【特集】

「デジタル版・捨てる技術」~モノを捨て、情報を残す~

1 「捨てる技術」から「デジタルで、捨てる技術」

    美崎薫  [2000/12/22]

    「捨てる」技術が大流行である。だが、「性格的に私は絶対モノを捨てられない」とお悩みの方は多いはず。なにを隠そう(なにも隠さないけど)、筆者もとにかくモノを捨てない。

    小学校の時に作ったプラモデルから、中学校のノート、手紙、アルバム、深夜放送のラジオをエアチェックしたテープなど、なに1つ捨てたことがないのである。しかし、「貯める」のにも、ついに限界がきてしまった。家が傾き、ついに決断をせざるを得なくなってしまった。

    「捨てたくない」「捨てられない」気持ちは、どうやれば救われるのか。デジタル技術が、「捨てずに捨てる」救世主になる!

    ○「捨てる技術」から「デジタルで、捨てる技術」

    大量の書類、書籍、ソフト、DVD-Videoなどなどで床も机の上も本棚もあふれた状態。書類はどこになにがあるのかわからないので探しにくい

    2000年末もだいぶ押し迫ってきた。これから大掃除に取りかかる方も多いだろう。この2000年で流行ったものといえば、そう、「捨てる技術」である。これまでの人生を振り返ってみるに、筆者(=美崎薫)ほど、「捨てる」ことに程遠い人生を送ってきた人はいないのではないか、と自覚している。

    ばく大な分量の本をはじめとして、雑誌、ノート、手紙類、レコード、音楽CD、フロッピーなどなど。実家の部屋は9畳分の壁がすべて本棚。床が見えないほどのモノに埋め尽くされている。ともかく、「捨てる」ことが嫌いなのだ。「夥しい過去の堆積」といわれるように、過去が地層のように積もっている。

    この「地層」をめくっていくと、いつのまにかタイムマシンに乗ったように、時代をスリップしてしまう。時空の活断層が開いているので、気を許して近づくと危険である。

    だが、このモノと過ごす至福の時期も、ついに終わりを告げるときがやってきた。あまりのモノの重さに家が歪んでしまったのだ。悪いことに部屋は2階にあり、歪んだことで、1階のドアが開かなくなった。このままでは床が抜けてしまう、という話になって、急遽、対策を迫られることになった。

    捨てるといっても、なにしろ人生のうち30年以上を捨てずにやりくりしてきたのだから、そう簡単に対応できるはずがない。まさに180度、コペルニクス的な転回が必要なのだ。いろいろ考えた結果、出た結論は1つであった。

    「デジタルで捨ててやる」

    昨今のデジタル技術の発展は、いまさらくり返す必要もないほど、興隆をほしいままにしている。大容量のメディアや、新しい高解像度のディスプレイ、検索技術、画像データベース構築などの話題は事欠かない。

    これらの技術を使った「デジタルミュージアム」なども、続々と登場している。それなら、この技術を個人が応用していけば、「捨てずに捨てる」デジタル化が可能なのではないだろうか。

    「捨てずに捨てる」とは、情報は捨てないで、モノを捨てる、ということだ。この「デジタル版・捨てる技術」を実践するようになって、文字どおり、見る見る部屋から紙が減っていった。そこで、今回、この話をご紹介しようというわけだ。

    なお、ここで紹介する方法では、モノは捨てるが情報は捨てない。結果として情報は山のように増えていく。情報は、ハードディスクなどの入れ物(メディア)を選ぶことで、いくらでも圧縮可能だから、この方法でもかまわないわけである。

    2000年末、モノを捨てて、でも思い出や情報は捨てないで、部屋をすっきりさせる方法をまとめてみた。

    これが机の上
    たとえば、理想の1つは、東京大学の坂村健・総合研究博物館教授が行っているデジタルミュージアム方式を採用すること

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