今週は「変更履歴」の使い方を紹介する。この機能は、文書に加えた変更を記録しておくことができる機能となる。取引先や社内から送られてきた文書に「変更履歴」が指定されている場合もあるので、自分では「変更履歴」を使う予定がなくても、基本的な操作方法を学んでおく必要があるだろう。

変更履歴の記録

Wordで作成したビジネス文書を社内や取引先で回覧し、内容を校正してもらう場合もある。このような場合によく使用されるのが「変更履歴」という機能である。この機能を有効にしておくと、「文書のどこを修正したのか?」を一目で確認できるようになる。

普通にWord文書を送信して校正作業を進める方法も考えられるが、この場合は修正された箇所を見落としてしまう可能性があり、思わぬトラブルに発展する恐れがある。また、取引先から送られてきたWord文書に「変更履歴」が指定されている場合もある。この場合、「変更履歴」の仕組みをよく知らないと、「なんか、いつもと動作が違う……」と戸惑ってしまうことになる。念のため、使い方を覚えておくとよいだろう。

まずは「変更履歴」を有効にする方法から紹介する。文書に加えた変更を記録する時は、「校閲」タブを選択し、「変更履歴の記録」→「変更履歴の記録」を選択する。

変更履歴の記録

すると「変更履歴」が有効になり、以降の文字修正がWordに記録されるようになる。例えば、文字の追加/修正/削除といった操作を行うと、その行の左端に「赤色の線」が表示される。

文字の追加/修正/削除を行うと…、

その行の左端に「赤色の線」が表示される

つまり、この「赤色の線」を“変更あり”の目印として活用できるわけだ。このように「変更履歴」を有効にすると、文書の変更箇所を一目で確認できるようになる。

変更履歴の確認

「変更履歴」を有効にした文書では、変更の有無だけでなく、変更内容を確認することも可能となる。変更内容を確認する時は、各行の左端にある「赤色の線」をクリックすればよい。すると、以下の図のように変更内容が文書内に赤字で表示される。

「赤色の線」をクリックすると…、

変更内容を確認できる

また、「校閲」タブのリボンにも変更内容の表示/非表示を切り替える項目が用意されている。

表示方法の選択

この項目で表示方法を指定した場合は、それぞれ以下のように文書が表示される。

  • シンプルな変更履歴/コメント ……… 変更がある行を「赤色の線」で表示
  • すべての変更履歴/コメント ………… 変更内容を文書内に「赤字」で表示
  • 変更履歴/コメントなし ……………… 変更後の文書を表示(最終版)
  • 初版 …………………………………… 変更前の文書を表示

「変更履歴/コメントなし」や「初版」を選択した場合は、普段と同じように文書が表示されるが、この場合も「変更履歴」は有効に機能している。

「初版」を選択した場合の文書の表示

特に「初版」を選択した場合は注意が必要となる。この場合、画面に表示されている内容は「最終的な文書」ではなく、「変更前の文書」となる。よって、この状態のまま編集作業を続けると、間違いを二重に修正してしまったり、他の人が修正した内容を見落としてしまう可能性がある。トラブルに発展しやすい表示方法といえるので、よく確認しておく必要があるだろう。

変更履歴の承認と取り消し

続いては、変更された内容を確認し、その情報を「変更履歴」から削除する方法を紹介する。この作業を行うときは、変更された文字を選択し、「校閲」タブにある「承認」をクリックすればよい。すると変更が反映され、その箇所の「変更履歴」が削除される。

変更された文字を選択し、「承認」をクリックすると…、

変更が確定されて「変更履歴」が削除される

これとは逆に、変更を無視した状態で「変更履歴」を削除する場合は「元に戻す」というコマンドを使用する。「承認」コマンドと合わせて覚えておくとよいだろう。

変更された文字を選択し、「元に戻す」をクリックすると…、

変更が取り消されて「変更履歴」が削除される

変更履歴の記録の終了

最後に、「変更履歴」の記録を中止する方法を紹介しておこう。この場合は、「校閲」タブにある「変更履歴の記録」→「変更履歴の記録」を再び選択してOFFにする。

「変更履歴の記録」の終了

これで、通常のWord文書に戻すことができる。ただし、「承認」(または「元に戻す」)の操作をしていない「変更履歴」はそのまま維持される。この操作は、新たに「変更履歴」を記録するのを中止する操作であり、「変更履歴」そのものを削除する操作ではない。間違えないように注意すること。

ちなみに、このコマンドにある「変更履歴のロック」は、パスワードを設定して他人が勝手に「変更履歴の記録」を終了するのを防ぐ機能となる。

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なお、次回の連載では、「変更履歴」と一緒に使用されることが多い「コメント」について紹介する。「変更履歴」と合わせて使い方を覚えておく必要があるだろう。