神奈川県横須賀市で唯一、全日制と定時制の総合学科を持つ横須賀市立横須賀総合高等学校。「情報」と「国際」を教育の柱に掲げる同校では、全生徒への PC 配付をもった、ユニークな ICT 教育が実践されています。さらに 2014 年度からは、配付デバイスを従来のノート PC から 2 in 1 Windows タブレット デバイスへ一新したことで、生徒のデバイス利用はさらに積極化しました。学校生活における ICT 利活用の定着化が進んだことで、デバイスを活用した授業効率は向上。そしてそれがまた、ICT の実践能力を高めるという、正のサイクルを生み出しています。

配付デバイスの積極利用を促すにあたり、同校では携行性と操作性を重要視したデバイス選定が進められました。それらを高いレベルで両立できると評価し、2014 年度と 2015 年度の新入生には Surface Pro 3 が、2016 年度の新入生には Surface Pro 4 が導入され、教員への Surface Pro 配付も今後、検討されています。

プロファイル

普通科、商業科、工業科の 3 つの高校の歴史と伝統を受け継ぎながら、新たに全日制 8 系列、定時制 3 系列を持つ総合学科高校として 2003 年に創設された、横須賀市立横須賀総合高等学校。「一人ひとりの良さを伸ばし、自ら学び、主体的に考え判断し、行動できる、心豊かでたくましく生きる力に溢れた人間を育成する」ことを教育目標に掲げる同校は、その実践をもって、期待に応える教育活動へ向けてまい進していきます。

導入の背景とねらい
配付 PC が所持されないという課題を解消すべく、新たなデバイスの導入を検討

神奈川県横須賀市に、普通科と商業科、工業科の市立高校 3 校を統合する形で創設された、横須賀市立横須賀総合高等学校 (以下、横須賀総合高等学校)。同校が創設された 2003 年は、文部科学省の働きかけにより、高校のカリキュラムにおいて「情報」教育が強化された年にあたります。それを受けて横須賀総合高等学校では、創設時より、生徒用に 1 人 1 台の PC を配付したユニークな教育が実践されています。

横須賀市立横須賀総合高等学校

全生徒へ向けて個人用 PC を配付し行われている同校の教育ですが、そのねらいについて、横須賀市立横須賀総合高等学校 情報科 情報国際G 総括教諭 石井 徳人 氏は、次のように説明します。

「グローバル化が進む昨今において、ICT の利活用は重要な教育テーマです。義務教育においても、どのようにして『効果的に ICT が活用できる人材』を育成するかが求められています。とりわけ高校教育においては、実践能力の向上と利活用の定着化が行われなければなりません。加えて、ICT を正しく活用できるようなモラルの醸成も期待されています。機器の使い方だけでなく、効果的な活用へ向けて実践能力を高め、さらにそれを定着させるには、普段の学校生活の中で定常的に ICT が利用できる環境を提供する必要があるのです。当校では、入学時に全生徒にノート PC を購入してもらうことで、その環境を整備していました」(石井 氏)。

横須賀市立横須賀総合高等学校
情報科
情報国際G
総括教諭
石井 徳人 氏

横須賀総合高等学校では PC の配付だけでなく、たとえばファイル サーバーを構築し課題作成から提出までを ICT 上のみで完結させたり、イントラネットの構築をもって生徒の能動的な情報取得を促したりと、実践能力の向上と定着化へ向けてさまざまな取り組みをこれまで行ってきました。さらに同校には、無線 LAN ネットワークが校内に敷かれており、生徒はどこにいてもインターネットの利用が可能です。しかし、それらの取り組みが行われながらも、PC を所持しない生徒が一定数生まれてしまっていたといいます。石井 氏は当時抱えていた課題について、次のように振り返ります。

「目新しさや嬉しさもありますので、入学当初は日々の学校生活で積極的に利用したり、自宅学習のために持ち帰ったりしてもくれます。しかし、学年が進むにつれて、所持しなくなったり机の中へ置いたままにしたりしてしまう生徒が、どうしても一定数生まれてしまったのです。その理由としてはまず、デバイスの大きさが考えられました。当時は作業面積を重要視し、15 型のノート PC を採用していましたが、机の上に PC を出すと教科書やノートが広げづらくなってしまうのです。生徒が授業中に ICT を活用したいと思っても、デバイスの大きさがそれを阻害してしまっていました」(石井 氏)。

さらに、2 kg 近い重量や携行性の悪さも、利用を敬遠させてしまう原因になっていたと石井 氏は続けます。

「当校の生徒は男女の比率がほぼ均等なのですが、重たいノート PC を常に持ち運ぶのは、特に女子生徒にとっては体力的に大変だったといえます。また、多感な時期ですので、デバイスや PC バッグのデザインへ不満をもつ生徒も多くいました。問題を根本から解決するためには、活用を促すシステムやカリキュラムの増強よりも、携行性やデザイン面に優れた『積極的に使いたいと思われるデバイス』を採用する方が近道だと考えました」(石井 氏)。

横須賀総合高等学校ではこれまで、Microsoft Office を授業で用い、提出課題のフォーマットとしても利用してきました。これらの教育が継続可能で、さらに携行性も向上できることを要件とし、同校では 2014 年度に入学する生徒への配付を見据え、新たなデバイスの選定が開始されました。

システム概要と導入の経緯
携行性と操作性に優れ、バッテリの持ちも長い Surface Pro 3 によって、生徒と教員双方のデバイス活用が積極化されると期待

生徒の積極的な活用を推し進めるべく、新たなデバイスの選定を 2013 年 11 月より開始した横須賀総合高等学校ですが、早い段階で Windows OS の採用が決定したと、石井 氏は語ります。

「iPad も検討しましたが、Microsoft Office の利用を前提とした場合、利便性が心配でした。たとえ携行性を担保できたとしても、使い勝手が伴わなければ、結果として利用されないデバイスになってしまいます。加えて、当校の ICT 教育は、社会で活躍する人材の輩出を目指しています。一般的なビジネス シーンでは Windows を利用することが圧倒的に多いため、OS もそれに合わせるべきだと考えたのです。また、ファイル サーバーやイントラネットへの接続には Active Directory を用いていました。Windows 以外の OS ですと、設定や運用が煩雑になってしまうため、総合的に検討した結果、Windows 搭載のデバイスで選定を進めることにしました」(石井 氏)。

Windows を搭載したデバイスの選定に際しては、ノート PC と 2 in 1 タブレット デバイスを候補に選定が進められました。その過程で、携行性と操作性を高いレベルで両立している Surface Pro 3 に大きな魅力を感じたと、石井 氏は続けます。

「これまで行ってきた教育の継続にはキーボード入力が欠かせませんので、小型のノート PC か 2 in 1 タブレット デバイスかで製品検討を行いました。小型ノート PC の場合、液晶サイズが小さなモデルを選ばざるを得ませんので、作業効率はどうしても落ちてしまいます。一方の 2 in 1 タブレット デバイスは、携行性と、液晶サイズを含めた操作性のバランスに優れており、特に Surface Pro 3 はそのレベルが非常に高かったのです。Surface Pro 3 は、従来配付していたノート PC と比較し半分ほどの重量で、コンパクトなサイズながら 12 インチの液晶を搭載しています。性能も高く、同時期に検討した 2 in 1 タブレット デバイスの中で最も優れていると感じました」(石井 氏)。

さらに、当時、学生利用の消極化とは別に発生していた課題に対しても、Surface Pro 3 であれば改善が期待できたと、石井 氏は説明します。

「従来のノート PC はバッテリの持ちが悪く、生徒が授業中に利用する場合には電源の供給が必須でした。普通教室にはコンセントが 6 か所しか設置されておらず、当時はテーブル タップを置いて電源供給を図っていましたが、そうすると至る所をケーブルが這う形となります。これは教員の机間巡視を大きく妨げてしまっており、結果として、『PC を用いた授業を行おう』という教員側の意識も下げてしまっていたのです。Surface Pro 3 はバッテリの持ちが良いので、この課題についても解消できると考えました」(石井 氏)。

操作性と携行性に優れ、バッテリの持ちが良いデバイスを導入することで、生徒と教員双方の活用を積極化できると考え、横須賀総合高等学校では 2013 年 12 月、Surface Pro 3 の採用を決定。2014 年度と 2015 年度の新入生には Surface Pro 3 が、2016 年度の新入生には Surface Pro 4 が導入されています。

導入の効果
Surface Pro 3 の所持が一般化。それに伴いデバイスを活用した授業は増加でき、実践能力の向上と定着化がさらに進むというサイクルを生み出す

2014 年度より Surface Pro 3 の導入が開始され、2016 年度には生徒の所持するデバイスすべてが Surface Pro となった横須賀総合高等学校ですが、石井 氏は、学校生活における生徒のデバイス利用が明らかに積極化したと、嬉しそうに話します。

「入学後、初回の『情報』授業では、所持デバイスのセットアップを生徒自身に行ってもらうのですが、まずそこでの積極性がこれまでと異なりました。優れたデザインや操作性は、生徒へ『自分のデバイスだ』という愛着をもたらすようで、活用方法の質問が従来と比較し多く出てくるのです。また、机上に教科書やノートと一緒に置けますので、授業中に Surface Pro 3 を起動することが一般化されやすくなりました。2014 年度の入学生は現在、高校 3 年生になっていますが、デバイスを利用しなくなった生徒はほとんどいません」(石井 氏)。

教科書やノートと一緒に机上で利用できるようになったことで、授業中のデバイス起動が一般化された

これまで床を占有していたケーブルもなくなり、一般教室におけるデバイスを活用した授業においてもスムーズに机間巡視ができるようになった (写真はコンピュータ教室の風景)

Surface Pro 3 の採用により積極化された生徒のデバイス利用ですが、それが授業の幅を拡大することにもつながっていると、石井 氏は続けます。

「たとえば英語の授業では、Surface Pro 3 で録音した音声ファイルの提出をもって発音テストを行っています。これまで対面でしか行えなかったテストをデジタル化したことで、評価作業を効率化でき、結果、実技の機会を増加することに成功しています。このような授業はこれまで、デバイスを所持しない生徒がいたこともあり積極的に行えませんでした。今ではほぼすべての生徒が Surface Pro 3 を所持し授業に臨んでいますので、教員側としても、デバイスの利用を前提とした授業を行いやすくなったのです。そうした授業が増えれば増えるほど、生徒への定着化は進み、そしてそれがまたデバイスを活用した授業の効率を高めます。Surface Pro 3 の採用は、従来あった課題の解消に加えて、当校の ICT 教育に正のサイクルを生み出したといえます」(石井 氏)。

こうして生まれたサイクルにより、授業外や校外でのデバイス利用も促進したといいます。生徒はデバイスのセットアップ時に、学校用と家庭用で 2 つのユーザー ID を作成します。学校用の ID では、イントラネットやファイル サーバーへのアクセス、自身のメール アドレスの利用ができますが、イントラネットでアナウンスする連絡事項の周知速度が大きく向上したのです。

校内と校外ではそれぞれ別の ID でログインを行い、Surface Pro 3 は利活用されている

また、生徒の要望により、家庭用 ID でも利用できるクラウド メールについても整備されました。

「『学校以外でメールが利用できないのは不便』という生徒の声があり、当校ドメインのメール アカウントとは別に、クラウド メールのアカウントを生徒へ提供しました。こういった生徒の声は、校外においてもデバイスが積極的に利用されている証です。家庭用 ID 上でのログは当校では追えずその数字化ができないものの、Surface Pro 3 の導入が自宅学習を促進していることは間違いないと思います」(石井 氏)。

導入製品とサービス

  • Surface Pro 3
  • Surface Pro 4

導入メリット

  • 携行性と操作性の高い Surface Pro 3 と Surface Pro 4 の採用により、学校生活におけるデバイス所持とその利用の一般化を行うことができた
  • Surface Pro 3 と Surface Pro 4 の所持が一般化したことで、デバイスを活用した授業を増やすことができ、それによって生徒への定着化が進むというサイクルができた
  • 学校内だけでなく校外でのデバイス活用も促進され自宅学習で有効に利用されるようになった

今後の展望
教員へ向けた Surface Pro 4 の配付をもって、デバイスを活用した授業の拡充を計画

Surface Pro 3 の導入をもって、これまで以上に、「効果的に ICT が活用できる人材」の育成を実践できるようになった横須賀総合高等学校ですが、教員へ向けた Surface Pro の配付も現在検討されています。

「2016 年度よりすべての生徒が Surface Pro を所持する形になります。しかし、教員へはまだ、Surface Pro を配付していません。生徒と同じデバイスを教員も利用することで、授業での活用アイデアはこれまで以上に生まれるでしょう。そうすれば、Surface Pro を活用した授業の増加が期待できますので、2016 年の春と夏には、教師の研究用として Surface Pro 4 を数台導入する予定です。近い将来、最低でも科目ごとに 1 台は、教員向けに配付していきたいと考えています」(石井 氏)。

さらに、Surface Pro を活用した授業について石井 氏は、数だけでなく質も同時に高めていくと意気込みます。

「『情報』にかかわる教員は ICT の操作に長けていますが、その他の教員については、授業で ICT がどのように活用できるかという『ノウハウ』をそれほど蓄積できていません。今後、他校の活用事例など情報収集を行い教員と共有することで、授業の質も高めていきたいと考えています。そのためにも、マイクロソフトには、製品の提供だけでなく情報提供についても協力いただきたいですね」(石井 氏)。

横須賀総合高等学校では 2017 年度以降の入学生についても、Surface Pro を導入する予定です。生徒の積極的な活用と並行し、今後教員も Surface Pro を活用することで、同校の ICT 教育はますます充実していくでしょう。

ユーザー コメント
「たとえば英語の授業では、Surface Pro 3 で録音した音声ファイルの提出をもって発音テストを行っています。これまで対面でしか行えなかったテストをデジタル化したことで、評価作業を効率化でき、結果、実技の機会を増加することに成功しています。このような授業はこれまで、デバイスを所持しない生徒がいたこともあり積極的に行えませんでした。今ではほぼすべての生徒が Surface Pro 3 を所持し授業に臨んでいますので、教員側としても、デバイスの利用を前提とした授業を行いやすくなったのです。そうした授業が増えれば増えるほど、生徒への定着化は進み、そしてそれがまたデバイスを活用した授業の効率を高めます。Surface Pro 3 の採用は、従来あった課題の解消に加えて、当校の ICT 教育に正のサイクルを生み出したといえます」

横須賀市立横須賀総合高等学校
情報科
情報国際G
総括教諭
石井 徳人 氏

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