【連載】

セカイ系ウェブツール考

52 観て・編集して・配信して! ムービーの全方位的楽しみ方

    中津川篤司  [2008/12/21]

    今回のテーマは「動画」

    21世紀がはじまったばかりの頃には全く予想できなかったほどネットワークは高速化し、その上に多彩なメディアが流れるようになった。「YouTube」や「ニコニコ動画」のような動画共有サイトが一気に伸び、テレビとは全く違う動画の視聴スタイルを提示した。

    それにともない、動画を使ったWebアプリケーションやオープンソースも数多く登場してきている。かつてはネットワークやコンピュータのリソースの問題もあったが、今は全く問題なく動かせるようになっている。動画はただ見るのも面白いかもいれないが、自分で作り、それを皆に見てもらって楽しめるようになるともっと面白くなる。そんな動画の楽しみ方を教えてくれるサービスを紹介しよう。

    今回紹介するOSS・Webアプリ
    effectunes』 オンラインで動画にエフェクト
    AlwaysVPN』 海外限定の動画も再生できたらうれしい……
    animata』 リアルタイムアニメーションを実現する
    PHPMotion』 PHP製のYouTubeクローン



    オンラインで動画にエフェクト

    名称 effectunes
    URL http://www.sprasia.com/apps/effectunes

    ハードウェアやネットワークが安価になり、動画を撮ったり公開するのは簡単になったが、素人が撮った動画そのままでは単調で、見栄えの良いものは多くない。多少なりとも編集や装飾を行った方が良い。そのためのWebアプリケーションを提供するのが『effectunes』だ。

    「effectunes」を提供するsprasiaのトップページ。エフェクトは3,000を超えるそう

    effectunesは、Sprasia(スプラシア)で提供されているFlashベースのWebアプリケーション。既存の動画の上にエフェクトを重ねることができる。稲妻のようなエフェクトやキャラクターが踊るものなど多彩に揃っている。本格的に作り込んでもよいし、お遊び的に利用するのもよいだろう。

    動画の上にエフェクトを重ねて配信できる。操作はスムーズで簡単

    Web上で、それもFlashベースで動作するため、専用アプリケーションを使わなくてもカッコイイ動画に仕上げられるのが魅力だ。ニコニコ動画では皆で面白がることで単調な動画も楽しめるようになった。effectunesはエフェクトを使って動画をドレスアップしてくれる魅力的なWebアプリケーションだ。




    海外限定の動画も再生できたらうれしい……

    名称 AlwaysVPN
    URL http://alwaysvpn.com/

    最近の動画配信サイトの中には、提供する国を限定しているものがある。著作権問題や法律に関わる問題などを含みがちな動画配信ならではの問題と言えるかもしれない。アメリカ国内であれば見られるドラマなども、日本からアクセスするとエラーになってしまう。

    そのような状況を克服してしまうのが『AlwaysVPN』だ。AlwaysVPNでは、OpenVPNというセキュアなプライベートネットワークを作成するソフトウェアを使い、アメリカ国内からアクセスしているように見せかけることができる。プロキシでは弾かれてしまったサイトであっても、AlwaysVPNなら通ったりする。

    「AlwaysVPN」のトップページ。Downloadから各プラットフォーム向けのパッケージをダウンロードする

    VPNはセキュアな通信を行う関係上、速度は遅くなってしまう傾向にある。そのため、AlwaysVPNを使ったWebアクセスだと十分な速度が出ず、スムーズに再生できないこともあるのでご注意いただきたい。OpenVPNを使ったクライアントソフトウェア向けの設定ファイルがMac OS XやWindows、Linux向けに提供されている。試してみたい方はダウンロードしてみよう。

    Mac OSX用のOpenVPNフロントエンド、Tunnelblickの呼び出し画面




    リアルタイムアニメーションを実現する

    名称 animata
    URL http://animata.kibu.hu/

    モーションキャプチャと呼ばれる技術を使うと、人にマーカーを付けることでその動きをモデリングし、コンピュータ上で再現することができる。映画の中でもよく用いられ、ダンスやマラソンなどのスポーツの分野でも利用されている技術だ。

    それに似た技術を提供するのが『animata』。公式サイトに動画があるのだが、人の動きに合わせてanimataのキャラクターがダンスをする、音楽を奏でるといったことができる。マーカーは用いず、WebCamなどを使って人の動きを取り込む方式のようだ。

    キャラクターの定義。ちょっと怖い雰囲気もあるキャラクターが多い

    パーツやキャラクターなどのデータが同梱されており、パーツに関節や連動する動きの定義を与えて動かすこともできる。キャラクターがちょっと不気味な気もするが、使われている技術は目を見張るものがある。リアルとアニメとを連携させる、面白いソフトウェアだ。

    ドラマーの例。多数のオブジェクトも同時に操作できる




    PHP製のYouTubeクローン

    名称 PHPMotion(オープンソース・ソフトウェアではありません)
    URL http://phpmotion.com/

    YouTubeといえば、動画共有サイトの最大手。それだけ有名なシステムになると同じような機能をもったクローンソフトウェアが登場するのだが、YouTubeクローンというのはあまり多くない。動画を共有するとなると、ハードウェアやネットワークのリソースの問題が大きいからだ。

    そんな中でも珍しいのがPHP製のクローン『PHPMotion』だ。動画をアップロードし、自動でバックグランドでFlashへの変換処理が行われる。FFMPEGやmencoderといったツールが別途必須になるので、共有サーバなどでは導入は難しいだろう。

    トップページ。少し前のYouTubeライクなデザインになっている

    FFMPEGなどのインストール方法によっては、多彩な動画フォーマットに対応させることができる。WMV、AVIなどには標準で対応し、Flashビデオにも対応。動画は別のブログに貼り付けたり、コメントやレーティングを行なったりすることができる。

    最初に述べたとおり、トラフィックの問題があるのでクローンとはいえ、簡単に導入することはできないかもしれない。だがごく小規模なサービスの中で使ったり、仲間内での動画共有などであれば十分使えるはずだ。Webサービスをただ使うのに飽きてしまった方は、PHPMotionを使っていっそ自作してしまうのも面白い。

    動画表示画面。ブログ埋め込み用のタグがあり、レーティングやコメントなどができる

    なお、PHPMotionはフリーウェアであり、許可なく販売、再配布できないのでご注意いただきたい。

    いかがでしたか?

    動画を扱うサイトは数多く、YouTubeのような大手もあれば、Flickrのように新しいジャンルとして動画配信に対応するサービスもある。ハードウェアリソースを消費してしまうのが問題だが、テキストや写真、音楽系のサービスとは異なる魅力があるのは確かだ。

    それだけではなく、動画をインターネット上で配信するには著作権問題がつきまとう。だが、時代の流れにともない、サービス提供側とステークホルダー側とで新たな枠組み作りが始まっているのも確かだ。今後、この動きはさらに活発化していくに違いない。

    iPhoneなどモバイルデバイス上で動画を見たり、撮影したりすることもできるとあって、動画はとても身近なものになっている。見て楽しむだけでなく、自分でも何かを撮影し、皆で楽しむ方法として今回紹介したツール/サービスを使ってみるのもよいだろう。

    著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

    1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。
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