こんにちは、阿久津です。少しずつWindows 7 RC版(Release Candidate version:製品候補版)の噂も聞こえてくるようになりました。本誌でもWindows 7 RC版に関する記事が報じられ、Windows 7の導入を予定している方々は、RC版の登場を一日千秋の思で待っているのではないでしょうか。今回は趣向をかえて、既に多くの方が試用しているWindows 7(ビルド7000。以下、Windows 7ベータ版)と、開発途中版(英語版ビルド7077。以下、Windows 7開発途中版)のスクリーンショットを並べ、その変更点をチェックいたします。

まずセットアップDVD-ROMから起動して、最初に表示される画面に小さな変更が加わりました。デスクトップの背景は、空から光が降ってくるようなイメージから、春空と草花をイメージしたものに変更されています。昔話になりますが、Windows 95の起動画面は雲を交えた青空、Windows NT 4.0のスプラッシュスクリーンがその上空である成層圏を背景にしたWindowsロゴを用いていました。それらの延長に存在するイメージを彷彿させていたWindows 7ベータ版ですが、まったく異なるベクトルの背景を用いています。

また最初の言語選択ウィンドウは、Windows Aeroのような丸みを帯びたウィンドウフレームではなく、Windows 2000のように旧来の標準ウィンドウフレームを用いるようになりました。事実を確認する術はありませんが、ハードウェアリソースの消費を抑えるため、セットアップ時点ではDWM(Desktop Window Manager)を有効にしない方針にしたのか、セットアップ時の作業工程を減らすため、序盤は起動しない方針に変更したのかもしれません(図1)。

図1: セットアップ画面では背景にあたる壁紙が変更されています。また、ウィンドウデザインもWindows AeroではなくWindowsベーシックになりました

同じく背景を変更したのがログオン画面。こちらもセットアップ時の壁紙と同じデザインを使用しています。これらの変更により、どちらかと言えば重厚感のあったWindows 7ベータ版でしたが、Windows 7開発途中版は良い意味で軽くなった印象を受けるのではないでしょうか。ちなみにユーザーアイコンのデザインが変更され、特にカスタマイズを行なわないと選択されるヒマワリ(?)は花びらが強調される絵図に変更されています(図2)。

図2: ログオン画面もセットアップ時の背景にあわせ、壁紙のみ変更されました。主な機能に変更点はありません

デスクトップに目を向けますと、ぱっと見た限り変更点は少ないように思えますが、細かいところで改良が加わっています。たとえばWindowsテーマは、5種類から6種類に増え、それぞれテーマ名が設けられました。そのバラエティさは、Windows 95 Plus!(Windows 95時代に用意された拡張パッケージ。機能拡張や追加テーマなどが含まれています)を彷彿させます(図3~4)。

図3: Windowsテーマは内容を大きく変更し、6種類にわけられました。壁紙の自動更新など機能面の変化はありません

図4: Windows 7開発途中版の各テーマ。左上から「Architecure」「Characters」「Landscapes」「Nature」「Scenes」

ここで気付くのがコントロールパネルのアイコン。Windows 7ベータ版とWindows 7開発途中版のそれとは、まったく異なっていることにお気づきでしょうか。このほかにも定番アクセサリである電卓や、ペイントのアイコンも変更され、少しずつWindows 7正式版で用いられるアイコンに差し替えられています(図5)。

図5: タスクバーに並ぶコントロールパネルのアイコンだけでなく、電卓やペイントなどのアイコンも新しいものが採用されています

細かい部分ばかり続いて恐縮ですが、スタートボタンのアニメーションも変更が加わりました。Windowsフラッグをあしらった球体はそのままに、マウスオーバー(マウスポインタを重ねた状態)時に描かれるオーブ状の光が強くなっています。これはユーザーの選択したアクションをよりわかりやすくするための改良でしょう(図6)。

図6: 上段はWindows 7ベータ版の、下段は同開発途中版のスタートボタン。マウスオーバー時に表示される光が強くなっています

スタートボタンが並ぶタスクバーに目を向けますと、ジャンプリストに関する改善が施されています。コントロールパネルのジャンプリストを例にしますと、ベータ版ではピンの制御をはじめとする標準的な項目だけでしたが、開発途中版では使用頻度の高い項目が並ぶようになりました(図7)。

図7: コントロールパネルのジャンプリストにも履歴が加わるようになりました

コントロールパネルのアプレットも細かい改良が進められ、設定の容易性や操作性が向上しています。例えば、Windows 7のサウンドアイコンには、新たに<通信>タブが設けられましたが、ベータ版では設定項目がドロップダウンリストだったのに対し、開発途中版ではラジオボタンに変更されました(項目内容は同じ)。このほかにもメニュー項目の見直しなど、変更点が各所にあることを踏まえますと、ユーザービリティの再チェックが進められていると捉えるべきでしょう(図8)。

図8: <通信>タブの設定項目がドロップダウンリストからラジオボタンに変更され、操作しやすくなりました。このようにユーザービリティの見直しが行なわれています

最後にビジュアル面の改良ポイントも紹介しましょう。[Alt]+[Tab]キーで起動するクールスイッチですが、ここにもAero Peekのように選択したウィンドウだけど表示し、未選択のウィンドウはフレーム表示する機能が備わりました(Aero Peekに関しては過去の記事をご参照ください)。ビジュアル面の強化はOS本来の機能につながりませんが、その派手さはユーザーの気持ちを和らげます。RC版に関する内容はほぼ決定しているため、これ以上の改良は望めません。しかし、無意味なエフェクトだけではなく、Aero Peekのように機能と直結したビジュアルエフェクトの拡張を期待したいところです(図9)。

図9: マウスオーバーしなくとも、クールスイッチを起動し、1秒ほど待つと自動的に未選択のウィンドウがフレーム表示されます

そろそろ誌面も尽きてきましたので今回はこの辺で。次回もWindows 7の新機能をチェックしていきましょう。

阿久津良和(Cactus)