【特集】

夢がふくらむエミュレーション -Linux上でWindowsはどこまで動く?!-

1 エミュレーター=過去の遺産を活用するもの?

 
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○エミュレーター=過去の遺産を活用するもの?

情報そのものが歴史を大きく動かしてきたということは間違いなく真実だろうが、かつてこれほどまでに情報が人間の生活に関わり、また一般市民生活レベルにまでブレイクダウンされ、活用されている時代はないだろう。しかしそんな歴史の1シーンが登場したのは、何のことはない、たったここ数年のことなのだ。

Windows95が登場する以前にも実際にオフィスや研究機関、そして教育機関にマイコン~パソコンは当たり前にあったし、実際、Macintoshは1984年に発売された当初からGUI環境を実現していたが、爆発的にパソコンが普及し始めたのはWindows95が登場して以降であることは間違いない。さらにインターネットの普及はコンピュータユーザーの数を爆発的に増加させることとなった。Windowsがプリインストールされたパソコンがショップに並び、きわめて多くの人が仕事のために、あるいは趣味のためにコンピュータを使うようになったのである。

しかし、多くの人が忘れかけているか、あるいは気にも留めていないことかもしれないが、コンピュータはそれこそ、何十年も前からほんの身近に存在してはいたのだ。たとえば筆者が中学生のころ、クラスに2・3人ポケコンを持っていた人もいたし、MSXやAtari、PC98シリーズ、Amiga、そしていまだに進化しつづけるMacintoshなどさまざまなコンピュータが今ほどではないにしろ、オフィスや家庭で使われていた。

コンピュータの普及が進めば進むほど、コンピュータ自体の性能も大幅にアップしていく。そして、今まで使われていたコンピュータは徐々に過去の遺産と化していくのは必然かも知れないが、そんなコンピュータのハード・ソフトの資産を継承していきたいと考えるのはあながち無理な発想ではない。もっとも、PC/AT互換機が登場して、パーツ単位での交換が容易になってからは比較的簡単にハード面では過去の遺産を引き継ぐことが可能になってはきたが、ソフト面での資産の継承はどうだろうか。

ソフトウェアに関しては、よりそういった過去の資産へのこだわりを持つユーザーは多いはずだ。端的な話、過去に行った仕事のデータや高いお金を出して買ったソフトウェアが全てムダになってしまうのは忍びない話しではないか。そこで登場するのがエミュレーターなのである。

-エミュレータ- コンピューター好きの読者なら1度は耳にしたことがあるのではないだろうか。そう、あるハードウェア上で、他のハードウェア用のソフトを仮想的に動かすソフトウェアのことだ。エミュレーターとは、そもそも「エミュレーター」の語源である「エミュレート(emulate)」の"手本にする、見習うという"意味だ。例えばWindows上でファミコンのソフトウェアを動かしたり、アーケードゲームを動かせるようにするものもある(場合によっては違法性のあるものもあるので気をつけたい)。インターネットの検索エンジンで検索をすると、かなりの件数がヒットするはずだ。

エミュレーター自体、今あげた例のように、WindowsやMacintosh上でファミコンやスーパーファミコン、そしてアーケードゲームなどを動かすソフト(あるいはハード)として取り上げられることが多いが、実はエミュレーターが活躍するのはそういった過去の遺産を継承するためだけではないのだ。

○今だから活用したいエミュレーター

先ほども少し触れたように、インターネット需要の拡大によってコンピューターユーザーは爆発的に増大した。それと期を同じくしてLinuxを始めとするさまざまなUNIX系クローンOSが取り上げられ、サーバー用途以外でも使用するユーザーが増えたり、G3・iMacでスタイリッシュさをアプローチしたMacintoshの巻き返しなど、現在はまさにOS、ハードウェアともに混在状況にあるといえる。

もちろんそんな混在状況は、単純なユーザー数だけの話ではなく、例えばオフィスにおいて、WindowsマシンとiMac、そしてLinuxが同居した作業環境が構築されることもしばしばだ。語弊を恐れず敢えて云うならば、Windowsは一般のオフィスアプリケーションに、Macintoshはデザイン、Linuxはネットワークに強いなどの特徴がある。そしてこういったすべての要素が同1の環境で、容易に、そしてシームレスに実現できるならば、それはユーザーの利便にこそなれ、決して不利益にはならないはずである。そんな理想的な環境を実現する1つの解決策として提案できるのが、実はエミュレーターなのである。

すでにご存知の読者も多いことと思うが、例えばMacintoshには、Macintosh上でWindowsを動かすVirtual PCsoftWindows、そしてWindows上でMacintosh(68k以前のもの)を動かすBasiliskIIFusionSoftMac2000、そしてLinuxでWindowsを動かすVMwareといったエミュレーターが存在する。エミュレーターを上手く利用すれば、シチュエーションにあわせて、それに適したOSやソフトを利用できるのだ。

いまここに取り上げたエミュレーターはなにも目新しいものばかりではない。すでにさまざまなコンピューター雑誌に取り上げられているものばかりだ。実際に利用しているユーザーも世界中にいるだろう。しかしこういったエミュレーターを積極的に活用し、さらに発展させていこうという動きは、最近になってことに強くなってきているのだ。

インターネットを介したコミュニケーションが発達し、またコンピューターが日常的なツールとなり始めている今、特に去年から今年にかけて、混在するOS環境、クロスプラットホーム環境で大きな変化が起こりつつある。その変化の一端として捉えるべき出来事、それはMac OS Xの登場だ。

AppleはMac OS Xにて、独自OS路線からオープンソース路線へと方向性を変えた。コアになるアーキテクチュアにはなんとBSDが使われているのである。もはやMacintoshもUNIX系クローンOSの仲間入り(?)といえなくもない。BSDをコアテクノロジーとしたMac OS Xは、UNIX系アプリケーションの移植が容易で、今まで弱いといわれてきたネットワークへの対応も強化されている。無論いままでのMacOS用ソフトも動くようになっており、今まで全く別物であったMac OSとUNIX系OSであるBSDにエッセンスを注入したMac OS Xは乱暴な言い方をすればBSDによるMac OSエミュレーターという側面を持っているのだ。

また、すでに述べたようにコンピューター活用上の課題、ソフトウェア・ハードウェアにおいて、あらゆるものは必ず過去の遺産と化していくという問題(例えば今あなたがこれを読んでいるコンピューター、OS、そういったものも近い将来過去の遺産と化していくに違いないのだが)を解決し、また現在の混在環境をスマートに解決し、さらに1つのコンピューターに1つのOSというハードウェアへの過剰な投資を抑える最良の選択肢は、ひょっとするとエミュレーターなのかもしれないのだ。

今回の特集ではそんな魅惑のエミュレーターの内、Linux←→Windows間のエミュレートを可能にするVMwareを中心にインストールから実際の利用までレポートしてみたい。今回使用するマシンはLinux上で十分にWindowsがエミュレーションできる(というよりややハイスペック寄りともいえる)、CPU:PentiumⅢ800EB、チップセット:i815E、メモリ:320MBの自作PCで行った。

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インデックス

目次
(1) エミュレーター=過去の遺産を活用するもの?
(2) もうWindowsマシンなんていらない!?
(3) VMwareの動作条件-for Linux-
(4) Linuxへのインストール
(5) VMwareを起動しよう!  Wizardで簡単設定(1)
(6) VMwareを起動しよう! Wizardで簡単設定(2)
(7) ゲストOSをインストールしよう
(8) VMToolでグラフィックドライバを組み込む
(9) VMware 実際の使用感あれこれ
(10) VMwareで3Dゲームは可能か?
(11) 次バージョンへの期待-エミュレーションの今後

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