2014 年 4 月、茨城県初の小中高 12 か年一貫教育校として開校した、学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校。同校では「心豊かなリーダーの育成」という教育理念のもと、心力、学力、体力のバランスがとれた三位一体の教育を行っており、ICT 教育も重大なテーマとして積極的に推し進めています。

いまやどのような職業においても欠かすことができない ICT の活用。将来の国際社会に貢献できる優秀な人材の育成には、IT スキルを「特別なもの」として教育するのでは不足があります。江戸川学園取手小学校では、「自然なもの」として IT スキルを身につけられるよう、国語や算数といった学習や校外学習など、普段の教育シーンで、児童が ICT に触れる機会を提供しています。将来のリーダーの輩出を担う同校ですが、そこで学ぶ児童が日常で触れるデバイスとして採用されたのが、日本マイクロソフトの提供する Surface Pro 3 です。

プロファイル

学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校は、茨城県初の小中高 12 か年一貫教育校として、2014 年 4 月に開校しました。「心豊かなリーダーの育成」という教育理念を掲げ、同校では、社会人の研修でも用いられる「7 つの習慣」に基づいたリーダーシップ教育など、個性を尊重した人間教育を展開しています。江戸川学園取手小学校では、道徳教育、英語教育、国語教育、そして ICT 教育に力を入れ、これからも児童生徒の夢の実現に向けて支援していきます。

江戸川学園取手小学校 http://es.e-t.ed.jp/

導入の背景とねらい
普段の教育シーンで行える ICT 教育を模索し、2 in 1 タブレット デバイスを検討

国際社会に貢献できる人材の育成に取り組む、学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校 (以下、江戸川学園取手小学校)。同校では、ビジネス パーソンの研修でも用いられる、スティーブン・R・コヴィーの名著「7 つの習慣」のプログラムを道徳教育に取り入れ、教育理念である「心豊かなリーダーの育成」を目指しています。

学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校

学校法人 江戸川学園
江戸川学園取手小学校
校長
若林 富男 氏

学校法人 江戸川学園
江戸川学園取手小学校
広報・入試部長
ICT教育チームリーダー
教諭
吉井 毅 氏

優秀な人材を輩出するための教育方針について、学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校 校長 若林 富男 氏は次のように説明します。

「1 人 1 人の児童の中にあるリーダー性を引きだすことが大事です。たとえば係活動も、単なるお手伝いではなく、1 人 1 人がリーダーとして取り組んで行く。リーダー宣言することで自分を叱咤激励し、目標に向かって努力するようになる。そんな人材を育てるために、本校ではより子どもが主役となり活躍できるような教育を心がけています」(若林 氏)。

社会の国際化と ICT 化を見据え、同校ではコミュニケーション スキルと IT スキルを重要視し、国語教育と英語教育、ICT 教育を推進しています。「これからの国際社会で活躍するには、英語はもちろん、通信情報機器も使いこなせることが必須条件です」と若林 氏が語るとおり、同校のカリキュラムでは 3 年生から、本格的な ICT 教育が行われます。ICT の導入を一手に任されている、学校法人 江戸川学園 江戸川学園取手小学校 広報・入試部長 ICT教育チームリーダー 教諭 吉井 毅 氏は、同校における ICT 教育の特長について、次のように語ります。

「ICT 教育で大事なのは、IT スキルを上げることではなく、目的達成のためのツールとして ICT を利活用できるようするという点です。IT スキルを向上させるための学習を行うのではなく、あらゆる学習や校外学習の中で ICT に触れる機会を設けることで、スキルの向上と学習密度の向上を行っている点が、江戸川学園取手小学校における ICT 教育の特長です」(吉井 氏)。

現在は普段の学習の中で ICT 教育が行われている江戸川学園取手小学校ですが 2014 年の開校当初は、他校でもよく行われているような IT スキルを身につける学習が計画されていたと吉井 氏は振り返ります。

「2014 年に開校された小学校ですので、開校当時の在校生は 1、2 年生のみでした。3 年生から ICT 教育を本格化することが決定していましたので、翌年の 4 月までにはその環境を整備しなければなりません。当初は、デスクトップ PC を設置した教室での特別学習が予定されていましたが、先に述べたように、重要なのは『ICT をツールとして利活用していく』ことです。そこで普段の教育シーンで行える ICT 教育の形を模索し、いつでも教室で触れられて校外学習にも持ち運べるデバイスの採用が有効だと考え、2 in 1 タブレット デバイスの導入を検討しました」(吉井 氏)。

若林 氏は、2 in 1 タブレット デバイスの導入を決定した理由について、次のように続けます。

「IT スキルが自然と身につく点ももちろんですが、リーダー性の向上にも有効だと判断しました。学習では、児童に自分の考えをまとめてもらうことがよくあります。たとえば、タブレット デバイス上で児童がまとめた考えをプロジェクターに投影すれば、クラス全員が内容を共有する時間が生まれます。1 人 1 人の児童が、『自分が主役になる機会』を多くつくることができ、リーダー性を高めることにつながると考えたのです」(若林 氏)。

こうして、江戸川学園取手小学校では 2014 年 7 月より、2 in 1 タブレット デバイスを採用した ICT 教育のプロジェクトを開始しました。

システム概要と導入の経緯
ソフトウェアへの対応面とデバイスの携行性を評価し、Surface Pro 3 を採用

採用するデバイスの検討は、Windows OS を前提として進められたといいます。その理由について、「最大の理由は、社会で使われているシステムの大半が Windows OS だという点です。江戸川学園では、中学校と高校でも Windows PC を採用しており、小学校から社会で活躍するまで、デバイスの OS に連続性をもたせることは必然だと判断しました」と吉井 氏は説明します。

加えて、普段の学習で児童が触れるという特性から、江戸川学園取手小学校では、学習支援ソフトウェアが動作すること、デバイスの重量、操作性の 3 点を、2 in 1 タブレット デバイスに求める要件として設定。学習支援ソフトウェア「SKYMENU Class」の採用を前提とし、検討を進めた結果、国産製品と Surface Pro 3 の 2 製品にまで絞られたといいます。

ここで絞られた 2 社の製品は、いずれも先の要件 3 点をクリアしていましたが、最終的には Surface Pro 3 を採用するに至りました。吉井 氏は Surface Pro 3 採用の決め手を次のように説明します。

「将来的には児童へのデバイス配布も視野に入れていますが、今回はまず試験的に、特定の教室へデバイスを常設する形で検討を進めました。その場合、学習によってデバイスを利用する児童は異なりますので、起動時にデバイスの状態を統一の環境に復元する『環境復元ソフトウェア』を動作させなければなりません。2 社のデバイスで動作検証したところ、不具合なく動作できたのは Surface Pro 3 だけだったのです」(吉井 氏)。

また、吉井 氏は Surface Pro 3 の重量についても評価します。

「Surface Pro 3 の重さは 800 g と非常に軽量です。低学年の児童でも容易に取り扱うことができますし、校外学習で持ち運ぶ場合にも児童に負担をかけません。現在、校内では無線 LAN で、校外ではモバイル ルーターでインターネット接続を行っていますが、今後デバイスの配布を行う場合は、LTE 対応モデルも検討するかもしれません。ただ、常時インターネット接続されたデバイスの配布は、位置情報も活用できて便利になる半面、学校の行き帰りでデバイスを利用すると紛失するリスクも増えますし、トラブルに巻き込まれる可能性も否めません。今回の Surface Pro 3 の導入を試金石に、1 人 1 台の導入に向け、どのような形で進めるのが適切なのかを判断しなければなりません」(吉井 氏)。

ソフトウェアへの対応面とデバイスの携行性を特に評価し、江戸川学園取手小学校では 2015 年 3 月に、Surface Pro 3 の採用を決定。サーバーの構築やネットワークの整備を経て、同年 6 月より Surface Pro 3 を用いた ICT 教育が開始されています。

導入製品とサービス

  • Surface Pro 3

導入メリット

  • 児童の学習への積極性が向上し、教育効果が向上した
  • 人前で説明する機会が増えたことにより、児童のプレゼンテーション能力が向上した
  • 教員へも配布された Surface Pro 3 上では学習状況が見える化されたことで、机間指導をすることなく児童の把握と指導ができ、学習の密度が向上した

導入の効果
英語や国語、体育に音楽など、さまざまな学習で効果を発揮。プレゼンテーション能力の向上にも貢献

37 台の Surface Pro 3 が配置され、2015 年 6 月より開始した江戸川学園取手小学校の ICT 教育ですが、学習への積極参加という面で、すでに教育効果が表れています。

「児童たちは、Surface Pro 3 を配置した教室での学習を本当に楽しみにしています。ICT を活用した本格的な学習は 3 年生からなのですが、1、2 年生もたまに Surface Pro 3 を利用した学習を行っています。すると学年問わず、児童たちからは『次はいつ?』という声が飛んでくるのです。ICT を取り入れた学習は本当に楽しいようですし、ひいてはそれが教育効果の向上につながります」と、吉井 氏はうれしそうに語ります。

37 台の Surface Pro 3 が設置された教室には、デバイスに加え、プロジェクターやプリンターといった機器も用意されている

2015 年 6 月より同教室では、さまざまな学年の児童が、楽しそうに学習に参加している

3 年生からは、英語や国語、算数といった普段の学習でも、Surface Pro 3 を活用しています。

「『SKYMENU Class』というソフトウェアには、学習場面で使用するためのさまざまな機能がついています。今回、児童の利用とは別に教員用にも 6 台、Surface Pro 3 の採用を行っていますが、たとえば『画面一覧』という機能を使えば、教員のデバイスに子どもたちの画面を一覧で表示することができます。デバイス上で児童に問題を解いてもらうことで、子どもたちがちゃんと問題に向き合っているか、つまずいていないかなど、机間指導をすることなく把握し指導できますので、学習の密度も上げることができています」(吉井 氏)。

Surface Pro 3 の導入後、プロジェクターで児童の画面をスクリーンに投影し、なぜそのように考えたのかなどを説明してもらう学習も増えたといいます。また、人前で説明する機会が増えたことにより、児童のプレゼンテーション能力が向上したと若林 氏は続けます。

「Surface Pro 3 を用いたプレゼンテーションは、最初こそ、前に出ても画面の方ばかり見て説明する児童が多かったのですが、そういった機会が増えるにしたがい、みんなしっかりと前を向いて話せるようになっていくのです。今では、自分の考えをみんなに知ってもらいたいと、積極的に前に出て説明する児童が増えました」(若林 氏)。

前に出て説明をする機会が増えたことでプレゼンテーション能力は向上し、同級生が説明するようすを見て児童の積極性も向上したという

「SKYMENU Class」に備わっている機能を活用し、普段の学習の密度はさらに向上できた

教室内だけでなく、体育や音楽のような学習でも、デバイスを持ち運ぶことで Surface Pro 3 は活用されています。

「たとえば体育の学習では、デバイスに搭載されているカメラを活用しています。これまではマット運動などで『首が前に出過ぎている、もっと首を丸めて』と指導しても、児童は自分のその姿が確認できず、直すことに苦労していました。今は児童どうしで運動のようすを動画撮影し、その場で動画を確認してもらっていますが、上達速度は大きく向上しています。やはり動画で見れば、自分の動作のどこが悪いのかをひとめで理解できるようです。また、本校では毎年、音楽発表会を開催しています。今年は、お手本として各楽器の演奏動画をサーバーに上げ、夏休みの間いつでも児童が見られるようにした結果、非常にすばらしい発表をしてくれました。体育や音楽など、実技系の学習にも、タブレット デバイスは非常に有効だと感じました」(吉井 氏)。

今後の展望
2016 年度には 1 人 1 台の導入を検討。先進的な ICT 教育へのチャレンジは続く

2015 年 6 月より開始した Surface Pro 3 を活用した学習ですが、「今後さまざまなことを Surface Pro 3 上で行っていく予定です」と吉井 氏が語るように、江戸川学園取手小学校の ICT 教育はまだ始まったばかりです。

「近いうちに、Skype を用いた海外の児童たちとのコミュニケーションを、英語教育のカリキュラムに組み込むことを計画しています。英語だけでなく、国語や社会の学習でも、このような遠隔地交流は効果を成せると考えています。また、『SKYMENU Class』が提供している機能も、まだまだ活用しきれているとはいえません。たとえばアンケート機能を活用し、クイズ番組のような要素を学習に取り入れていくこともおもしろいと思っています。これからも、子どもたちが能動的に学習に参加してくれる方法論について、模索、検討していかなければなりません」(吉井 氏)。

江戸川学園取手小学校では、教室への設置もしくは配布にて、3 年生以上の児童 1 人に対し 1 台のデバイスを導入することが 2016 年度にて検討されています。教室への設置メリットはこれまで触れてきたとおりですが、Surface Pro 3 の導入と同時期、同校では 3 年生全員を対象としたタブレット デバイス配布の実証実験が行われたといいます。「児童はもちろん、保護者からも好評で、実証実験後のアンケートでは、9 割以上の保護者が『1 人 1 台を実現してほしい』という回答でした」と吉井 氏が語るように、そこでは 1 人 1 台の導入によって有効性がさらに向上することが示されたのです。

1 人 1 台の導入実現にはいくつか乗り越えなければならない壁がありますが、同校の ICT 教育をさらに推進すべく、吉井 氏はそこへ取り組んでいくと意気込みます。

「1 人 1 台 の導入には、『個人購入』と『セキュリティ』という 2 つの壁があります。学校で購入して配付するという方法もありますが、やはり個人で購入いただいた方が大事に扱ってもらえますので、本校では個人購入を前提に検討を進めています。とはいえ、たとえコストが多少低い Surface 3 を採用しても、保護者への金銭負担は増えます。導入の意図についてきちんと納得していただけるよう、これから説明していかなければなりません。また、1 人 1 台の場合、個人が特定できるデータがデバイス上に残される可能性もあります。どのようなセキュリティ対策を施せば、利便性を維持したまま安全性が確保できるのか。2016 年夏までにこの 2 点を検討し、壁を乗り越えたいと思います」(吉井 氏)。

国際社会に貢献できる心豊かなリーダーの育成に邁進している江戸川学園取手小学校。同校の ICT 教育が今後、どのような取り組みにチャレンジしていくのか、期待が高まります。

ユーザー コメント
「Surface Pro 3 を用いたプレゼンテーションは、最初こそ、前に出ても画面の方ばかり見て説明する児童が多かったのですが、そういった機会が増えるにしたがい、みんなしっかりと前を向いて話せるようになっていくのです。今では、自分の考えをみんなに知ってもらいたいと、積極的に前に出て説明する児童が増えました」

学校法人 江戸川学園
江戸川学園取手小学校
校長
若林 富男 氏

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