今回のテーマは「ライフストリーミング」

「FriendFeed」が登場したあたりから出てきたキーワードが「ライフストリーミング」だ。世界には多種多様なWebサービスが存在している。とくにWeb2.0が騒がれるようになった頃から、情報を共有したり、みんなでコンテンツを作り上げていくCGM(Consumer Generated Media)が注目を集めている。実際、複数のWebサービスを使い分けている人も多いはずだ。

しかしデータが散在してしまうと、あなた自身のデータが様々な場所に存在することになり、Webサービスを使い分けたり、必要になった時に集めたりするのが大変だ。さらにあなたの友人が情報を追いかけようと思ったときに、色々なサービスを見なければいけなくなる。それを解決してくれるのがライフストリーミングだ。

ライフストリーミングでは複数のサービスからデータを集約し、ひとつのWebサービスの中で見せてくれる。その中で友人を登録すれば、ブログへのエントリーもソーシャルブックマークも「YouTube」のお気に入りや「Twitter」での発言もすべて一個所にまとめて見せてくれるようになる。サービスを切り替えたとしても告知する必要もなくなるのだ。

今回はそんな「ライフストリーミング」に注目してWebアプリケーションやオープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。総花的に増えてきたWebサービスに対応して、自分自身の情報を集中管理しよう。

今回紹介するOSS・Webアプリ
lifestream.fm』 60種類のサービスに対応したライフストリーミングサービス
LifeStreamBackup』 自分のオンラインデータをバックアップする
Lifestream』 データの取得のみを行うシンプルなライフストリーミングライブラリ
Kakuteru』 Rails製のライフストリーミングマッシュアップ



60種類のサービスに対応したライフストリーミングサービス

名称 lifestream.fm
URL http://lifestream.fm/

日本語ローカライズされているライフストリーミングサービスといえば、「FriendFeed」が有名ではあるが、ここではあえて『lifestream.fm』を紹介したい。lifestream.fmは、FriendFeedと同様に各種Webサービスを登録していくことで自分の情報を一個所に集中できるライフストリーミングサービスだ。

整ったデザインが印象的なライフストリーミングサービス

FriendFeedが59種類のWebサービスに対応しているのに対して、lifestream.fmは60種類でわずかにリード。実際には米国のサービスがほとんどなので、ソーシャルブックマーク系や「Digg」「Flickr」、マイクロブログサービスの登録がメインになるだろう。とはいえ、フィードを登録することができるのでブログを登録しておくことが可能だ。

lifestream.fmでは、並んでいるデータをクリックするだけでソーシャルブックマークサービスに登録したり、データにコメントを登録したりすることができる。また、「Twitter」のようにフォロー/フォロワーの関係を作ることができ、友人のライフストリーミングを見ることも可能だ。

60種類のサービスに対応。とはいえ、日本であまり知られていないサービスも多数ある

FriendFeedの創設者が元Googleの社員ということもあってシンプルなデザインなのに対し、lifestream.fmは表示のされ方や友人リストなど見た目が整っている感がある。さて、あなたはどちらを選ぶだろうか。




自分のオンラインデータをバックアップする

名称 LifeStreamBackup
URL http://lifestreambackup.com/

執筆時点ではまだローンチされていないサービスではあるが、気になるので紹介しておこう。『LifeStreamBackup』はその名の通り、ライフストリーミングのデータをバックアップするというサービスだ。つまり自分自身のオンラインデータを別の場所にバックアップしておくサービスになる。

まだローンチされていないが(間もなくの予定)、期待のかかるサービス

実際、最近では「Googleノートブック」が開発終了したり、「Yahoo!ビデオキャスト」が終了してデータが削除される予定など、オンライン上に預けたデータが削除される可能性は十分にある。あらかじめ告知されていればデータをエクスポートして他のサービスに乗り換えたりする余裕があるが、突然の消失には対応できない。その際にはやはりバックアップが重要になるだろう。

LifeStreamBackupでは「Flickr」やブログ、「Googleドキュメント」「Twitter」「YouTube」および「Facebook」のバックアップに対応する予定とのことだ。そしてWeb APIを使ってデータを引き出せるようになる。なお、有料サービスとなり、6.95ドル/月でバックアップ+ストレージ(10GBまで)、3.95ドル/月で自分のAmazon S3へのバックアップとなる予定だ。

コンピュータが故障する可能性は常にある。それはオンラインサービスであっても同様だろう。だが、バックアップを心がけておけば、何か問題が発生したとしても、移行したり復旧したりすることができ、安心してデータを預けられるだろう。




データの取得のみを行うシンプルなライフストリーミングライブラリ

名称 Lifestream
URL http://habari.lvtrii.co.uk/lifestream

ライフストリーミングをサービスで提供する場合は、やはり何らかの画面が必要になるだろう。だが自分で構築する場合であれば、ブログのサイドバーに載せたり、別のサービスと組み合わせたりしたいと思うかもしれない。その際に便利なのが『Lifestream』だ。

出力機能もあるが、ずらっとリストが並ぶだけ

LifestreamはPHPで作られたオープンソース・ソフトウェアで、ライブラリとしての利用が基本になる。出力機能もあるが、単純なリストとして出るのみだ。データはXML形式で保存されるので、定期的にCronなどで自動巡回させる必要がある。

対応しているサービスは任意のフィード、「Twitter」「Last.fm」「delicious」「Flickr」「YouTube」「Googleリーダー」「Digg」「Huffduffer」「Github」「Stumbleupon」となっている。Googleリーダーは共有に入れたアイテムをピックアップする。

ソースコード。各サービスのユーザIDを登録していくだけ

データはXML形式での保存で、アクセスさせるとブラウザから見えてしまう可能性がある。とはいえ、LifestreamではユーザIDのみを指定するだけで使えるようになっており、データはすべて公開されているものだけを対象にしている。万一見られたとしても問題はないだろう。

あとはブログや自分のWebサイトなどに掲載すればよい。シンプルに使える便利なライブラリだ。




Rails製のライフストリーミングマッシュアップ

名称 Kakuteru
URL http://dominiek.com/

Kakuteru』はRuby on Railsを使って作られているライフストリーミングシステム。サービスを独自に登録していくというわけではなく、FriendFeedのデータを取得するようになっている。FriendFeedではWeb APIを公開しているので、それを利用している形だ。

見せ方を整えるだけでも十分価値の高いライフストリーミングサービスになる

さらに「Zemanta」というサービスのWeb APIを使ってデータから特徴語を取り出してタギングを生成している。コメントは「Disqus」というサービスのものを使って行っている。つまりKakuteruでの機能は絞り込まれており、各種Web APIを使ってマッシュアップしているのだ。

オリジナルのデータとしてはブログ風のポスティング機能がある。そしてブログとライフストリーミングのデータとをミックスして格好よく見せてくれるのがKakuteruになる。見栄えがよく、ステータスはグラフ化されて表示される。

管理画面。各サービスのユーザIDを登録していく

ライフストリーミングの分野もプレーヤが多くなってきている。その点Kakuteruはマッシュアップという位置づけでオリジナル性を出している。すでにFriendFeedを利用されている方はブログと統合して使ってみるのもよさそうだ。

いかがでしたか?

ライフストリーミングはWebサービスが好きで、様々なものを利用siている方にぴったりのサービスだ。プレーヤは増えつつあるが、キラーコンテンツになりそうなものはまだ登場しているとは言えない。それはただ闇雲に対応サービスを増やせばよいのではなく、見せ方やモバイル、ローカルアプリケーションとの組み合わせなども関係してくるのではないだろうか。

ネット上に散在したデータを集約することで、個々に存在しているサービスがユーザを軸とした切り口で見せられるようになる。Webサービスのメタ化とも言えそうで、今後増え続けるWebサービスの管理プラットフォームになるかもしれない。Web APIやマッシュアップ、フィードなど、今時のキーワードが凝縮されたライフストリーミングをぜひ体感してほしい。

著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。