今回のテーマは「写真」

いまや携帯電話に撮影機能が搭載されるのは当たり前。数百万画素での高解像度撮影だって可能だ。デジタルカメラではスリム型でも800万画素クラスが普通になっている。内閣府の発表によれば、2009年4月時点で総世帯における普及率がデジカメは59%、携帯電話は83.9%。撮影機能を持ったデバイスはかなり広く普及していると言えるだろう。

撮りためた写真は印刷して保管するケースもあるだろうが、多くはコンピュータに蓄積されていく。そして写真共有サイトやブログにアップロードされて皆で楽しむことができる。今回はそんな「写真」に注目してWebアプリケーションやオープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。きっともっと写真を撮るのが楽しくなるはずだ。

今回紹介するOSS・Webアプリ
Roxio PhotoShow』 写真を手軽にマルチメディア・スライドショーに
Fotomoto』 自サイトで写真を販売する
photoDiary』 Flash製のフォトブログ
Picture Me』 iPhone用顔自動認識カメラ



写真を手軽にマルチメディア・スライドショーに

名称 Roxio PhotoShow
URL http://www.photoshow.com/

写真はアルバムのように整然と並べてあってもよいが、コンピュータで見るならもっと違う見方ができる。たとえば音楽をつけたり、写真の切り替えイフェクトを工夫したりするともっと楽しめるようになる。それを簡単に実現してくれるのが『Roxio PhotoShow』だ。

「Roxio PhotoShow」のトップページ。色々なサンプルスライドショーが掲載されている

Roxio PhotoShowではアップロードした写真に音楽をつけたり、キャラクターやイラストを載せたり、写真の切り替えにイフェクトを施したりすることが簡単にできる。完了した写真はスライドショーとしてFlash形式で書き出せる。

作成画面。テーマや音楽を選んでいくだけで簡単にスライドショーが作成される

さらにスライドショーをDVDにすることもできる。単なる写真の並べられたデジタルアルバムではない、マルチメディアを使った楽しさを提供してくれるWebアプリケーションだ。




自サイトで写真を販売する

名称 Fotomoto
URL http://www.fotomoto.com/

最近では一眼レフカメラを持って被写体を追いかける人が増えている。そのような方にとって写真は趣味の一端だろうが、もし収益になる可能性があるとしたらどうだろう。プロのカメラマンならずとも写真を販売できるWebサービスを提供しているのが『Fotomoto』だ。

「Fotomoto」のトップページ。執筆時は招待制のベータサービス中

Fotomotoの特徴として、自分のサイト上で写真を販売できるという点が挙げられる。通常、写真を一箇所に集めたうえで販売を行うものだが、Fotomotoでは自分のブログなどを通じて写真を販売できる点が特徴だ。JavaScriptのコードを埋め込むことで、写真の下にBuy Printリンクが追加される。これをクリックするとショッピングカートがフローティングで表示される。

「Fotomoto」を使った販売例。フローティングウィンドウで購入手続きを行う

あとは購入手続きを進めていくとPaypalを通じて決済となる。一箇所に集めない分、写真家の自由度が広がり、自分の世界観を存分に示しつつ販売できるようになるだろう。




Flash製のフォトブログ

名称 photoDiary
URL http://code.google.com/p/photodiary/

photoDiary』はFlashを使ったフォトブログシステムだ。フォトブログなので写真が中心になる。一覧機能や写真を拡大表示する機能を備えるほか、写真に付せん紙を貼り付ける形でコメントを投稿できるようになっている。写真の好きな場所に貼れるところが面白い。

写真の上に付せん紙を貼るイメージでコメントする

管理画面では、写真の一覧やアップロード、コメントの管理ができるようになっている。ごくシンプルなフォトブログシステムで、日本語の表示はそのままではできないので注意が必要だ。ブログ単体としての機能は多くないが、その見せ方には注目したい。

管理画面。写真やコメントの管理機能が主

同じ写真であっても、見せ方次第ではインパクトが大きく変わってくるはずだ。そしてFlashはHTMLやJavaScriptを駆使するよりも手軽に、きれいな表示を可能にしてくれる。




iPhone用顔自動認識カメラ

名称 Picture Me
URL http://www.beetlebugsoftware.com/pictureme.html

iPhoneにはカメラ機能がある。とはいえ、高機能ではない。接写やズームはなく、使い勝手もそれほど良いとは言えない。それでも魅力的なのは、ユーザが開発したアプリケーションによってカメラの機能自体を向上させることができるからだろう。

Picture Me』はその一例だ。Picture MeではOpenCVという顔認識ライブラリによって、顔を認識した瞬間に自動的にシャッターをきってくれる。即座に保存はされず、意図しない写真であったとしてもすぐに取り直しができる。

顔を認識すると自動的に撮影

写真の保存中。自動撮影時点では保存されない

動いているものなどを撮ろうとするとすぐにブレてしまうiPhoneのカメラ。だが、Picture Meを使えばその失敗を極力抑えることができる。上手に人物写真を撮りたい時に使ってみたいソフトウェアだ。

いかがでしたか?

写真の楽しみ方は人それぞれだ。それでも、多くは他人に見せて楽しみたいと思うだろう。そのツールとしてインターネットはぴったりだ。遠くにいる人たち、海外にいる友人などにもすぐに写真を見せることができる。フォトブログやスライドショーを使えば、ただの写真がコミュニティや音楽でもっと華やかになるはずだ。

また、ただ撮るだけでなく、最近では写真の販売だってできるようになっている。プロの写真にはかなわなくても、素人ならではの写真やちょうどその場に居合わせたから撮れた写真だってあるはずだ。そんな写真が収益になるとしたら、写真への取り組みもまた変わってくるかもしれない。

動画にくらべると手軽で、誰でもすぐに始められるのが写真の良いところだ。撮りためた写真を今回紹介したようなツールを使って楽しんでみてはいかがだろう。

著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。