Wordには、文書の雛形となるテンプレートを作成する機能も用意されている。この機能を活用すると、新たに文書を作成する際にスタイルを登録する手間などを省くことが可能となる。今回はテンプレートの作成方法について紹介しておこう。

テンプレートとは…?

本連載ではこれまで、主に以下のような内容について紹介してきた。

・ヘッダー・フッターなど文書全体に関わる書式
・意外と知られていないが上手に使うと便利な書式
・スタイルの効果的な活用方法

これらの内容を十分に理解していれば、ある程度は自由に文書を作成できるようになるはずだ。しかし、問題も残されている。それは、いちいち書式を指定していくのが面倒なことである。文字や段落の書式をスタイルとして登録しておけば、以降の書式指定を簡略化できるが、スタイルを登録するまでの作業そのものが「面倒な作業」となるケースも少なくない。そこで、テンプレートを有効活用する方法も覚えておくとよい。

テンプレートとは、文書全体に関わる書式やスタイルなどが記録された「文書の雛形」のこと。このような雛形を作成しておけば、次回からはスタイルの登録やヘッダー・フッターの設定などを行わなくても、すぐに文書の作成に取り掛かれるようになる。

テンプレートの作成手順

それでは、テンプレートの作成手順を具体的に紹介していこう。

まずは雛形となる文書を用意する。ここでは、新しい文書にヘッダー・フッターの設定やスタイルの登録などを行い、文書の雛形を作成していくのが基本である。しかし、スタイルをゼロから登録していくのは面倒で、白紙の文書ではイメージしにくい部分も多いであろう。したがって、既存の文書を利用した方が効率的である。すでにスタイルの登録やヘッダー・フッターの設定が済んでいる文書を開く。

テンプレートの作成に利用する文書

文書を開いたら「Ctrl」+「A」キーを押して文書全体を選択し、「Delete」キーですべての文章を削除する。これで必要なスタイルだけが登録された白紙の文書を作成できる。なお、もともと登録されていたスタイルのほかにも必要なスタイルがある場合は、この時点で登録しておくとよい。

文章を削除した文書

続いて、ヘッダー・フッターをテンプレート用に変更する。文書のタイトルが入力されている場合は、その文字を「文書タイトル」などの文字に変更する。そのほか、日付が入力されている箇所を「ここに日付を入力」に変更するなど、ヘッダー・フッターを汎用化するための修正を行う。ページ番号の設定は他の文書でもそのまま利用できる場合が多いので、必ずしも修正する必要はない。

ヘッダー・フッターの汎用化

これでテンプレート用文書の作成は完了となる。この文書をテンプレートとして保存するときは、「ファイル」タブを選択して「名前を付けて保存」をクリックする。

画像左のキャプションはここ

すると保存用のダイアログが表示されるので、「ファイルの種類」に「Wordテンプレート」を選択し、適当なファイル名を入力してから「保存」ボタンをクリックする。保存先のフォルダは各自の好きなフォルダでよい。

テンプレートとして保存

以上でテンプレートの作成作業は完了。一度、Wordを終了させておこう。保存先フォルダを開くと、以下の図のようなアイコンのファイルを確認できると思う。これがWordのテンプレートファイルとなる。

Wordのテンプレートファイル

作成したテンプレートの利用手順

続いては、作成したテンプレートを基に新しい文書を作成する方法を紹介する。この手順はいたって簡単で、先ほど作成したWordのテンプレートファイルをダブルクリックしてWordを起動するだけでよい。すると、テンプレートを保存したときと同じ状態で「文書1」の新規文書が表示される。

テンプレートから作成した新規文書

この文書には必要なスタイルがすでに登録されているため、文字入力とスタイルの適用を繰り返すだけで、レイアウトの整った文書を作成することが可能となる。

文字入力とスタイルの適用

もちろん、ヘッダー・フッターに入力されている「文書タイトル」や「日付」などは自分の手で修正しなければならないが、1~2箇所程度の修正なので大した手間にはならないはずだ。

ヘッダー・フッターの修正

新しい文書の作成がある程度進んだら文書をファイルに保存する。この手順に特に変わった点はなく、「Ctrl」+「S」キーなどの操作で普通に文書を保存すればよい。「上書き保存を実行すると、テンプレートファイルが更新されてしまうのでは…?」と心配される方もいるかもしれないが、そのような心配は無用である。いきなり保存を実行してもちゃんと新しい文書ファイルとして保存されるので、特に気を使う必要はない。

このように、テンプレートを作成しておくと、「文章を考える時間」と「スタイルを適用する手間」だけで文書を作成できるようになる。文書の形態に応じて何パターンかテンプレートを用意しておけば、さまざまな文書に対応できるであろう。さらに、部署内でテンプレートを共有しておけば、同僚がテンプレートを作成する手間を省くことができ、部署内で文書レイアウトを統一することも可能となる。使い方次第で大変便利な環境を構築できるので、ぜひ試してみるとよいだろう。