Wordには、各段落の役割を示す「アウトライン レベル」という書式が用意されている。この書式は、文書の見た目を変更するものではなく、文書の構造を明確に示すための書式となる。ページ数の多い文書を作成する時には欠かせない存在となるので、この機会に使い方を覚えておくとよいだろう。

アウトライン レベルとは?

アウトライン レベルは「段落の書式」の一種となるが、文字の見た目や配置を指定する書式ではない。アウトライン レベルは、おのおのの段落が"どのような役割"を担っているかを示す書式となる。もっと具体的に説明すると、各段落が「見出し」として記述されているのか、それとも「本文」として記述されているのかを示す書式となる。

通常、「見出し」として扱う段落は、文字サイズを大きくしたり、太字の書式を指定したりするのが一般的である。しかし、これらの書式指定は単純に“文字の見た目”を指定するものであり、各段落の役割を示すものではない。Wordの立場からすると、「たとえ文字サイズが大きかったとしても、その段落が"見出し"であるかどうかを勝手に判断できない……」ということになる。そこで、各段落の役割を「アウトライン レベル」で明確に示しておく必要がある。

アウトライン レベルには、「本文」または「レベル1」~「レベル9」の値を指定することが可能となっている。その初期値はすべて「本文」が指定されているため、特に意識することなく文書を作成していくと、すべての段落が「本文」として扱われることになる。このような状態では、Wordに用意されているさまざまな機能を十分に活用できない。Wordをより快適に使用するためにも、各段落に適切なアウトライン レベルを指定しておくとよいだろう。

アウトライン レベルの指定

それでは、アウトライン レベルの書式を指定する手順を紹介していこう。最初はすべての段落に「本文」のアウトライン レベルが指定されているので、"見出し"として扱いたい段落のみ書式を変更していくのが基本的な流れとなる。

"見出し"として扱う段落は、アウトライン レベルに「レベル1」~「レベル9」の値を指定する。この数値が小さいほど、上位の"見出し"になると考えればよい。例えば、【第○章】-【第○節】-【第○項】といった階層構造で文書を作成する場合は、【第○章】の段落には「レベル1」、【第○節】の段落には「レベル2」、【第○項】の段落には「レベル3」のアウトライン レベルを指定すればよい。

アウトライン レベルの書式は「段落」の設定画面で指定する。アウトライン レベルを変更する段落(見出し)を選択し、「ホーム」タブの段落の領域にある「起動ツール」(小さい四角形のアイコン)をクリックしよう。

「段落」の設定画面の呼び出し

「段落」の設定画面が表示されるので、文書の階層構造に合わせて「アウトライン レベル」の値を変更する。今回の例の場合、選択した段落は"最上位の見出し"となるため、「レベル1」を指定すればよいことになる。

アウトライン レベルの指定

「OK」ボタンをクリックすると、アウトライン レベルの指定が確定される。続いて、この段落の上へマウスを移動させると、左端に三角形のマークが表示されるのを確認できると思う。これが"見出し"として扱われる段落、すなわち「レベル1」~「レベル9」のアウトライン レベルが指定されていることを示す記号となる。

アウトライン レベルを変更した段落

同様の操作をそれぞれの"見出し"で繰り返していくと、文書の構造を明確に示すことが可能となる。以下の図は、「1.1 東海道新幹線」の段落にアウトライン レベルを指定している様子を示したものだ。この段落は"2階層目の見出し"として扱うので、アウトライン レベルには「レベル2」を指定することになる。

"見出し"の階層に応じてアウトライン レベルを指定

スタイルの書式を変更してアウトライン レベルを指定

何ページにも及ぶ長い文書では、スタイルを使って"見出し"の書式を指定するのが一般的だ。このような場合は、アウトライン レベルの書式指定を含めた形でスタイルを作成しておくとよい。すると、“見出し”にスタイルを適用するだけで、アウトライン レベルも同時に指定できるようになる。

すでにスタイルを作成している場合は、以下の手順でスタイルの書式を変更しておくとよいだろう。前々回の連載でもスタイルの書式を変更する手順を説明しているが、念のため詳しい操作手順を紹介しておこう。

「スタイルの一覧」を表示し、"見出し"の書式指定に用いるスタイルを右クリックして「変更」を選択する。

「スタイルの変更」の呼び出し

「スタイルの変更」の画面が表示されるので、左下にある「書式 ▼」ボタンをクリックし、「段落」を選択する。

「段落」の設定画面の呼び出し

すると、「段落」の設定画面が表示される。ここで適切なアウトライン レベルを指定してから「OK」ボタンをクリックすると、スタイルにアウトライン レベルの書式指定を含めることができる。

アウトライン レベルの指定

同様の操作を他の"見出し"のスタイルでも行うと、アウトライン レベルの指定が完了する。以降はスタイルを適用していくだけで、アウトライン レベルの指定も同時に済ませることが可能となる。もちろん、すでにスタイルが適用されている段落(見出し)にもアウトライン レベルの指定は反映されるので、それぞれの"見出し"でアウトライン レベルの書式を指定しなおす必要はない。

アウトライン レベルの活用

“見出し”の段落にアウトライン レベルを指定すると、それに続く「本文」を折りたたんで収納するすることが可能となる。本文の収納/展開を切り替える時は、左端に表示される三角形のマークをクリックすればよい。

本文を展開して表示した場合(通常の表示)

本文を折りたたんで収納した場合

「本文」を一時的に非表示にして、文書の構造をコンパクトに表示したい場合などに活用できるだろう。そのほか、「ナビゲーション」ウィンドウに文書の構造を表示したり、目次を自動作成したりする機能などを利用できるようになる。これらについては、次回以降の連載で詳しく紹介していこう。

「ナビゲーション」ウィンドウ

目次の自動作成