【特集】

Windowsユーザーへ贈るUnixへの架け橋 - Cygwinを使いこなそう

1 Cygwinとは(1) - Windows上で動作するLinux?

    阿久津良和  [2002/11/11]

    ○Cygwinとは

    そもそもCygwinとは、一般的なGNUの開発ツールを含むUNIXのさまざまなツールをWindowsで動作できるようにするものである。具体的には、UNIXシステムコールや環境を提供するCygwinライブラリによって動作し、Microsoft Win32 APIおよびCygwin APIを使用してWin32コンソールアプリケーションやGUI(グラフィカル ユーザー インタフェース)アプリケーションを作成することが可能になっている。そのため、多くのUNIXプログラムのソースコードを大幅に修正することなく移植でき、Windows上で簡易的なUNIX環境を構築できるというわけだ。

     Cygwinの導入例 Windows XP上でXFree86ウィンドウマネージャーのひとつである「OpenBox」を起動したところ

    一見すると、VMwareなどのエミュレータと同じように思えるが、内部ロジックが全く異なっているためCygwinとVMwareは "似て非なる物" だ。そもそもVMwareの場合、PC/ATをエミュレーションしているため、LinuxだろうがWindowsだろうが好きなOSをインストールして仕事や趣味に使うことができる。しかしCygwinは "GNUの開発ツールをWin32環境に移植する "ところから始まっているため、あくまでもベースはWindowsだ。WindowsにGNUツール群が実現する使用環境を追加し、(一部のユーザーにとって)使いにくいWindows環境を強化するためにCygwinは存在する。

    さて、Cygwinの中核となるのは、UNIX APIをWindowsのAPI でエミュレーションするライブラリ「Cygwin.dll」と、ライブラリに対応したGNUの開発ツール群(GNU CCなど)のふたつ。これらの多くはGNU一般公有使用許諾契約書(GNU General Public License)とX11ライセンスによって保護されており、個人でCygwinを使うのであれば使用料金を支払う必要はない。ただし、現在の開発はCygnusから米RedHatに引き継がれ、パッケージ化の計画は現時点で半永久的に延期されているそうだ。
    ※編集部注 「Cygwin」という商標については現在も米RedHatが所有しており、Cygwinという名称でのパッケージ化は半永久的に延期されているが、ソフトウェア自体はGPL/X11ライセンスによって使用が許可されており、日本ではホロンがCygwinエンジンを利用して「X on Windows」という製品を発売している。

    Cygwinを使うメリットは筆者の考えるだけでも3つ挙げられる。ひとつめのメリットは、Windows上でパーティションを切り直すことなく簡易UNIX環境を手に入れられる点だろう。多くのPC UNIXが登場しているが、Windows OSとの共存するための作業は若干煩雑で、初心者には敷居が高いものとなってしまう。また、普段から使い慣れたアプリケーションをすぐに使えない、つまりPC UNIX環境では、ExcelなどWindowsアプリケーションを使うためにはWindows OSに切り替える必要があり、やや面倒と言わざるを得ないだろう。

    蛇足だが、筆者の事務所ではLinuxサーバーにtelnet経由でログオンし、テキストの管理や編集や日常業務を行っている。しかし、出張先や外出時など必ずアクセスラインが用意されている環境があるわけではないので、必然的にノートPCにUNIX環境が必要だ。しかし仕事の関係上、Windows環境をメインで使わなくてはならないため、デュアルインストールも避けたいところ。そこで、このCygwinをインストールして代用業務を行っているわけだ。

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