異国エジプトで、ダブルワークならぬトリプルワークをこなす「おろぐちともこ」が、仕事や現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【強めの香りがお好み?】
友達があるステージに立つということで、別の友人と連れ立って見に行った日のことです。

会場で落ち合った友人が持っていたのはプレゼント用のきれいな花束。気がきくなあ~と感心しつつ、開演時間まで談笑していたところ、会場にいた知らないエジプト人女性がニコニコしながら近づいてくるではありませんか。何だろうと思っていると、「素敵なお花ね、匂いをかがせて」とのこと。

「エジプト人ってロマンチックだし、お花の匂いを嗅ぐのが好きなのかも~! 少女マンガみたい!」と、思った私。「どうぞ」と差し出した花にニコニコして顔を近づけた彼女でしたが、ピタッと真顔に戻り、「香りがしないわ!」と一言。そのままどこかへ立ち去ってしまいました。

カラフルなお花が並ぶカイロのお花屋さん

え? 香りがない? とおもいながら匂いを嗅いでみると、自然のよい香りがします。どういうことだろうと困惑していたところ、友人が「たぶん…」と解説してくれました。

彼女によると、花屋さんによっては、花に香水をシュッシュッと吹きかけてくれるサービスがあるそうです。友人は「香水をかけられそうになったけど、お断りしました」とのこと。後日、エジプト人に聞いてみたところ、全部のお花にはかけないけれど、ちょっと時間のたってしまった花にはやってくれるときもある、とのこと。

言われてみれば、エジプト人は香水が好きな人が多く、花に香りづけをするというのも納得です。お花一つでも、国民性が出るのかもなあ・・・と思ったのでした。


おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。