【連載】

親になって「働く」と向きあう

10 働く母になる前の思考トレーニング「育休プチMBA勉強会」

山下真実  [2016/03/02]

10/16

育休中に学べる「プチMBA」とは?

東京都・池袋駅近くにあるオフィスの1室。子連れの母親たちが集結したその部屋は、赤ちゃんのほんわかした匂いが。いつもなら楽しい歌声でも聞こえてきそうなシチュエーションですが、そこで出会ったのは次々と自分の意見を発言しあう母親たちでした。

この日私が訪れたのは、「育休プチMBA勉強会」という育休中の母親たちがスムーズな職場復帰に向けて学ぶ勉強会の会場。そこでは復帰にあたって、「自分自身が労働時間や場所に制約を抱える”制約人材”になる」という状況を客観的に捉え、制約に関わらず組織に必要とされる人となるためにどう行動すればいいかを学びます。運営の中心となっているのは、経営学博士を持ち、会の代表を務める国保祥子氏と、副代表の小早川優子氏。一般的にはマネジメント思考と呼ばれる思考技術で、なんとなく小難しい印象を受けるかも知れませんが、勉強会そのものは参加者である母親たちによる等身大の会話が中心となります。

職場復帰に向けた自信づくりに

勉強会は、ある職場における状況や課題をテーマにした短いストーリー(ケース)を読み、それに対して参加者がコメントし合う形で進められます。4~5名ごとに島を作って座り、それぞれの島に議論のファシリテーションを担うリーダーが配置されますが、そのリーダーも基本的には他の参加者と同じ立場の人です(3回以上勉強会に参加している等、一定の条件はあります)。

ケースを読み終えると、次は互いに意見を出し合う時間となります。テンポよく手が上がり、次々と発言が出ます。会話し始めると参加者の表情が変わり、頭の中が仕事モードに切り替わっていくのがよく分かります。言葉遣いも変化して、まるで職場でミーティングしているようなトーンで会話が進みます。

このように自分の意見を他人に伝える機会や仕事モードに切り替えて思考する時間は、なかなか個人の努力だけでは作り出せないものですが、復帰を見据えて準備するには不可欠です。「育休プチMBA勉強会」では、そういった環境そのものを構築することにも十分な配慮と工夫がなされていることが、参加者の姿から伝わります。

「育休プチMBA勉強会」では講師から答えを教えてもらうのではなく、自分の意見を言語化して発信することを通して、自分の考え方や視点、そしてその特徴について気づかせる内容になっています。MBAというネーミングから「なんだか難しそう」と思う方もいるかもしれませんが、自分がインプットしたものがそのまま自分の得るアウトプットになる感覚で、むしろ最も自分に合ったペースで学べる場なのではないかと感じました。そして、ここで得られる「自分で自分を鍛えた経験」は、復帰に向けた大きな自信につながることは間違いないでしょう。

続いて次回も、「育休プチMBA勉強会」についてお伝えします。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

株式会社ここるく 代表取締役 山下真実

「わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にできる子育てスタイル」を提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を運営するママ起業家。
投資銀行や金融系コンサルなど金融業界でキャリアを積みつつ、2011年に第一子を出産。初めての子育て中に「今まで気にもとめていなかった当たり前の事が、産後は一 気にできなくなるんだ! 」と感じたことがきっかけとなり、現代に合った子育て支援を実現するため2013年に株式会社ここるくを設立。同サービス運営を通じて得られる働くママ達のリアルな視点とコンサル経験を活かして、企業に対する女性活躍推進コンサルティングを行う。

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インデックス

連載目次
第16回 産後の夫婦関係が悪化する理由は「コミュニケーション認識」の違いにあった
第15回 子どもを保育園に通わせる親がやっておくべき防災対策とは
第14回 共働き家庭の防災対策は、予想以上に準備が必要!
第13回 産休・育休から職場復帰後、「やる気がない」と誤解される理由
第12回 4割以上が「妻は家庭を守る」に賛成 - それでも自信を持って私が働ける理由
第11回 ママたちの議論は有効に機能する? - 「育休プチMBA勉強会」の秘密
第10回 働く母になる前の思考トレーニング「育休プチMBA勉強会」
第9回 専業主婦が妻の上司に、働く母の気持ちなんて分かるワケがない!?
第8回 独身女性の上司とうまく付き合っていくには?
第7回 妻が「夫の家事・育児協力に不満」の理由
第6回 上司の「早く帰りなさい」が働く母親を傷つける理由
第5回 今年もよく頑張った! 今こそこの1年で身につけた「チカラ」の総決算を!!
第4回 働く母親は揺らぎやすく、揺らぎやすいから悩みやすい
第3回 埼玉県和光市の日本版「ネウボラ」、施設長に取材
第2回 フィンランドをお手本にした「ネウボラ」、妊娠期から継続的に働く親を支援
第1回 「時短トラップ」は"当たり前"の中に潜む

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