【特集】

パソコンを使って100倍楽しいテレビ活用法~コンピュータで楽しむテレビ時代の到来~

1 幾度となく試みがくり返されたテレビと融合するコンピュータの歴史

    美崎薫  [2000/05/26]

    コンピュータが高速化し、記憶デバイスであるハードディスクが大容量化したことなどによって、コンピュータは映像を容易に扱うことができるようになり、あたかもテレビとビデオの機能を融合したかのように進化しつつある。コンピュータで見るテレビは、従来のテレビとどこがどう違うのか。この特集で、技術的な違いから、基礎的な用語、こんなに楽しい活用法までを、ご紹介していこう。さあ、あなたのコンピュータにもテレビを映そう。

    ●幾度となく試みがくり返されたテレビと融合するコンピュータの歴史

    テレビとコンピュータ。
    どちらも、ディスプレイを使うというところは似ている。部屋の中で占めるサイズも、よく似ている。でも、長い間、テレビではコンピュータを使えず、コンピュータにはテレビが映らなかった。

    より正確にいえば、コンピュータは幾度となくテレビを映そうとし、テレビは何度もコンピュータを映そうとした。汎用のコンピュータから"コンピュータ"の意味を拡大して捉えれば、任天堂のファミリーコンピュータに端を発する家庭用ゲーム機は、テレビをディスプレイとして使い続けた。ソニーのPlayStation2(PS2)は、ついに居間におけるコンピュータのとして認知されつつあるのかもしれない。

    居間におけるコンピュータとテレビの融合した到達点が、PS2であるとするならば、書斎や仕事場でのコンピュータとテレビの融合は、どこへいくのだろうか。

    先日、10年以上前のコンピュータのチラシを整理していたら、富士通の「FM77AV」という古典的な機種のチラシが目についた。その謳い文句が、「映像を扱えるコンピュータ」なのだった。

    90年代前半には、ディスプレイにテレビのチューナーを内蔵して、テレビとしても利用できるコンピュータのディスプレイが登場したが、同じ画面サイズのテレビに比べて、あまりにも高価であったために、一般に普及するには至らなかった。テレビチューナーカードもいくつか商品化されたが、爆発的に普及するわけではなく、一部の利用に留まっていた。

    97年に起こったブームは、東芝のVision ConnectやNECのCEREBなどのように、居間に置くことを想定したコンピュータである。コードレスのキーボード、DVDによるマルチメディア機能や、コンパクトなボディで物欲を刺激した。だが、これも本流にはならなかった。

    コンピュータとテレビが融合しなかった理由はさまざまだが、代表的な意見を要約すると次の2つになるだろう。つまり、テレビの側からすれば、テレビを見るためにコンピュータを使わなければならないのは面倒だ。コンピュータの側から見ると、コンピュータにテレビが映っても、すぐに消えてしまう映像が映っているだけでは、コンピュータのもつ蓄積・編集加工・再利用、という特徴を活かせない。

    コンピュータとテレビは、似ているようで似ていなかった。特にコンピュータ側の能力不足が目立っていた。コンピュータの進化の速度は速い、といわれる。だが、テレビの機能を取り込むほどに進化するには、2000年か、あるいは21世紀を待つことになったのだ。

    なぜ、コンピュータがテレビ機能を取り込むまでに、こんなに時間がかかってしまったのか。その理由は、映像のもつデータ量が膨大であることに尽きる。膨大な映像を扱うためには、膨大な容量を記録できるディスクが必要だ。そのキーになる技術開発に時間がかかったのだ。1つめのキー技術は、ハードディスクである。

    だいたい、2000年5月現在のコンピュータに搭載されているハードディスクの容量は、10~40GB程度だろう。わずか10年ほど前、ハードディスクの容量は100MB程度にすぎなかったのだが、「ハードディスクの容量は5年で10倍のペースで拡大する」といわれるような急速な速度で進化してきた。

    ただし、10~40GBでも充分というわけではない。この容量では、わずか10~30分くらいしかテレビの映像を記録できないのである。そこで、重要になるもう1つのキー技術が、データの圧縮技術だ。映像をリアルタイムで圧縮できるようになったことで、ようやくテレビの映像は、コンピュータで扱うことができるようになったのだ。


    (↑)東芝のVision Connect


    (↑)NECのCEREB


    【基礎知識キーワード】
    ●テレビとコンピュータの画面の基礎知識
    ・そもそも、どちらのほうが解像度が高いの?
    SVGA以上の解像度であれば、コンピュータのほうが縦横の解像度は高い。ただし、テレビは多数のコマ(フレーム)を連続して放送している点が、コンピュータとは違う。
    2000年現在の地上波のテレビ放送信号(NTSC)は、アナログ量のためにはっきりとは示せないが、おおむね1画面あたり、横720×縦486ピクセルの解像度をもつと考えられている。コンピュータでいうVGAを、やや横に伸ばした解像度である。この画像が、1秒間に29.97フレームの高速で送信されているわけだ。

    このデータ量を計算すると、720(横)×486(縦)×12bit(平均の色データ)×29.97fps=124Mbit/秒。ハードディスクなどで使い慣れたbyteに換算しておくと、8bitは1byteになるから、15MB/秒ということになる。1秒間に、15MBものデータ量なのである。1分間だと、この60倍になるから、15MB/秒×60秒=900MB/分。1時間だとさらに60倍になるので、900MB/分×60分=54GBにもなる。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン