今回のテーマは「ガジェット」
通常のアプリケーションに比べてサイズが小さく、そして単機能のアプリケーションはガジェットまたはウィジェットと呼ばれ、数多く存在している。Mac OS Xでは初期の頃からガジェットが存在し、Windows環境でもWindows Vistaからウィジェットが利用できるようになった。
同様の仕組みはOSでの提供に限らない。Yahoo!ウィジェットやOperaのようにウィジェットの仕組みをアプリケーションとして(またはアプリケーションの一機能として)提供するもの、iGoogleのようにWebベースで提供されるもの、ブログパーツとして配布されるものなど、実にさまざまなプラットフォーム向けに提供されている。OpenSocialやFacebookアプリケーションといったものもWebガジェットの一種と言えるだろう。多少の違いはあれど、JavaScriptやHTML、Flashを使って提供されるガジェットは、Web APIを使ったものやWebサービスを便利に使えるものなどWebとの親和性が高いものが数多い。
今回はそうした「ガジェット」をキーワードにWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。デスクトップやWebに新しい魅力や機能を提供してくれること間違いなしだ。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『iGoogle』 多機能&無数のガジェットが自由に使える!
『Widgetbox』 マルチプラットフォーム対応のガジェット配布サービス
『GoogleGadgets』 GoogleガジェットをMac OS Xで
『WebJourney』 iGoogle風ガジェットプラットフォーム
オリジナルの情報管理ツールを目指す
名称 | iGoogle |
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URL | http://www.google.com/ig |
おそらくもっとも有名なWebガジェットプラットフォームが『iGoogle』だろう。多数のアプリケーションが登録されており、自分の専用ページに簡単に貼り付けることができる。ブログへの貼り付けにも対応しており、Googleという枠を超えて楽しむことができる。
ガジェットは現時点では一般ユーザ向けという性格が強い。だが、自分の好みに合わせてパーツを組み合わせ、専用ページを作り上げるという作業は、オリジナルの情報集積ページを作り上げる作業に近い。実際、各種Web APIを使うことでGmail/Googleカレンダー/GoogleドキュメントもiGoogle上に表示できるようになっている。これをうまく組み合わせれば、自分だけのオリジナル情報管理ツールができあがるだろう。
足らない機能があれば、オリジナルのウィジェットを作成し、追加することだってできる。ぜひ活用してほしい。
FacebookにもブログにもiGoogleにも対応のガジェットポータル
名称 | Widgetbox |
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URL | http://www.widgetbox.com/ |
一般的にブログパーツを呼ばれるガジェットがある。JavaScriptやFlashのタグをブログのサイドバーに埋め込む類のものだ。実用的なものもあれば、ゲームができるものなど、ブログをさらに華やかに盛り上げてくれるものが多い。
『Widgetbox』ではそんなブログパーツを数多く登録しているサービスだ。時計やゲーム、スポーツ、バーチャルペットなど多彩なジャンルが存在。中には、お腹の赤ちゃんが日ごとに大きくなっていくというガジェットも。Widgetboxではそうしたブログパーツを簡単に貼り付けるためのタグを用意している。
秀逸なのはiGoogleやFacebook、WordPress、Bloggerなど多数のプラットフォーム向けに一括提供している点だろう。こうしたガジェットのプラットフォーム同士は互換性が低く、専用のものばかりになってしまう。Widgetboxであればマルチプラットフォームに対応して動作してくれる。
Mac OS XのDashboardでGoogleガジェットを動かす
名称 | GoogleGadgets |
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URL | http://desktop.google.com/en/mac/ |
最新のGoogleデスクトップを導入すると、デスクトップ検索だけでなく、Googleガジェットをデスクトップ上で利用することもできるようになる。Mac OSX では標準でデスクトップ検索機能であるSpotlightがあるため、デスクトップ検索のために同ツールをインストールする必要はない。とはいえ、Googleガジェットの中には魅力的なものが多いのも確か。これらをデスクトップ上で使えると便利だろう。
『GoogleGadgets』はそんな事情を察してか、Mac OS X上でiGoogleガジェットを利用できるようにしてくれるソフトウェアだ。インストールすると、専用のガジェットインストーラーが表示され、そこからGoogleガジェットをダウンロード、インストールできるようになる。
導入したGoogleガジェットは、Mac OS X標準のDashboard内で動作する。一度インストールしてしまえばGoogleGadgetsを起動する必要はないため、そのまま他のガジェットと同じように扱える点が便利だ。ガジェットのプラットフォーム間の壁を越えて便利にしてくれるソフトウェアだ。
オリジナルのガジェットサービスを立ち上げる
名称 | WebJourney |
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URL | http://project.webjourney.org/webjourney/trac/ |
『WebJourney』は自分でガジェットのプラットフォームを作成できるソフトウェアだ。左右と中央に縦分けされたボックスの中に好きなガジェットを配置することができる。まさにオリジナルのiGoogleのようなものだ。現状では利用できるガジェットは多くないが、プラグインのように追加でき、自作することも可能となっている。
ガジェットを配置していけば、Webサイトと同等のものを構築できる。パーツを組み合わせることで、自由に形を変えられるCMSのように扱うことも可能だ。何よりオープンソース・ソフトウェアとして公開されているので、自社内にサービスを立ち上げて専用のポータルにできる点が魅力だろう。
数年前にはユーザの囲い込みにユーザ登録を使うのが一般的だった。今はSNSを使って囲い込むケースが多い。WebJourneyは、ガジェットサービスとしても次世代の囲い込み戦略としても利用できる可能性があるのではないだろうか。
いかがでしたか?
ひとことでガジェットと言っても、その動作する仕組みやアプリケーションの配布方法などはそれぞれ異なる。利用法についても、ゲームのような遊び系のものがあれば、メールやカレンダー、タスクといった実用的なものまである。そう考えるとガジェットはまだまだ実験段階で、さまざまな試みがなされている途中と見ることもできそうだ。だが、Facebookアプリケーションのように、ヒットすれば数万というユーザを一日にして獲得できてしまうものも存在する。OpenSocialの動きによって、mixiやMySpaceといった有名どころのSNSで共通したガジェットが動作するようにもなっていく。ガジェットは今年、来年とさらに面白くなる注目の技術であることは間違いなさそうだ。
著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。