1900 年、官営八幡製鐵所の付属病院として設立され、地域に根ざした病院として親しまれている社会医療法人 製鉄記念八幡病院。少子高齢化が進む中、医療機関が担う役割はいっそう重要なものとなっており、同病院でも、「地域のニーズに合わせた良質な医療を提供するべく、どのような役割を担うべきか」というテーマのもと、変革の時期を迎えています。

このような背景下で、製鉄記念八幡病院では「管理会議」の重要度が増しており、その回数や密度は増加の一途をたどっています。同病院の舵取りの場ともいえるこの会議は、これまで紙の資料を配付する形で行われていましたが、増し続ける印刷の部数と手間、そして重要情報ゆえに必須なアーカイブの方法について課題を抱えていたことから、Surface Pro 3 の導入によるペーパーレス化を決意。現在は管理会議だけではなく、その他の会議でもペーパーレス化が進み、コストと効率の削減と重要情報のアーカイブを実現しています。

プロファイル

社会医療法人 製鉄記念八幡病院は、1900 年、官営八幡製鐵所構内の付属病院として生まれました。現在の地に移ったのは 1908 年。1974 年に地域住民への診療が全面開放されて以降、453 病床を持つ地域密着型の基幹病院として、多くの人の信頼を得てきました。製鉄記念八幡病院では2025 年に向けて国が進めている地域医療構想に従い、近隣病院および医師会との密接な連携のもと、ニーズに合った良質な医療提供にまい進していきます。

導入の背景とねらい
毎週、数百枚もの資料が配付される管理会議。重要情報ゆえ、そのアーカイブに苦労していた

社会医療法人 製鉄記念八幡病院

社会医療法人 製鉄記念八幡病院
理事長
病院長
土橋 卓也 氏

医療機関にとって変革のときを迎えている今、期待される役割について、社会医療法人 製鉄記念八幡病院 理事長 病院長 土橋 卓也 氏は次のように説明します。

「症状が複雑化する中、近隣病院および医師会などと連携し、ニーズに合った良質な医療を提供していくことが求められています。それをどのようにして進めるべきなのかを検討しているところです」(土橋 氏)。

今後の方針や取り組みについて議論をしたり、各部門からの要求に対して意志決定をしたりするために、同病院では毎週「管理会議」と呼ばれる会議を開催。多いときには 20 個以上もの議題について議論されることもあるといいます。

管理会議の場で以前から課題となっていたのが、紙の資料の多さでした。「毎回、数百枚を超える紙が配付され、その多さに辟易していました」と、土橋 氏は当時を振り返ります。

会議に向けた資料の印刷を担当していた、社会医療法人 製鉄記念八幡病院 総務部 総務課 佐藤 毅 氏は、当時の印刷部数について次のように語ります。

社会医療法人 製鉄記念八幡病院
総務部
総務課
佐藤 毅 氏

「たとえば 1 議題 2 枚の資料だとしても、それが 10 議題あれば合計で 20 枚となります。管理会議の出席者は 8 人なので、1 回の会議で印刷する総数はそれだけで 160 枚にもなります。なんとか削減できないかと思っていたのです」(佐藤 氏)。

配布資料の多さやコスト以外にも、従来の会議には問題があったといいます。「最も課題だと感じていたのは、アーカイブをどうするかでした。配付された資料は、そのときは重要ではないと思っても、後に重要度が増して見返すことがあります。そのため、捨てることはできず保管しなければならないのですが、どんどん増え続ける紙の資料に頭を悩ませていました」(土橋 氏)。

加えて、佐藤 氏側では、資料準備にかかる時間を削減したいという思いがあったといいます。

「最も大変なことは、資料が一度で確定せずに差し替えが発生することです。会議が始まる 1 時間前に『差し替えてほしい』と言われることもありましたが、そのたびに資料を印刷し直すため、会議の準備にかなり時間がかかっていました。コスト削減もありますが、印刷にかかる手間を削減したいというのも大きな思いでした」(佐藤 氏)。

紙ベースの会議にまつわる「アーカイブ化」「コスト削減」「工数削減」という課題を解決するべく、製鉄記念八幡病院では、2014 年の後半にて、会議のペーパーレス化に着手することを決定しました。

システム概要と導入の経緯
会議参加者へストレスを与えない操作性と、導入ハードルの低さから、Windows OS を搭載した Surface Pro 3 を採用

社会医療法人 製鉄記念八幡病院
経営管理部
情報システム課
小林 誠 氏

「プロジェクトの目的は、会議資料の電子化でした。これまでシステムを導入する際には短期間で大きな投資をすることもありましたが、今回は段階的に導入を進めています。ペーパーレスや電子化は、医療機関の IT 活用において非常に大きなテーマであり、かかわる部門も多岐に渡ります。それゆえ、病院全体への適用には莫大な投資が必要になり、まずは効果検証をするために、スモール スタートとして簡単に会議のペーパーレス化が実現できる方法を検討したのです。さまざまな方法を検討した結果、資料を閲覧するための専用デバイスを会議室に設置することが決まりました」と、社会医療法人 製鉄記念八幡病院 経営管理部 情報システム課 小林 誠 氏は語ります。

閲覧用のデバイスの条件として挙げたのは、第一に、Word や Excel などの Office 製品をずれることなく開けること。「業務で利用している PC は Windows PC ですので、会議資料は Word や Excel などの Office 製品で作成されます。ペーパーレス化の成功において、デバイスでの閲覧が会議参加者のストレスにならないことは絶対条件だと考えておりますので、まずは Office で作成したファイルを不自由無く閲覧できるかどうか、という観点で検討を開始しました」と、小林 氏は続けます。

当初は、操作性の高い iPad も検討したといいますが、前述の条件が満たされないことに加え、院内ネットワークへの接続にコストや工数が発生してしまうため、採用は見送られました。

「製鉄記念八幡病院に導入されている情報系システムは、多くが Windows Server 上で構築、運用されており、ネットワーク認証も、Microsoft Active Directory を使用しています。そのため、iOS などの場合、接続と認証で追加のコスト、工数が発生します。会議参加者が Windows を使い慣れていたという背景もありましたので、Windows OS が搭載されたデバイスを中心に、比較検討しました」(小林 氏)

会議での資料閲覧が目的ですが、将来的なシステムの拡張も見据え、情報のインプットも行える Windows 2 in 1 デバイスを前提に検討が進められました。その中で Surface Pro 3 が採用された主な理由は、「画面の大きさ」と「物理ボタンの押しやすさ」の 2 点です。

「並行して Office 365 の導入も進めていましたので、デバイスの導入当初は閲覧のみの用途でも、将来的な可能性を考え 2 in 1 デバイスにて検討を進めました。また、デバイスがしっかり活用されなければペーパーレス化や電子化の成功はないため、視認性を高めるための画面サイズと解像度をまず重要視しました。加えて、すべての会議参加者が 2 in 1 デバイスの操作に慣れているわけではないため、利用時におけるつまずきも可能な限り排除したいと考えました。Surface Pro 3 の画面サイズは、一般的なタブレットと比べて一回り大きい 12 インチのフル HD ディスプレイを採用していますし、電源などの物理ボタンも明瞭な位置にありわかりやすく、今回の導入目的に合致していると判断しました」(小林 氏)。

最終的な検討は理事長である土橋 氏も交えて行われ、2015 年 3 月、管理会議用に Surface Pro 3 を採用することが決定。実は土橋 氏自身も Surface のユーザーだといいます。操作性の良さはすでに実感しており、「Surface であれば、会議の電子化はうまくいくだろう」と手応えを感じたと振り返ります。

デバイスの決定後、システムの構築と検証が行われましたが、会議参加者のユーザー ID で Surface Pro 3 にログインし、そこからネットワーク経由でファイル サーバーへアクセスするという非常にシンプルなシステム構成のため、作業時間は要さなかったといいます。「専用の共有フォルダーへ会議資料を格納し、参加者が Surface Pro 3 上から共有フォルダーへアクセスする方法を採用しました。情報システム課の作業としては、これまで業務用の PC を導入してきたものと同じ内容になります。こんなにも簡単に会議のペーパーレス化を行えたことに少し驚いたくらいでした」と、小林 氏は導入ハードルの低さを評価します。そうして 2015 年 8 月より、Surface Pro 3 を使った管理会議の運用は開始されました。

ペーパーレス会議への切り替えは、一気にではなく少しずつ進めたと佐藤 氏は語ります。

「運用を開始した月は、電子会議にまず慣れてもらうために、Surface Pro 3 のみでなく紙の資料も配付し、デバイスと紙を併用して会議を進めました。『慣れるまでに 1 か月以上はかかる』という想定を立て、移行期間が必要だと考えたのです」(佐藤 氏)。

しかし実際に運用を開始してみると、2 ~ 3 回目の会議から紙を見る頻度が減り、1 か月後には紙の資料配付が撤廃されたといいます。「マウス操作とは異なるタッチ操作にとまどう参加者もいましたが、操作方法を教えるとすぐに全員が使いこなせるようになりました。想定よりもかなり早くペーパーレスへ切り替えられましたので、製品選定に間違いはなかったのだと思います」と、佐藤 氏は胸を張ります。

参加する 8 名全員が Surface Pro 3 上で資料の閲覧を行い、管理会議は進行されています

閲覧する資料は自動的にファイル サーバー上にアーカイブ化されるため、重要度が突然増した過去の資料でもすぐに閲覧することが可能

導入製品とサービス

  • Surface Pro 3
  • Office 365

導入メリット

  • 毎週増え続ける会議資料の保存と管理をシンプルに解決でき、有事の際すぐに過去の資料を閲覧できるようになった
  • ペーパーレス化により、会議前の準備にかかる工数を大幅に削減。院内全体のペーパーレス化、電子化への入り口となり、コスト面の効果も今後期待される
  • 並行した Office 365 の導入により、新たな医療提供体制へ向けた、システム面の事前整備が進められた

導入の効果
すべての資料がアーカイブされる安心感に加え、カラー表示により資料の視認性も向上

Surface Pro 3 の導入で管理会議をペーパーレス化したことにより、数百枚にも及ぶ毎週の資料配布がなくなりました。また、目的としていた「資料のアーカイブ」についても、すでに大きな効果が出ていると土橋 氏はいいます。

「会議の資料はすべて共有ファイルで保存されていますので、『有事の際、いつでも過去の資料を閲覧できる』という安心感があります。これまで、私を含めたすべての参加者が、毎週増え続ける資料の保管に困っていました。なかには自分で PDF データ化して保存する人もいた状況でしたが、そんなことに悩む必要はなくなりました。自分のローカル PC にコピー アンド ペーストすれば、常に閲覧できる状態にもできます。ふと必要になったとき、すぐに閲覧できる環境ができたことは、1つひとつの会議の重要性が高まっている今、非常にありがたいことなのです」と、土橋 氏は安心した表情で話します。

導入前は想定していなかった効果もあったといいます。

「資料の視認性が紙よりも向上したと、会議の参加者から報告を受けました。細かい数値が記載されている経理資料などは、本来、見分けがつきやすいよう色分けされています。ですが、これまで資料はモノクロで印刷していましたので、どの数字が何を指すのか不明瞭なことがたびたびあったのです。Surface Pro 3 であれば、当然ですが色分けされた状態で閲覧できますので、こういった資料に関して、視認性が大幅に向上しました」(小林 氏)。

また、ペーパーレス化によって、佐藤 氏がこれまで行っていた印刷作業もなくなり、会議の準備にかける工数が大幅に削減されたといいます。

管理会議のペーパーレス化がスムーズに進み、資料のアーカイブと工数削減の面で確実な効果がみえた製鉄記念八幡病院。同病院ではこの成功を受け、管理会議以外にもペーパーレス化の取り組みを広げています。月に 1 回行われる、約 80 人が参加する全体会議の会場では、合計 3 台のモニターに資料を映し出すシステムを構築し、2016 年度にはさらにペーパーレス化が進められていく予定です。「Surface Pro 3 の導入により、ペーパーレスの効果を確実に感じられ、院内全体のペーパーレス化、電子化への入り口となりました」と、佐藤 氏は管理会議におけるプロジェクト成功の重要性を強調します。

今後の展望
構想されている訪問看護ステーションの設置、そこにおける遠隔医療デバイス用途としても期待

製鉄記念八幡病院では、管理会議や全体会議のほか、月に 50 回ほど開催される委員会会議など、さまざまな会議が行われており、それらはまだ紙ベースで資料が配布されています。小林 氏は「それらもいずれはペーパーレス化していきたいと考えています」と意気込みます。

また、同病院ではペーパーレス化とは別に、Office 365 の導入プロジェクトも並行して進められています。

「自社で構築したグループウェアが古くなってきたこと、これから変化していく医療提供の形にグループウェアも適合する必要があったことが、Office 365 導入の背景になります。拡張性を考慮すれば、グループウェアの基盤はクラウド化した方がよいと判断し、Office 365 を採用しました。まだメール システムの Exchange Online への移行を進めている段階ですが、今年度内には試験的に稼働させ、ユーザーの意見を聞いたうえで他のアプリケーションもクラウド化していきたいと思っています」 (小林 氏)。

ペーパーレス化とは別の意図で導入が進められた Office 365 ですが、Office 365 上では Skype for Business も利用することができるため、Surface Pro 3 と組み合わせた会議形式の広がりも期待できると土橋 氏は語ります。

「現在、看護師が患者さまのもとに訪問する『訪問看護ステーション』の立ち上げが、管理会議にて議論されています。この場合、看護師しかいないステーションを各地に配置することになるのですが、ステーションの看護師が医師の判断を必要とする場面は間違いなく発生します。Surface Pro 3 と Skype for Business であれば、患者のようすを映しながら医師と看護士が会話できますので、より患者さまのニーズに合った医療サービスが提供できるようになるでしょう。今後、医療提供体制の再構築が進行するにつれて、いま挙げた内容以外にも、新たな医療提供の形が生まれてきます。いずれはこういった場面での活用も検討していきたいと思っています」 (土橋 氏)。

また、会議以外の場面での活用についても、「現在市場に出ている電子カルテ システムは画一的で、紙のような自由度がないのが課題となっています。最新の Surface Pro 4 は、Surface Pro 3よりもさらにペンの精度が良くなり、より手書きと近い書き心地になっています。いずれは電子カルテのデバイスとしての採用も、視野に入れていきたいですね」と、小林 氏は語ってくれました。

「住民の暮らしを支え、健康長寿を目指した地域作りに貢献します」という使命を胸に、これからも製鉄記念八幡病院は、持ち前の機動力を発揮し、最適な医療提供に向けたチャレンジを続けていきます。

ユーザー コメント
「会議の資料はすべて共有ファイルで保存されていますので、『有事の際、いつでも過去の資料を閲覧できる』という安心感があります。これまで、私を含めたすべての参加者が、毎週増え続ける資料の保管に困っていました。なかには自分で PDF データ化して保存する人もいた状況でしたが、そんなことに悩む必要はなくなりました。自分のローカル PC にコピー アンド ペーストすれば、常に閲覧できる状態にもできます。ふと必要になったとき、すぐに閲覧できる環境ができたことは、1つひとつの会議の重要性が高まっているいま、非常にありがたいことなのです」

社会医療法人 製鉄記念八幡病院
理事長
病院長
土橋 卓也 氏

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