気軽に使い始められるクラウド型データベース

Zohoのサービスのうち、「CRM」と並んでビジネス活用がすぐにできるのが、クラウド型データベースの「クリエーター」だ。

クリエーター上で稼働するアプリはユーザーが自由に作ることが可能だ。「個人」、「ワークスペース」、「共有」と3つのカテゴリがあるから、個人で自由に作ったアプリ、業務の中で活用するアプリ、仲間内で利用するアプリを並行して使うこともできる。

無料プランでも1,000レコード、200MBまで添付ファイルのアップロードができるので、まずは個人用アプリを作って使い勝手を確かめてみるとよいだろう。

データベースというと身構えてしまうかもしれないが、クリエーターでは簡単なものなら勘で作ってしまえるほど簡単だ。「アプリケーションの作成」をクリックすると表示されるメニューには、各種テンプレートが用意されている。連絡先の登録、顧客調査、バグ管理や在庫管理、To Doリストなど多彩なテンプレートがある。これのうち、目的に近そうなものを選んでカスタマイズすればよい。

クリエーターはExcelやAccess、Googl Apps上などで使っているアプリのインポートにも対応している。「ギャラリー」から「マーケットプレイス」へと移動すれば、世界中のユーザーが構築・公開しているアプリに出会えるはずだ。ほとんどのアプリは英語でメニューが作られているものの、フォームを並べてゼロから作るよりは、ヒントをもらってメニューを翻訳するほうがずっと簡単。データベース開発の専門知識を持っていないユーザーでも快適に使える工夫が、クリエーターにはたっぷり用意されているのだ。

マーケットプレイスから既存アプリをインストール

手始めに、マーケットプレイスからのインストールを試してみよう。クリエーターを開き、「アプリケーションの作成」で「ギャラリーを参照」を選び、さらに「マーケットプレイスに移動してすべてのアプリケーションを表示する」をクリックする。

表示されるメニューは英語ばかりだが、アプリをカテゴリから探すなら左のカテゴリリストをクリックすれば、関連するアプリが一覧で表示される。検索したい場合は、右上にある「マーケットプレイス内を検索」をクリックしてキーワードを入力すればよい。

今回は日本語で作られているアプリを探してみるため、「管理」をキーワードに検索してみた。その結果、日報や会議のトピックを管理といったいかにも業務に利用できそうなアプリから、飲み会の出欠やバレンタインデーのお返し、マンガ管理といった日常生活に使えそうな楽しそうなアプリまで、多彩なアプリが出てきた。

使ってみたいものが見つかったら、アプリの名称をクリックしてみよう。作った人の名前や評価、インストールされている数、ライセンスの種類などを確認できる。さらに、「デモの表示」をクリックすれば、実際のアプリの様子も確認可能だ。使うと決めたら「自分のアカウントにインストール」をクリックすればよい。インストールできたら「このアプリケーションにアクセス」をクリックすれば、自分のアカウントにインストールされたアプリがわかる。

フォームの名前や順番を入れ替えたいなと思ったら、「編集モードへ」をクリックする。並べ替えはマウスでドラッグ&ドロップするだけでOKだ。

「ギャラリーを参照」からマーケットプレイスにアクセスできる

マーケットプレイスにはカテゴリ分けされて大量のアプリケーションが用意されている

日本語でも検索できるから、思いつく言葉を検索してみよう

サンプルの様子を確認したら、自分のアカウントにインストールできる

見た目や並び順などは自由に編集可能だ

ゼロからの開発もマウスで簡単

ゼロからアプリを作ってみるなら、「アプリケーションの作成」をクリックした後、フォームのテンプレート選択時に「なし」を選べばよい。アプリケーション名やフォーム名はあとから変更できるから、適当に入力しておこう。

次は、アプリを作りかえた時と同じ編集画面で好きなようにパーツを並べればよい。「フォーム」タブでパーツを並べたり、名前を変更しては「ビュー」タブで見た目を確認したりという繰り返しの作業でアプリを作れる。ある程度出来上がったら、「このアプリケーションにアクセス」をクリックすれば、実際に利用する時の画面が表示される。仮のデータを入力して出来具合を確認しよう。

ビューを複数作って、データ入力しやすいビューと結果を参照しやすいビューを作ったりするのもよい。使っていて足りないフォームを思いついたら、いつでも編集画面に移動して追加できる。

アプリケーションにアクセスした後、ビュータイトルの隣にある「その他のアクション」から「Webサイトに組み込む」を選択すると、iframeで既存サイトに組み込むためのタグとブラウザからアクセスするためのURLが発行される。共有メンバー以外の人に一時的に公開したい場合やあるビューを一般公開したい場合などに利用すると便利そうだ。

ゼロからのアプリ開発もメニューからのドラッグ&ドロップで簡単にできる

Web埋め込み用のURLやタグも発行可能

Zohoのアカウントを持っていなくてもブラウザからアプリケーションを参照できる

Google Appsと連携させればメールでデータ登録もOK

メールアドレスや連絡先を基本的に必要としないクリエーターでは、Google Apps内でユーザーのチームがすでにある時にGoole Appsとの連携が生きてくる。まず、アプリの共有メンバーとして、同じGoogle Appsのドメインに所属するメンバーが指定可能だ。

もちろん、Gmailなどを使っている時に「もっと見る」からクリエーターに直接アクセスすることもできるから、普段開いている画面からデータベースアプリケーションを開いて作業なんてことも可能だ。Googleドキュメントに保存されているファイルを添付ファイルとしてアップロードすることもできる。

また、メールでデータを登録するという使い方もできる。ブログサービスやSNSなどでおなじみだが、メール本文に登録したい内容を書いておけば、データベースに登録される。これを上手に利用すれば、外出先のメンバーから携帯電話やスマートフォンでデータ登録してもらうことも可能になるはずだ。

婚活やバレンタインに――Zohoを身近で使ってみよう

ゾーホージャパン Zoho事業 本田明夏氏

これまで「CRM」と「クリエーター」をビジネス活用の視点から紹介してきたが、発想を換えれば、日常生活でも使える。そのヒントになるのが、Zohoのオフィシャルブログとマーケットプレイスで公開されているクリエーター用の各種アプリだ。

マーケットプレイスからのインストールの項で紹介した、バレンタインデーのお返しなど楽しげなアプリは、実はゾーホージャパンが作っている。身近な使い方を紹介するなかでの提供だが、クリエーター用のアプリだけでなく、さまざまな使い方を提案しているのがおもしろい。

「"CRMを使った婚活"を紹介したこともあります。『何それ?』と思われるかもしれませんが、お見合いパーティや合コンに参加すると1度にたくさんの人に出会いますよね。そうした人たちと連絡をとっていると、どの人とどういうやりとりをしたのかがわからなくなってしまうかもしれません。それを、ビジネスでリード登録したり案件の進捗管理したりするのと同じようにCRMで管理するわけです」と、ユニークな使い方を教えてくれたのは同社の本田明夏氏だ。

本格的な業務導入の前に、まずは個人で無料テストが簡単に行えるのがZohoの魅力の1つだ。気軽な用途からZohoをテストして、その使い勝手に納得してから業務利用に切り替えるもよし、業務で使いながらコツをつかんで日常に活用してみるもよし。