今週は、図形や写真などを整列させる「配置」コマンドについて紹介しておこう。操作手順は簡単であるが、思い通りに整列させるにはその仕組みをよく理解しておく必要がある。

アイテムを揃えて配置

Wordには、図形や写真などを整列させることができる「配置」コマンドが用意されている。このコマンドを利用するときは、複数のアイテムを同時に選択した状態で「書式」タブの「配置」コマンドをクリックし、一覧から整列方法を選択すればよい。複数アイテムの同時選択は、「Shift」キーや「Ctrl」キーを押しながらアイテムをクリックしていくと実行できる。

「配置」コマンド

「配置」コマンドそのものの使い方は特に難しくないので、詳しい操作手順を解説しなくても利用できるだろう。ただし、「どこを基準に整列されるか?」については仕組みをよく理解しておく必要がある。ここでは以下の図のような状況を例に解説していこう。

アイテムの初期配置

この状態で「配置」コマンドから「左揃え」を選択すると、一番左にあるアイテムを基準に整列が行われる。同様に、「右揃え」を選択した場合は、一番右にあるアイテムを基準に整列が行われる。この考え方は「上揃え」「下揃え」の場合も同じである。

「左揃え」で整列させた場合

「右揃え」で整列させた場合

「左右中央揃え」や「上下中央揃え」を選択した場合は、全アイテムの中心部分にあたる位置を基準に整列が行われる。

「左右中央揃え」で整列させた場合

「配置」コマンドを使ってアイテムを整列させるときは、このような仕組みを理解しておくことが基本となる。これを曖昧にしたまま操作を続けると、『思い通りの位置に配置できない…』という状況に陥る可能性がある。よく覚えておこう。

任意の位置を基準に整列させるには…?

整列の基本的な仕組みを解説できたところで少し応用編を紹介しておこう。以下の図において、「ペンギンの写真」を基準に「左揃え」するにはどうしたらよいだろうか? 先ほど解説した仕組みに従うと、このまま「左揃え」を実行しても「灯台の写真」を基準に整列が行われるため、目的とする配置にはならない。

アイテムの初期配置

このような場合は「灯台の写真」を右方向へ平行移動し、「ペンギンの写真」が一番左になる状態にしてから「左揃え」を実行するとよい。これで「ペンギンの写真」を基準に「左揃え」で配置できるようになる。なお「灯台の写真」を平行移動するときは、「Shift」キーを押しながらマウスをドラッグして移動させると真横に移動させることができる。

このような配置にしてから「左揃え」を実行

このように「左揃え」「右揃え」「上揃え」「下揃え」の場合は、元の配置を工夫することで、任意のアイテムを基準に整列させることが可能である。問題となるのは「中央揃え」で整列させる場合だ。この場合、どのアイテムも絶対的な基準にすることができないため、それなりの工夫が必要となる。

ここでは、先ほどと同じ初期配置の状態から「ペンギンの写真」を基準に「左右中央揃え」する方法の一例を示しておこう。

(1)適当な図形を描画し、「ペンギンの写真」を基準に「左揃え」で配置する。

基準となる図形の描画と配置

(2)「ペンギンの写真」と「灯台の写真」を選択し、「左右中央揃え」で整列させる。
(3)2つの写真を選択した状態のまま右方向へ平行移動させる。

2つの写真を「左右中央揃え」して右方向へ平行移動

(4)2つの写真を「グループ化」する。
(5)手順(1)で描画した図形を基準に「左揃え」で整列させる

図形を基準に「グループ化した写真」を「左揃え」

(6)手順(1)で描画した図形を削除する
(7)必要に応じて写真のグループ化を解除する

こういった手順を踏むことで、「中央揃え」の場合でも任意のアイテムを基準に整列させることが可能となる。もちろん、上記に示した手順のほかにも色々と手法は考えられるだろう。パズル問題のようではあるが、「配置」の仕組みをよく理解していれば、さまざまな状況に対応できるはずだ。

用紙や余白を基準に整列

最後に、用紙や余白を基準に整列させる方法を紹介しておこう。この場合は、あらかじめ配置方法を変更してから「配置」コマンドを実行すればよい。

配置方法の指定

「用紙に合わせて配置」を指定した場合は、用紙の左端/中央/右端、もしくは上端/中央/下端が基準になる。一方、「余白に合わせて配置」を指定した場合は、余白の左端/中央/右端、もしくは上端/中央/下端が基準になる。

「用紙に合わせて配置」で「左揃え」した場合

「余白に合わせて配置」で「上揃え」した場合

このような整列方法も覚えておくと役に立つかもしれない。アイテムの整列は万人が必要とする機能ではないが、作成する文書の内容によっては必須の機能となる。利用する可能性がある方はいちど研究してみるとよいだろう。