長野県松本市に本部を構え、地域社会に貢献できる人材の育成にまい進する松本大学。同大学では、教育カリキュラムの整備と並行し ICT 環境の拡充も行うことで、大学教育の修了に欠かせない「自主学習」の積極化に取り組んできました。

2015 年には、学生への貸出用デバイスとして Surface Pro 3 を追加導入したことで、学生の利用率が約 5 倍向上し、自主学習はさらに積極化されています。さらに教職員向けにも Surface Pro 3 を配付し、ペーパーレス会議で活用することで、業務効率は改善され講義や大学運営の最適化につながりました。松本大学では今後、生徒と教職員それぞれにおける導入台数を拡大していくことで、同大学が目指す教育のレベルをさらに高めていきます。

プロファイル

松本大学は 2002 年、学校法人松商学園によって長野県松本市で設立されました。「地域の学びを通して社会の最前線で活躍する人になる」ことを教育方針に掲げる同大学は、キャンパス内の講義だけでなく、アウトキャンパス・スタディと呼ばれる地域社会の現場における学びも取り入れることで、特徴ある教育を実践しています。松本大学ではこれからも、社会から多くの学びを得た人材を輩出することで、地域の発展に貢献していきます。

導入の背景とねらい
自主学習環境のさらなる整備と、教職員の業務効率改善を目的とし、新たなモバイル デバイスの導入を検討

地域の文化や経済、生活の中から教育テーマを見いだし、それらを生きた教材とすることで、特徴ある教育を実践する松本大学。2002 年の設立以降、長野県松本市に本部を構え、地域社会の将来を担う人材の育成にまい進する同大学では、座学だけではなく、アウトキャンパス・スタディという、地域で起きているさまざまな問題を調査し、大学へ持ち帰り議論することで解決策を見いだしていくという独自の授業形式を採用しています。

松本大学

地域社会に貢献できる人材の育成を目指し、松本大学では教育カリキュラムの整備と並行し、ICT 環境の拡充も行われてきました。松本大学 情報センター 伊藤 健 氏は、人材育成において ICT 環境の整備が欠かせない理由を、次のように説明します。

「大学では、90 分の講義へ 15 回出席し、試験やレポート提出で合格することで、単位を取得できます。しかし、本来この単位の取得には、『講義と同時間の自主学習』が行われることを前提にしているのです。松本大学の教育が目指す『地域社会に貢献できる人材の育成』の実現にも、この自主学習は欠かせない要素となります。しかし、近年、学生の自主学習時間は全国的にも減少の傾向にあり、当大学においても何かしらの対策を講じる必要があったのです。松本大学では、7 教室あるコンピュータ教室へ約 300 台、廊下などのフリー スペースへ 150 台、合計 450 台のデスクトップ PC を学生向けに設置し、さらに貸出用として 80 台のノート PC も整備することで、自主学習が積極的に行われる環境を構築してきました」(伊藤 氏)。

松本大学
情報センター
伊藤 健 氏

学生の自主学習を促進すべく整備された PC ですが、そこでは学習に必要な各種ソフトウェアとともに、学生 1 人ひとりのメール アカウントも整備されています。

「学生は、学内ネットワークにつながっている PC から自身の ID を用いてログインすることで、どの PC からでも自身の設定やメール アカウントを利用できます。自主学習で大きな効果が見込めるアウトキャンパス・スタディでは、学生が企業の担当者や行政の方とメールでやり取りを行いますが、従来はオンプレミスのメール システムを採用しており、学内でしか利用できませんでした。学習のために貸出用ノート PC を自宅に持ち帰っても、企業とのコミュニケーションやそこで得られる学習ができなかったため、2013 年には Office 365 のクラウド メールを導入し、学外でも大学アドレスからメールを送れる環境を整備しています」(伊藤 氏)。

積極的な ICT 投資を行うことで、自主性も配慮した教育を実践してきた松本大学ですが、2013 年における Office 365 の導入後、同大学ではさらなる自主学習環境の整備を行うべく、業務検討が進められたといいます。

「貸出用に用意しているノート PC は自宅学習を主目的にしていました。しかし、作業スペースを優先した 15.4 型のノート PC に対しては、『もっと軽くて持ち運びやすい PC にしてほしい』という学生からの不満が多く、実はそれほど利用されていなかったのです。Office 365 を導入したこともあり、学生の希望に沿った貸出用デバイスに変更することで、自主学習はまだまだ促進できると考えました」(伊藤 氏)。

さらに伊藤 氏は、学生だけでなく教育を行う教職員側の ICT 環境にも、課題があったと続けます。

「教授会や職員会議をはじめ、当大学では日々さまざまな会議が行われていますが、そのペーパーレス化を進める必要がありました。というのも、年間で会議に用いられる印刷物の量を試算したところ、それが 50,000 枚にものぼる数だったのです。印刷コストの問題もありますが、何よりも課題だったのは、膨大な量を印刷する事前準備の工数と、配布資料の紛失リスクです。いかに学生の自主学習を促進したところで、会議の工数負担や必要資料の紛失が、教員の講義と職員の大学運営に支障をきたしてしまっては、当大学の目指す教育は実現できません。会議のペーパーレス化やそこでのデバイス導入は、学生へ向けた貸出用デバイスの選定と並行して検討しなければなりませんでした」(伊藤 氏)。

システム概要と導入の経緯
学生向けと教職員向けで異なる要件それぞれを、Surface Pro 3 は高い水準で満たしていた

松本大学では 2014 年より、学生に向けた新たな貸出用デバイスと、教職員のペーパーレス会議を見据えたデバイスの検討が進められました。それぞれデバイスに求められる要件が異なる中で、会議用デバイスは 2014 年 6 月に、貸出用デバイスは 2014 年 12 月にて、どちらにも Surface Pro 3 を導入することに決定しました。

伊藤 氏はまず、学生への貸出用デバイスを Surface Pro 3 に決定した理由について、次のように説明します。

「自主学習で積極的に利用されるデバイスの導入へ向けて、学生へ希望機種について聞き取り調査を行うことにしました。とはいえ、選択肢を設けなければ傾向値は分散し、有効なアンケートになりません。希望のあった『携行性』だけでなく、スマート フォン世代であることも踏まえ『タッチ操作が可能』なこと、さらに『処理性能』も加えた 3 点を要件とし、iPad と iPad Air、小型ノート PC、そして Surface Pro 3 の 4 製品に絞り実施しました。すると、Surface Pro 3 を選択する学生が圧倒的に多かったのです。当大学では映像処理を必要とする学生も在籍しており、Surface Pro 3 が備える処理性能と携行性の両立が、学生の求めている期待に高いレベルで応えていたのだと考えています」(伊藤 氏)。

段階的なリプレース計画に基づき、松本大学では 2014 年 12 月に Surface Pro 3 の導入を決定。2015 年 10 月より、老朽化を迎えた 14 台のノート PC をリプレースする形で、学生への Surface Pro 3 の貸出を開始しています。

一方で、教職員のペーパーレス会議へ向けたデバイスの選定に際しては、まったく異なるプロセスで検討が進められました。

「工数削減と資料のアーカイブ面で高い効果が期待できたこともあり、ファイル サーバーでの運用ではなくペーパーレス会議システムの導入を前提にしていました。検討していたシステムは Windows と iOS に対応していたため、ノート PC という選択肢もあったのですが、年配の教職員や PC 操作が得意でない方の運用を考慮し、タッチ操作が行える iPad と Windows タブレット デバイスの 2 軸で、デバイスについては検討を進めることにしました」(伊藤 氏)。

当初の構想では、導入デバイスの用途を会議利用に限定していましたが、会議室への設置ではなく教職員へ配付する形を選択したこともあり、普段の業務上でもタブレット デバイスの活用は可能でした。そこで、松本大学では将来的な用途の拡張も見据えて、Windows OS を搭載した 2 in 1 タブレット デバイスをメインに選定が進められたといいます。

「教職員は、基幹システムへの接続や資料作成を業務用 PC 上で行っています。多くの業務においては Office が用いられていますが、アウトキャンパス・スタディという当大学独自のカリキュラムにより、教職員は外出が多く、そこでの業務利用時にも Office アプリケーションをストレスなく使えるようにしたかったのです。そうすると、2 in 1 Windows タブレット デバイスが適しており、いくつかのメーカー製品で比較検討を行いました。日本にサポート センターがあるという安心感や、インターフェイス拡張が可能な点、性能など総合的に判断すると、その中でも Surface Pro 3 はたいへん優れていました」(伊藤 氏)。

教職員が、会議だけでなく普段の業務上でも用いる以上、サポート品質の高さは松本大学が重要視した事項でした。その他の点も含め、Surface Pro 3 が要件すべてを満たしていたことを評価し、松本大学ではペーパーレス会議システムとの動作確認がとれた 2014 年 6 月に、正式採用を決定。同年 9 月からはペーパーレス会議システムのサーバー構築が行われ、10 月より、Surface Pro 3 を用いた会議が開始されています。

松本大学のペーパーレス会議概要図。教職員によってサーバーへ格納されたファイルは会議用デバイス上で閲覧が可能。閲覧期限や権限をファイルごとに設定することで、会議だけでなく普段の業務上でも、セキュアでスムーズに資料閲覧が行える

導入の効果
貸出用デバイスの利用率は 5 倍も向上。毎回 200 枚分かかっていた会議資料の印刷工数も削減

松本大学では、2014 年 10 月より Surface Pro 3 を用いたペーパーレス会議が開始され、2015 年 10 月からは生徒への貸出用デバイスとしても Surface Pro 3 の配付がスタートしました。さらに 2015 年には、学内への無線 LAN ネットワークの整備も完了しています。

ペーパーレス会議については、現在はまだ効果検証の段階ですが、それでも既に大きな効果が現れていると、伊藤 氏は語ります。

「今のところは、月に 1 回開催する『課長会議』へ出席する 10 名のメンバーのみへの Surface Pro 3 配付ですが、準備工数の削減とそれに伴う会議時間の短縮で、大きな効果が出ています。従来ですと会議の 1 時間前には資料の印刷と仕分けを行う必要があり、直前に資料内容が改変されることもあるため、持ち回りとなる準備の担当者は、会議前に自身の業務を行うことができなかったのです。今ではこの工数をすべて圧縮でき、教職員は本業である業務や学生対応に専念できます。事前にサーバーから会議資料の閲覧もできますので、議論の進行が加速し、所要時間の短縮も実現できました」(伊藤 氏)。

参加する教職員が事前に資料を閲覧できるようになったことで、準備工数の削減だけでなく、議論の質や速度も向上できた

加えて、伊藤 氏は年間で 5,000 枚ほどのペーパーレス化が行えたことにより、セキュリティ リスクの軽減と、教職員が必要とする情報のアーカイブ化にもつながっていると続けます。

「秘匿性の高い資料は、これまで会議後に回収を行っていましたが、ペーパーレス システムであれば、閲覧期限やダウンロード不可といった設定を行うだけで済みます。印刷物紛失によるセキュリティ リスクを解消でき、会議時以外で教職員の確認が必要になった場合でもすぐに閲覧させることができます。また、1 回の開催で 200 枚ほど配布されていた印刷物をすべてデータで管理できるようになったことで、教職員側は会議資料をファイリングする必要がなくなり、必要な情報へのアクセスが容易になります。学校が内包するリスクを解消しながら教職員の本業を加速できるようになり、ペーパーレスの導入は大きなメリットを生み出しています」(伊藤 氏)。

Surface Pro 3 の導入が松本大学にもたらした効果は、ペーパーレス会議だけではありません。2015 年 10 月より開始された学生向けの貸出においては、従来比で約 5 倍ほど、利用率が向上したといいます。

「2014 年度における学生向けノート PC の貸出件数は、80 台分の合計で年間 900 件ほどでした。およそ 1 か月に 1 台、学生に利用されている計算になるのですが、2015 年 10 月より貸出を開始した 14 台の Surface Pro 3 は、4 か月間で既に 300 件ほど貸し出されているのです。1 台の Surface Pro 3 が毎月 5 回ほど貸し出されていることになり、これは学生の自主学習に大きく貢献しているといえます。優れた携行性と高い処理性能を備える Surface Pro 3 は、学生からの評価も高く、常にだれかが利用している状態です」(伊藤 氏)。

導入製品とサービス

  • Surface Pro 3
  • Surface Pro 4

導入メリット

  • 学生へ向けた貸出用デバイスの利用率が従来比で 5 倍に増幅し、自主学習の大きな向上が実現できた
  • Surface Pro 3 を用いた会議のペーパーレス化により、大学が内包するセキュリティ リスクの解消と教職員の本業の促進を行うことができた
  • 性能と操作性に優れた Surface Pro 3 の有効性を実証できたことで、一本化した教職員向けデバイス運用の業務検討を進めることができた

今後の展望
学生と教職員それぞれに向けた Surface Pro の導入台数を拡大し、松本大学が目指す教育レベルのさらなる向上を目指す

Surface Pro 3 の導入は、ペーパーレス会議による教職員の工数削減と、学生への貸出による自主学習の積極化の 2 側面で、大きな効果をもたらしています。伊藤 氏は、それぞれにおける導入台数を拡大していくことで、同大学が目指す教育のレベルをさらに高めていきたいと意気込みます。

「35 名ほどで行われる教授会など、課長会議以外の会議にもペーパーレス化を適用していく予定です。ペーパーレス会議が工数削減や資料のアーカイブ面で大きな効果があることはすでに実証できていますので、Surface Pro の配付を全教職員に拡大すれば業務効率が最適化され、松本大学で行われる教育効果を高めていけるはずです。同時に、学生へ貸出を行う Surface Pro の台数を増やしていくことで、学外での自主学習もまだまだ促すことができます。教職員と学生へ提供するデバイスを増やしていくことで、松本大学が目指す教育のレベルを高めていきたいと考えています」(伊藤 氏)。

実際、松本大学では 2016 年中に、老朽化した学生向け ノート PC のリプレースで約 20 台の Surface Pro 4 を導入することが内定しています。また、教職員向けの配付についても、業務用 PC 用途を含めたデバイスの一本化を見据えて、慎重に検討が進められています。

「全会議のペーパーレス化が実現できれば、年間で 50,000 枚もの印刷量が削減できます。これは業務効率化だけでなく、コスト削減の面でも大きな効果を見込めますが、全教職員へ業務用 PC とは別に Surface Pro を配付する場合、イニシャル コストだけでなく運用費もこれまでの 2 倍かかることになり、容易には判断ができません。Surface Pro の性能と操作性であれば、デスクトップ用途としても十分に対応できますので、現在の業務用 PC を廃止し Surface Pro に一本化した運用ができないかとも考えています。基幹システムへのアクセスやセキュリティの確保を行う必要があるため慎重に検討しなければなりませんが、近い将来で実現できるよう動いていきます」(伊藤 氏)。

大学での講義のみでなく、学生の自主学習へも配慮した環境整備を行うことで、地域社会に貢献できる人材の育成へ取り組む松本大学。今後、Surface Pro の導入台数が拡大されるにしたがって、同大学が目指す教育のレベルはますます高まっていくことが期待されます。

ユーザー コメント
「2014 年度における学生向けノート PC の貸出件数は、80 台分の合計で年間 900 件ほどでした。およそ 1 か月に 1 台、学生に利用されている計算になるのですが、2015 年 10 月より貸出を開始した 14 台の Surface Pro 3 は、4 か月間で既に 300 件ほど貸し出されているのです。1 台の Surface Pro 3 が毎月 5 回ほど貸し出されていることになり、これは学生の自主学習に大きく貢献しているといえます。優れた携行性と高い処理性能を備える Surface Pro 3 は、学生からの評価も高く、常にだれかが利用している状態です」

松本大学
情報センター
伊藤 健 氏

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