見やすく使いやすい新インタフェース

中小企業の強い味方である「Zoho CRM」の最新版がリリースされた。最新版では、シンプルな操作が可能なユーザビリティを実現するインタフェースが刷新されたことに加え、ソーシャル機能が追加された。

まずは、インタフェースについて再確認しておこう。本連載では新インタフェースで紹介してきたが、以前のインタフェースは一画面の情報量がもっと多く、賑やかな色合いだった。これに対し、新インタフェースではカレンダーや「最近使用した項目」といった、必ずしも全画面で必要にはならない機能を非表示にし、デザインも落ち着いたトーンでまとめたことで、よりビジネスシーンで使いやすいものになった。

新インタフェースを正式に公開するにあたって、これまで表示されていた「最近使用した項目」に当たる情報がサイドタブ「Recent Items」から表示できるようになった。これなら、「新インタフェースのデザインは気に入っているが、このメニューがないのは不便」と感じていたユーザーにも使いやすいだろう。

そのほか、全体的に少ないクリックで編集画面や見たい情報にたどり着ける工夫もされている。編集ボタンの類が画面上部に集められているから、ちょっとした編集をするためにスクロールを繰り返す必要もない。

古いインタフェースは一画面の情報量が多いものだった

新インタフェースは落ち着いた色合いと絞り込んだ情報で扱いやすくなっている

タブを押せば「最近使用した項目」も簡単に利用可能

取引先や商談を「フォロー」して一覧化する「パルス」

さて、最新版の目玉であるソーシャル機能「パルス」は取引先や商談を「フォロー」して情報を取得できるものだ。取引先や連絡先を開くと「+フォロー」というボタンが追加されているのがわかる。Twitterなどを使っているユーザーにはお馴染みのボタンだろう。押してみると「フォローの解除」というボタンに切り替わるのもTwitterなどと同じ動きだ。

ここでフォローした取引先のデータは「パルス」で確認することができる。取引先や連絡先の情報が更新された時はその事実が表示されるだけだが、顧客のステージやリードのステータスが変化した時は変化内容まで表示される。

TwitterやFacebookの便利な点は、つながっていたい相手の動向が自動で届けられることだ。同じように、「パルス」でも同じCRMグループ内で更新された情報が自動で届けられる。情報の更新は「住所が更新された」「担当者が更新された」といった細かな内容まではわからないが、自分に関係のある取引先ならば詳細を開いてみればよいのだから、更新された事実がわかれば十分だ。しかも、「パルス」のリストから直接情報ページへと移動できるから、少ないクリック数で目的ページにたどり着けるのがよい。

これまでの「Zoho CRM」が「情報はここに全部入っているから、必要なものを見ておくように」という姿勢だったのに対し、「パルス」が加わったことで「あなたが見るべき情報はこれ」と明確に提示されるようになったというわけだ。

連絡先や取引先などの情報を開いたページで「フォロー」をクリックすればフォロー完了だ

フォローしている情報の更新状態などが「パルス」で一覧化される

条件指定な自動フォロー機能も利用可能

「パルス」に掲載されるようにフォローしたい連絡先がたくさんある場合や次々に追加される場合、いちいち連絡先や取引先のページを開いてフォローボタンを押すのは面倒だ。便利な機能を使うために準備が必要なのはある程度仕方ないことだが、「パルス」は条件に応じた自動フォロー機能も備えている。

「パルス」を開いた状態で右側の「自動的にフォローします」をクリックすると、「ワークフローのフォローアップ」というページに移動する。ここで「フォローアップの設定」をクリックし、設定画面に入ろう。

見込み客、取引先、連絡先、商談という4項目について、特定の条件を 満たす場合、例えば案件金額が100万円以上の商談が新規に登録された時に、その商談のオーナー(営業担当者本人)やその上司、あるいは グループのメンバーがその商談を自動的にフォローして共有することができる。逆に、案件金額が100万円を下回る変更があった場合は、 フォローを解除するという指定も可能だ。

フォローとフォロー解除は条件をつけて自動化できる

LinkedIn連携やGoogleカレンダー連携にも対応

そのほか、さまざまなシステムとの連携機能が追加されたのも「Zoho CRM」最新版の特徴だ。例えば、LinkedInとの連携ではLinkedInのプロファイルとリンク可能であり、もし取引先がLinkedInを利用してれば詳しいプロファイルを簡単に交換できるようになった。Zoho CRMからLinkedInにメッセージを送ることも可能だから、連絡がかなりスムーズになるだろう。

Web連携機能は、GoogleAppsなどZoho以外のWebツールを利用している場合に特に便利な機能だ。特定項目が更新された時、プッシュでそれを通知してくれるほか、外部サイトにXMLやJSONフォーマットのパラメータとしてZoho CRMのデータを付加できる。

Googleカレンダーとの連携は、GoogleカレンダーをZoho側で読み込む形でのみ利用可能だったところ、相互に同期可能になった。すでにGoogleAppsでスケジュール共有などをしている場合、Zoho CRM側からも情報の閲覧と追加がしやすくなったというわけだ。

ますます業務をサポートしてくれるようになった「Zoho CRM」。これを活用して、ぜひスムーズな営業活動を実現していただきたい。