのパフォーマンスを検証する「glxgears」などのXクライアントを試すかぎり、描画性能もBeta 3と大差ないため、フルスクリーンモードが追加されたこと以外はBeta 3当時とほぼ同じと考えられる。

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