"捨て変態"の家に唯一たくさんあるもの

私にはできるだけ物を持たないで暮らしたいという願望がある。また、少しでも自分にとって必要のないものはどんどん捨て、捨てることが快感になっている"捨て変態"でもある。だから私の家はいつもがらーんとしていて殺風景だ。

しかしそんなわが家だけど、多分、一般のお家より多いものがある。それは"かご"だ。私は大のかご好き。特に日本のかごが大好きで、あけびかごと山葡萄かごに目がない。家の中を見渡すと、どこかしらにかごがあり、いつの間にかちょこちょこ増えている(多分かごたちは、夜、私たち人間が寝静まった後、細胞分裂を繰り返しているに違いない)。

30歳記念の大きな買い物

そのかごたちの中で一番思い入れのあるかごが、山葡萄(やまぶどう)のボストンバッグだ。私の持っているかごの中で一番大きくがっしりしていて、1、2泊の旅行ならこれ1つで行ける。

数あるかごの中でも最も思い入れがあるのが、山葡萄のボストンバッグ

しかし当然サイズが大きいと値段もそれ相応に高く、購入を決断した時は少し胃がキリキリしたが、それも今となってはいい思い出である(本当か?)。

このかごは1年前、30歳の記念に買ったもの。どうしても30歳という節目の年に、何か大切な記念に残るようなものが欲しくて、何かないかと誕生日の半年以上前から探していた。

そんな時、このボストンバッグをネットで見つけ、こんなバッグで旅行できたらすてきだな~! と一目ぼれ。受注生産のかごだったので早速注文し、半年ほど首を長くして待った。そしてやっと届いた時の感動たるや……! シュッとしたデザインと細やかに編まれたつるを見て、心から「頼んで良かった~!!!」と思った。

細やかに編まれたつるが素敵

内側にポケットもついている

人生を共に歩んでいくアイテム

ただし難点が少し。サイズが大きいし、ぎっちり編んでいる分……重量があるのだ。多分、電車の旅では、残念ながらこのバッグは不向きかもしれない。だから車での旅行時に、ここぞとばかりに使っている。

といっても私は超インドア派で、「こんなバッグで旅がしたい!」と意気込んだ割には、あまり旅行に出掛けない。だから普段はもっぱら、財布やポーチ、手帳などバッグの中身の一時保管所として活用していて、私が家の中で部屋を移動する度に一緒に持ち歩いている。

普段はバッグの中身の一時保管所に

山葡萄かごは、多少手荒に使っても壊れない。また使えば使うほど、年月がたつほど美しくなり、持ち主の人生と共に歩むには最適のアイテムだと思っている。30歳の記念に自分へプレゼントした山葡萄のボストンバッグ。30年後の60歳の時にはきっとツヤツヤになっていて、「あの頃頑張って買って良かったわ~」と言いながら愛用しているといいなと思っている。

著者プロフィール: ゆるりまい

1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。
夫、母、息子の人間4人 +猫4匹ぐらし。
生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。
ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。
そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年、夏帆主演で連続ドラマ化された。
現在cakesにて「ゆるりまいにち猫日和」、赤すぐにて「赤すぐみんなの体験記」を連載中。