「どうせ私なんて期待されていない……」などと思い込まずに、上司としっかり話し合うことも必要

「小さい子どもがいるんだから、早く帰りなよ」と上司に言われたら、あなたはどう感じますか。

子どもが生まれても働き続けることは男女問わず当たり前の世の中ですし、母親も父親も働きながら家庭と育児の時間を大切にしたいと考えている今の世代にとっては、上記のような上司の言葉掛けはありがたいはずです。しかし、実際にはそんな上司の一言に傷ついたり、働く意欲をそがれたりという人は少なくありません。一体この背景では何が起きているのでしょうか。

「早く帰りなよ」発言以外にも、「復帰する時は時短を取るんでしょ? 」「○○君には、今度こっちのプロジェクトを担当してもらうよ」などといったフレーズも、働く親たちを何気に傷つけてしまう言葉の典型例です。

傷つく理由は部下側にもある!?

言葉を掛ける側である上司本人はどう思っているかというと、まさかその一言が部下を傷つけたりやる気をそいだりしているとは思ってもいません。実際、上記の各フレーズを改めて客観的に見てみると、言葉そのものからは悪意やネガティブさは感じられないと思います。むしろ上司としては部下を思って良かれと思って言っており、配慮や応援の気持ちの表れであることが多いのです。

にもかかわらず言葉を受け取る部下側が傷ついてしまうのは、「きっと今の私は期待されていないんだ」という弱気さや、「残業ができないからしかたないよな…」と制約がある中で働くことへの不安や後ろめたさとの葛藤が自分自身の中にあるからです。一概には言えませんが、ずっとバリバリ働いてきて、親としても頑張って働きたいとやる気のある人ほど傷つきやすい傾向もあると思います。

「早く帰りなよ」といった上司は、仕事と育児の両立を応援しているからこそ、帰れる時には堂々と帰っていいよと言いたかっただけかもしれません。また、今までのようなプレーヤーとしての働き方だけでなく、マネジメントの力もつけてもらいたいと考えているからこそ「別のプロジェクトを担当してみないか」と言っているのかもしれません。

そういった意図を部下にきちんと表現できない上司にも問題があることは否定しません。しかし受け取る側も、「どうせ私なんて期待されてないわ」と最初から否定的に捉えてしまうのは、上司の意図を理解するためのコミュニケーションを怠っていることと同義です。

上司と部下がお互い信頼し合える関係にあれば、子育て時期特有の制約がありつつも組織に貢献し、個人の能力を伸ばす環境はもっともっと整うはずです。親となって働く今後を考えるにあたっては、はじめは勇気がいるかもしれませんが、お互い腹を割って話してみることが重要なのではないでしょうか。

※画像は本文と関係ありません。

著者プロフィール

株式会社ここるく 代表取締役 山下真実
「わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にできる子育てスタイル」を提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を運営するママ起業家。
投資銀行や金融系コンサルなど金融業界でキャリアを積みつつ、2011年に第一子を出産。初めての子育て中に「今まで気にもとめていなかった当たり前の事が、産後は一 気にできなくなるんだ! 」と感じたことがきっかけとなり、現代に合った子育て支援を実現するため2013年に株式会社ここるくを設立。同サービス運営を通じて得られる働くママ達のリアルな視点とコンサル経験を活かして、企業に対する女性活躍推進コンサルティングを行う。
全プラン託児付き! 新しい子連れランチ・おでかけスタイル「ここるく」