【特集】

記憶する住宅 ~ITリフォームから電脳住宅へ~

4 スキャナからデジタルカメラ、外注へ

    美崎薫  [2003/07/29]

    ○スキャナからデジタルカメラ、外注へ

    最初は、自分でスキャナを使ってデジタル化した。

    自分でスキャナを使って取り込んだ総数は不明なのだが、3,000枚とるごとにスキャナが壊れた。スキャナメーカーに聞いたら、そんなにヘビーに使うことを想定していない。「1万円で売っているスキャナなので、それが寿命です」と説明された。

    数台を壊したので、1万枚以上は自分で作業しただろう。

    この作業で、OCRもたいへんだが、スキャン作業もたいへんだ、と身に染みて知った。「スキャナでデジタルファイリング」は、たいていはここで挫折するようだが、筆者は挫折しなかった。

    高画質になったデジタルカメラを使ってのデジタルファイリングに移行したのである。スキャナの代わりにデジタルカメラを使ってデジタルファイリングをする場合のメリットとデメリットは、次のようになる。

    メリットは、速度が早い、カラーで撮れる、手間がかからない、写真に臨場感があるなどである。速度の点では圧倒的で、そこそこのクオリティでよければ、本1冊を10分程度でデジタルファイリングできる。読めればよい実用書や新聞なら充分なクオリティだ。

    デメリットは、縦横を正確に合わせることがほぼ無理なことである。もちろん、バック紙を引き、三脚を立てて、ライトを当て、正確に配置すればできなくはないが、時間をかけるのであればデジタルカメラを使うメリットが帳消しになってしまう。

    実際に、署名入り限定本などをできるだけハイクオリティでと思い撮影したことがあるのだが、助手と2人がかりで、3時間かかって100枚も撮影できないことがわかってからは、デジタルカメラはハンディな方法に使うのがベストと割り切った。

    貴重な本は、スキャンにはなじまない。一度、デジタルカメラで撮影したことがあるが、たいへんな手間がかかった。赤江瀑の「芙蓉の睡り」(湯川書房)限定150部。オーナーであっても、こういう本はめったに開かないで飾ってある。中身を知りたいときのために、撮影しておくと便利だ。ただし、古書マニアに言わせると、本は手の油を吸って光り輝くのだそうで、古書はひんぱんになでさすってやる必要があるらしい
    署名入りなどの場合、さすがにモノの魅力のほうが大きいだろう。赤江瀑の「禽獣の門」(未来工房)限定150部

    最後に選んだのが、外注する方法である。外注先を探しだし、デジタルファイリング作業だけを行ってもらっている。依頼した会社は、これまでこのようなファイリング作業は行っていなかったが、1から交渉してスキャニングしてもらうようになり、2年ほど経過して、きわめて安定した形でスキャンの結果を送り返してくれるようになってきた。

    現時点では、年間で20~30万枚程度を外注、3万枚程度の写真を撮り、数枚のスキャンを自分で行っている状態だ。外注したものは、月に1回、資料ごとにディレクトリが作られてCD-Rに保存され、送り返されてくる。画像はJPEGファイル。300dpiで読み込んでいる。例えば初版発行日など、ディレクトリには年-月-日を分かる限り入れるようにしてもらい、最終的にはそれで整理している。このような細かいやりとりができる気配りがなかなかよい。

    外注先には、ファイリングしてもらいたいものを段ボールに詰めて送る
    外注してできたスキャンデータは、フォルダごとにタイトルがついて戻ってくる。それを日付順に並べ換えて保存している

    当初は、チラシなどからはじめたが、現在ではクオリティが安定してきたので、もっとハイクオリティの素材もお願いするようになった。

    2002年1年間で、約20万枚のスキャンが終了した。ここまで進んだことで、先の300万ページという予測がある程度裏づけられるようにもなってきて、実際にあるのは約200万ページ程度であるらしいことがわかってきた。人生で目にしたすべての紙は、200万ページ。そのうち、約40万ページ分のスキャンが終わった。約1/5程度なのだろう。

    残しておきたい本はまとめておいてある
    デジタルファイリングのおかげで、本棚の本がだいぶ減った

    ちなみに、費用は1枚10円である。作業をしてくださっているのはSOHOやアウトソーシング事業を行うオフィスエム。料金、スキャン時の解像度、納品形態などいろいろ柔軟に受けてくれるので、もし興味があれば問い合わせてみてもよいかもしれない。

    人生全体をデジタル化するのに、住宅と同じくらいの規模の予算が必要である。「記憶する住宅」は、予算の規模でも住宅並みなのである。

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