まるでGoogleAppsの機能のように使えるZoho

クラウドをすでに活用している企業も多くなった今、クラウド上でのメールやスケジュール管理はできて当たり前という人もいるだろう。

しかし、メールやスケジュール管理という使いやすいツールからクラウド導入を始めた企業の中には、他の業務にもクラウドサービスを活用したいと考えつつも、コストや手間の都合で難航しているというケースもあるはずだ。導入しているクラウドサービスがGoogleAppsならば、Zohoによってこの問題を解決できる。

Zohoにもメールやスケジュール管理機能はある。もちろんこれに移行してもよいが、使い慣れた環境からの移行は面倒なものだ。そこで、メールはGmailを使いながら、顧客管理に「Zoho CRM」、オンラインDBとして「Zoho Creator」を利用してさまざまなデータの管理をしてしまおう。

2つのサービスをまたがって利用というのは一見手間がかかりそうだが、ZohoはGoogleのアカウントでもログインできる。しかも、GoogleAppsの管理者がメニューにZohoの各種サービスを追加しておけば、エンドユーザーはGoogleAppsにログインした状態で上部に表示されている「メール」や「カレンダー」と一緒に並んでいる「もっと見る」というメニューから、Zohoの各種サービスにアクセスできてしまうのだ。

もちろん、Zoho側でログインし直す必要などはない。スムーズに新規ウィンドウまたは新規タブが開かれてZohoの機能を利用できる。まるでGoogleAppsに「Zoho CRM」という名前の機能が追加されたように、シームレスに利用できるのだ。

管理者にとっての負担も小さい。複雑な作業は必要なく、GoogleAppsマーケットプレイスから簡単に選択して導入できるのだ。Zohoは11個のアプリを連携可能な状態で登録されているから、Zohoで検索して「Add it now」をクリックするだけでよい。

管理者があらかじめ登録する必要があるが、作業は簡単だ

管理者の登録後、エンドユーザーはGoogleAppsの拡張機能のようにZohoを利用できるようになる

Gmailの画面から各種機能がそのまま使える

連携内容は利用する機能によってさまざまだが、基本的にはGmailで利用しているアドレス帳の資産を生かせると考えればわかりやすい。ZohoのメールでGmailに蓄積された連絡先にメールを送ることはもちろん可能だ。しかし、Gmailとの連携がわかりやすいのは、プロジェクト管理を行う「Zoho Project」や、請求書発行を行う「Zoho Invoice」、そして顧客管理をする「Zoho CRM」と連携させた時だ。

これらのサービスに共通しているのは、客先の連絡先を利用して何かをするツールという点だ。プロジェクト管理なら受け取ったメールから関連するプロジェクトにタスクを登録したり、プロジェクトに付随するフォーラムに直接投稿したりできる。当然、請求書は相手先の住所に出さなくてはならない。そして、CRMは顧客名や住所など、あらゆる顧客情報を登録しておくものだ。どれも、POPメーラーでメールを受け取っていたら、ウィンドウを行き来しながらコピー&ペーストをしたり、手入力を繰り返したりしながら情報を入れ込まなくてはならない。

ところが、これらのサービスを導入した状態でGmailを利用すると、受信メールの末尾に不思議なメニューが表示される。英語ではあるが「Zoho Project」や「Zoho Invoice」、「Zoho CRM」に働きかけるメニューであることがわかるはずだ。メールで送られる情報と親和性の高いツールは、このようにメールから直接いろいろな操作ができるようになっている。

Gmailで受信したメールの下に各種機能の簡易利用ボタンが表示される。ここから情報の登録や確認ができてしまう

Zoho CRMなら面倒くさがりな人でも簡単に登録可能

ここでは「Zoho CRM」を例にとって解説しよう。メール末尾に表示されている「Zoho CRM - Affordable On-demand CRM」という文言の下に「Search(メールアドレス) in Zoho CRM」とある。ここで「Go」をクリックすると、「Zoho CRM」に登録済みのアドレスかどうかを検索してくれる。

未登録のアドレスならば「Sorry, Contact or Lead does not exist.」と表示される。そこで、コンタクトリストとリードのどちらに登録したいのかをプルダウンメニューで選び「Add now」をクリックするわけだ。すぐに項目欄が表示されるから、入力して埋めよう。メールがすぐ上に表示されているから、いちいち名刺を探したり、ウィンドウを複数並べたりして作業する必要はない。

登録済みのアドレスだった場合、メールを受信してから何がしたいのかを選択できる。タスク登録したければ「Tasks」を、メモを登録しておきたければ「Notes」を、商談登録をしたければ「Potentials」を選択し、内容を書き込めばよい。

登録されているタスクやメモ、商談などがあれば確認もできる。もちろん、ここで登録した内容は「Zoho CRM」の中にも反映されているから、社内で情報を共有することも可能だ。

CRMなどは小まめな登録が必要なのに、利用する営業担当者は多忙なことが多い。ついつい登録を後送りにしてしまう、という話もよく聞かれる。しかしこの連携があれば、かなり手軽に登録ができるはずだ。新たにCRMツールを起動する必要も、ログインし直す必要もなければ、いくつものウィンドウを開いて作業することもない。モバイル端末など、小さな画面で作業をしたい人にも便利な機能だ。

このほか、iGoogleにZohoのガジェットを組み込んだり、作成したものをGoogleAppsドメインのユーザーや連絡先に共有したりすることもできる。身構えて、Zohoという新しい機能を導入しようと考える必要はなく、GoogleAppsに足りない機能をアドオンとして登録しようという程度の気持ちで利用できるのが、Zohoのおもしろいところだ。

Gmailに表示される「Zoho CRM」メニューの「Go」ボタンを押せば、受信アドレスが検索される

未登録アドレスの場合、コンタクトリストかリードの登録したい方を選択して登録できる

情報入力もGmailの画面のままOK。メールのシグネチャなどを参考に簡単に入力可能だ

登録済みアドレスならばタスクやメモ、商談の登録ができる

登録情報は「Zoho CRM」に自動的に反映されている