【連載】

親になって「働く」と向きあう

11 ママたちの議論は有効に機能する? - 「育休プチMBA勉強会」の秘密

 

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母親たちの学びを最大化するための秘密とは

前回の連載で紹介した、育休中の母親たちがスムーズな職場復帰に向けて学ぶ「育休プチMBA勉強会」。私は自分の意見をどんどん発する参加者の姿に、衝撃を受けました。というのも、特に乳児と暮らしていると非言語でのコミュニケーション(泣き声から要求を判断する、表情から察する等)が中心になるため、どうしても母親は自分の言葉を失いやすい傾向にあります。そんな状態で、さらには初対面の人どうしが集まって、いきなり議論させるのは実はとてもハードルの高いことだからです。

その視点に立つと、育休プチMBA勉強会では、有効なディスカッションを生み出すための精巧な仕組みがきちんと存在していることに気づきます。そこで本編では、代表者の国保祥子さんへのインタビューを通して、この勉強会がどのように母親たちの学びを最大化しているかについて掘り下げていきたいと思います。

初対面の母親たちが議論しあえる理由

まずは会の進行役でもある「ファシリテーター」の存在。ファシリテーターは、過去の勉強会参加者の中から立候補し事前にトレーニングを受けた人が、各回1名配置されます。ファシリテーターの育成は、代表者である国保さんが直接担当する形をとっており「Teaching noteと呼んでいる進行計画を各自作成してもらい、それに対するフィードバックを繰り返してブラッシュアップしていきます」とのこと。育休中にその作業をこなすのは容易なことではなさそうですが、「育休中でもファシリテーション手法の勉強や自己研鑚(けんさん)に意欲のある人が、毎回手をあげてくれている」といいます。

「ファシリテーターとは別に、勉強会の運営に携わる運営チームのスタッフが3名程度存在することに加えて、ディスカッションをする際に各テーブルでの議論を見るディスカッションリーダーが配置されます」と国保さん。このように比較的小さく明確なミッションを担う人材を適所に置くことで、ファシリテーターを補強する複層的な運営体制となっていることが特徴的です。そしてこのことが、はじめましての母親同士でもきちんと議論し合える環境を作っているのでしょう。

「両立は無理」の諦めムードをなくしたい

勉強会で用いられるケースは、その場ですぐに読めるよう作成した国保さんオリジナルの資料が中心。労働時間や場所に制約を抱える制約人材(=参加者)のマネジメント思考をトレーニングすることに特化して編さんされたもので、母親自身にマネジメント視点に立った解決策を考えさせる内容のものが多くなっています。最終的には「あなたはどう行動しますか? と投げかけ議論に落とし込む」ことで、自分自身の足りないものに気づかせることを意識しているとのこと。

インタビューの最後では意外にも「この勉強会は、今育休中の人のためにやっているというより、実はこれから出産・育児・復職する人のためにやっている」と語ってくれた国保さん。2つの大学で経営学を教える国保さんにとって最も身近な存在である20代の若者の間に「将来育児と仕事を両立したいけど、無理だろうな」と諦めムードが広がりつつあることに危機感を感じたそうです。そういった意味でも、今子育てをしている世代が育休プチMBAのような場で学ぶことで、また違った背中を後輩たちに見せていくことができるのではないでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

ここるく 代表取締役 山下真実
「わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にできる子育てスタイル」を提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を運営するママ起業家。
投資銀行や金融系コンサルなど金融業界でキャリアを積みつつ、2011年に第一子を出産。初めての子育て中に「今まで気にもとめていなかった当たり前の事が、産後は一気にできなくなるんだ! 」と感じたことがきっかけとなり、現代に合った子育て支援を実現するため2013年にここるくを設立。同サービス運営を通じて得られる働くママ達のリアルな視点とコンサル経験を活かして、企業に対する女性活躍推進コンサルティングを行う。
全プラン託児付き! 新しい子連れランチ・おでかけスタイル「ここるく」

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インデックス

連載目次
第19回 共働きパパほど頑張っている!? 働く父親のワークライフバランス
第18回 ワーママの「やりたいことが分からない」が危険な理由
第17回 仕事満足度の高い時短勤務者が陥りやすい落とし穴とは
第16回 産後の夫婦関係が悪化する理由は「コミュニケーション認識」の違いにあった
第15回 子どもを保育園に通わせる親がやっておくべき防災対策とは
第14回 共働き家庭の防災対策は、予想以上に準備が必要!
第13回 産休・育休から職場復帰後、「やる気がない」と誤解される理由
第12回 4割以上が「妻は家庭を守る」に賛成 - それでも自信を持って私が働ける理由
第11回 ママたちの議論は有効に機能する? - 「育休プチMBA勉強会」の秘密
第10回 働く母になる前の思考トレーニング「育休プチMBA勉強会」
第9回 専業主婦が妻の上司に、働く母の気持ちなんて分かるワケがない!?
第8回 独身女性の上司とうまく付き合っていくには?
第7回 妻が「夫の家事・育児協力に不満」の理由
第6回 上司の「早く帰りなさい」が働く母親を傷つける理由
第5回 今年もよく頑張った! 今こそこの1年で身につけた「チカラ」の総決算を!!
第4回 働く母親は揺らぎやすく、揺らぎやすいから悩みやすい
第3回 埼玉県和光市の日本版「ネウボラ」、施設長に取材
第2回 フィンランドをお手本にした「ネウボラ」、妊娠期から継続的に働く親を支援
第1回 「時短トラップ」は"当たり前"の中に潜む

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