近年、企業内での情報共有を活性化させる仕組みとして、縦割り型の「グループウェア」がフォローしきれない横方向への情報伝播を促す「企業内SNS」が注目されている。個人向けSNSとして有名な「Facebook」も、企業版である「Workplace by Facebook」の提供を開始した。では企業版と個人版の「Facebook」には、具体的にどのような違いがあるのだろうか。前回に続き、企業の業務改善を長年サポートしているサテライトオフィスの原口社長の解説をもとに、その違いを紹介したい。

監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)

大手証券会社システム部に在籍後、1998年サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。G Suite(旧名:Google Apps)の導入・アドオン提供の実績はこれまで3万社以上。「サテライト・オフィス」ブランドでWorkplace by Facebookの普及に尽力。

提供:サテライトオフィス

「Facebook」「Twitter」「LINE」といった「SNS」(ソーシャルネットワーキングサービス)は、現在のインターネットでポピュラーなツールである。この仕組みを企業内に持ち込むことで情報発信の活性化、現場レベルでのスピーディーな意思決定、幅広いナレッジの蓄積を促進する「企業内SNS」に関心を持つ企業が増えつつある。

今回、個人向けSNSとして全世界で20億人以上のユーザーを抱える「Facebook」が、2017年5月より日本向けの正式サービスを開始した企業版Facebook「Workplace by Facebook」(以下、Workplace)を例にとり、「個人版」「企業版」のSNSが持つ違いについて見ていこう。

ユーザーの利便性はそのままに企業内での展開に必須の機能を付加

「企業内SNS」が注目される理由のひとつとして、業務で利用するグループウェアと違い、社員であるユーザーが、「普段の生活の中で使い慣れている」ユーザーインターフェースや、ユーザーエクスペリエンス(スマートフォンからのアクセス、反応のリアルタイム性など)によって、より活発に情報発信や情報共有が促されるのではないかという期待がある。

企業向けの「Workplace」においても、「ユーザーによるコンテンツの投稿」「グループ」「イベント」「テキストチャット、ボイスチャット(メッセージ)」「いいね!」といった個人向け「Facebook」でおなじみの機能は、同じように使うことができる。では「Workplace」ならではの特長は何かと言えば、企業内での利用に必須の「セキュリティ」「ユーザー管理」「モニタリング」といった機能が用意されている点だ。

なお「Workplace」には、少人数のグループが無料で使える「Standard」版と、企業向けの詳細な管理機能が利用でき、他のクラウドグループウェアとの連携なども可能な有料(1ユーザーあたり3ドル/月より)の「Premium」版がある。本稿では企業向けの管理機能を備えた「Premium」版を前提に、説明を行っていく。


・個人版とは完全に別のアカウントで「セキュリティ」を向上
「Workplace」のユーザーアカウントは、従業員がそれぞれに持っている個人向けのFacebookアカウントとは完全に別のものとなる。アカウントの作成は企業の管理者によって行われ、利用者に配布される形だ。ちなみに、投稿やチャットに利用するスマートフォンアプリも「Workplace by Facebook」専用のものが用意されている。個人と会社のアカウントを混同することによる情報漏えいなどのリスクは、ある程度解消できると考えていいだろう。

・さまざまな応用が可能な「グループ」機能
「グループ」などの機能も「Workplace」では、個人向けと若干変わってくる。Workplaceでは管理者側で「全社公開グループ」のほか、参加許可制の「組織グループ」などを作成できる。ユーザーを部門やチームごとに作成した「グループ」にあらかじめ所属させておき、運用を開始するといったことも可能だ。もちろん、ユーザー側でも特定のユーザー間でのディスカッションやプロジェクトのための「非公開グループ」を独自に作成することができる。Premium版では、Workplaceを利用している「企業」同士の相互連携も行えるため、例えばプロジェクト向けのグループに、Workplaceユーザーである外部の協力会社内にいるユーザーを加えるといった使い方も可能になっている。

「グループ」や「個人」のタイムラインには、個人向けのFacebookと同様、ユーザーはそれぞれにコンテンツを投稿でき、それに対して他のユーザーが「いいね!」やコメントを通じたリアクションが行える。現状、Workplaceの課金体系はユーザー数単位となっており、コンテンツとしてアップする画像、動画、ファイルの容量は「無制限」だ。特に容量の大きなデータを共有したい企業にとっては検討の価値が高いのではないだろうか。

グループの作成画面。用途に合わせて簡単に作成できる

画像や動画などファイルは無制限でアップ可能

・「チャット」などのリアルタイムコミュニケーションも充実
Workplaceでは「Work Chat」と呼ばれる専用のメッセンジャーツールも用意されている。特定のユーザーだけでなく、複数のユーザーを含むグループチャットを作成することも可能で、グループメンバーに対し、チャットを使った「アンケート」を行うこともできる。

リアルタイムコミュニケーション向けの機能としては「音声チャット」「ライブ動画配信」も用意されている。なお、ライブ配信を行った動画はアーカイブ上に保存されるため、社内でのコミュニケーションだけでなく、例えば「全社集会」や「eラーニング(研修)」のような使い方も考えられるだろう。

チャット機能など使いやすいインターフェース

・「管理者」にとって便利なさまざまな機能
個人向けFacebookと「Workplace」の最も大きな違いは、企業の管理者がさまざまな管理機能を利用できる点だろう。Workplaceの管理機能の例としては、

・「ユーザーアカウント」の作成、情報や権限の編集、停止
・「グループ」の作成、編集
・利用状況レポートの参照
・管理者権限の設定

などが挙げられる。

ユーザー管理画面

さらに「Workplace」を使いこなしたいニーズにも対応可能

「ユーザーアカウント」の作成については、他のシステムで利用しているデータの一括インポートもできる。また、Premium版では、グーグルの「G Suite」や、マイクロソフトの「Microsoft Azure AD」といった他のクラウドサービスとも連携が行えるため、既にG SuiteやOffice 365などを導入している企業であれば、これらのサービスとユーザーアカウントの情報をひも付けることもできる。

管理者にとっては、Workplaceの利用状況をレポートとして一覧できる機能も便利だろう。確認できる情報としては、コンテンツの投稿状況、各ユーザーの「Workplace」へのアクセス頻度、特定のコンテンツに対する「既読・未読」の状況、「プロフィール」の完成度、作成されている「グループ」の一覧やそれぞれの利用状況など、多岐にわたる。このレポートから得られた情報をもとに、ユーザーやグループを整理したり、会社としての情報発信の方法や社内SNSの運用スタイルを積極的に改善したりといった取り組みも可能になるだろう。

レポート機能もメニューが充実している

今回は、企業向けFacebookである「Workplace」と個人向けの「Facebook」との違いについて説明した。全体に「Facebook」の便利な機能やユーザビリティを踏襲しながら、加えて、企業で運用するために必要な機能が数多く付加されていることが理解してもらえたのではないだろうか。

「Workplace」のPremium版には、今回紹介したもの以外にも、社内の情報システムの一部として、より高度に「Workplace」を活用できるようにする機能や、サードパーティーによる便利なプラグインが多数提供されている。次回は、それらについて触れてみたい。

サテライトオフィス


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