異国エジプトで働いていた「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【厳しい師匠と気弱な弟子】

カイロっ子の足、市バス。タイプは大小様々ですが、私がよく使うバスには、客引き兼チケット販売のお兄さんが乗っていることがあります。

呼び込みの仕方は大声で行き先を連呼したり、バスの側面をバンバンたたいてアピールしたり、「そこの人、バスに乗らないかい!?」と人に声を掛けたりなど。バスのりばには、同じ方向へ行くバスや他の乗り合いバスなどの商売敵だらけなので、皆乗客へのアピールに余念がありません。とにかく目立ったもの勝ち、という感じです。

ある日乗り込んだバスも、呼び込みのお兄さんが乗車しているタイプのもの。バスはある程度人が集まれば出発するので車内に乗り込んで待っていたのですが、何だか違和感を感じます。

呼び込みのお兄ちゃんは「ギーザ ギーザ ギーザ」とバスの行き先を連呼しているのですが、声がとても小さいのです…! 見た目も気弱そう、というか優しそうな印象。とにかく、こんな小さい声では周りにかき消されてしまいます。

バスのりばのミクロバス

案の定、おっちゃん運転手のどすの利いた大声に負けるお兄ちゃん。おっちゃんは迫力のある声で、お兄ちゃんの声をかき消していきます。一方、お兄ちゃんはそれに対抗するどころか、たまにせき込んでいることも。

大丈夫だろうか、と心配していたら案の定。おっちゃんから「そうじゃねえ!! もっとでかい声を出せ!!!!」と駄目だし。その声もまたでかいのです。お兄ちゃんは、(まだ声量は少ないですが)さっきよりも大きな声でバスをバンバンたたきながら必死にアピール。思わず「がんばれ」と応援したくなりました。

呼び込みもある意味職人技。見習いはこうして仕事を覚えていくのだなと、改めて実感した瞬間でした。


おろぐちともこ
大学時代古代エジプトを勉強していたためエジプトの地を踏むこと6回。7回目に踏み入れた2011年より数年間エジプトで働く。
現在はエジプト人による日本語雑誌を中心に、漫画を描いたりアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながら、ぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。