今回のテーマは「ブログ」

日本でも数多くの人が書いているブログ。2007年4月の調査によると、世界中のブログのうち、日本語のブログがもっとも多いらしい。そんなブログであるが、日本ではまだまだ日記というイメージが強い。もちろん日記としての使い方もよいのだが、ブログをCMS(Content Management System)として幅広く活用する動きも出てきている。今回は「ブログ」をキーワードにWebアプリ、ソフトウェアを紹介していきたい。

今回紹介するOSS・Webアプリ
WriteToMyBlog』 オンラインブログエディタ
Tumblr』 シンプルなブログサービス
bbPress』 「WordPress」をフォーラム化
MovableType OpenSource』 オープンソース版「MovableType」



オンラインで見栄えのいいブログを作成

名称 WriteToMyBlog
URL http://writetomyblog.com/

『WriteToMyBlog』はオンラインで提供されるブログエディタで、各種ブログに対してポストできる。Blogger、WordPress.comをはじめ、XML-RPCに対応したブログエンジンであればどこでも利用できる。記述はWYSIWYGなHTMLエディタを使って行うので、様々な装飾を簡単に施すことが可能だ。

「WriteToMyBlog」のトップページ。トップページがブログの投稿画面になっている

BloggerやWordPressをはじめとしたXML-RPCに対応したブログへポストできる

例えば太字、イタリックをはじめとした文字装飾、画像やテーブルの埋め込み、「flickr」の写真や「YouTube」の動画を検索して埋め込むこともできる。他にもタグを設定したり、HTMLソースを編集してから投稿したりと多機能なブログエディタになっている。

インターネットにさえつながっていれば場所を選ばずに利用できて便利だ。さらにWriteToMyBlogはユーザ登録も不要で使えるのが手軽でよい。




シンプルで気の利いたブログがお望みなら

名称 Tumblr
URL http://www.tumblr.com/

『Tumblr』は元々、シンプルさが売りのブログだったのだが、最近ではそれだけでなく気の利いた機能を提供し始めている。例えば、投稿する内容に応じてコンテンツの種類を決めてくれる機能がある。テキスト、写真、引用、リンク、チャット、音楽、ビデオのそれぞれについて、一つのBookmarkletから自動で振り分けてくれる。サイト内の文字列を選択してTumblrに投稿しようとすれば、引用が選択された状態で投稿画面が表示される。

「Tumblr」のトップページ。すっきりとしたごくシンプルなデザインが売りだ

Tumblrの管理画面(Dashboard)。ここからでも投稿できるが、Bookmarkletを活用した方が便利だ

とにかく自分の気になった情報を投稿するだけ。それこそコンテンツの種類によらずBookmarkletを実行していけばよい。チャンネル機能によるグループや、指定ユーザをFollowする仕組みもある。ごくシンプルなので、高機能化されたブログに疲れた人にもお勧めのサービスだ。




ブログシステム「WordPress」をフォーラムに

名称 bbPress
URL http://bbpress.org/

ブログをブログとして活用するのは古いのかもしれない。すでに「WordPress」や「MovableType」のブログエンジンはCMS(Content Management System)と呼ばれている。CMSであれば、ブログ以外の利用法が考えられる。その一つとして紹介したいのがこの『bbPress』だ。

「bbPress」の管理画面。通常のWordPressのものに比べるとメニュー項目が少ない

bbPressのユーザ画面。ブログの面影はない

bbPressは、WordPressをベースにプラグインやテーマを変更することで、フォーラムのような使い勝手を実現するソフトウェアだ。WordPressの使い勝手の良さや機能を活かすことができるので、イチからソフトウェアを開発するのに比べて効率がよさそうだ。

とはいえ、元のWordPressに比べると機能を削っており、管理画面はすっきりとした印象だ。エントリーを投稿する機能はなく、発言を一覧したり、フォーラムを追加、編集する機能などがメインになる。ユーザ画面もブログとは思えないほどフォーラム機能に特化したものとなっている。なお、日本語を利用することはできるが、日本語ローカライズはされていない。

通常のフォーラムソフトウェアは機能が数多く、ゴテゴテとしてしまっていることもある。むしろスッキリとした掲示板ソフトウェアがいいなら、bbPressの選択は十分考えられそうだ。




「MovableType」がついにオープンソース化

名称 MovableType OpenSource
URL http://www.movabletype.org/opensource/

2007年06月にその方針が発表され、12月についにオープンソース版が登場した「MovableType」。これまでも非商用の個人向けに関しては無料版があったが、オープンソース版を使うことで商用であっても無償で利用できるようになった。

「MovableType Opensource」の管理画面。セットアップもごく簡単に完了する

ブログ投稿画面。さすがに見やすくわかりやすい

オープンソース版のMovableTypeは「MovableType 4」がベースになっている。機能的には遜色ないように思える。インストールの手軽さも、管理画面の使い勝手もそのままだ。Perlを得意とする方は、自分なりのカスタマイズをすることもできるだろう。また、既存の数多くのプラグインを使って機能を追加することも可能だ。

ビジネス上は有償のライセンスが継続して利用されていくと思われる。だが、個人であればオープンソース版という選択も考えられるようになった。また、ブログをブログのままでなく、プラットフォームとして活用する事例も増えているので、オープンソース版MovableTypeを使って独自の発展を遂げるというのもよさそうだ。

いかがでしたか?

今回は一般的にもよく知られているブログを題材にお届けした。一言でブログと言っても、その利用法は様々に考えられる。特にブログからCMSへと発展していったことで、Eコマースとして、メディアとして、そしてフォーラムとして活用の場が広がっている。汎用性の高いブログを使って、ブログらしからぬ利用法を見いだしてみるのは面白そうだ。WordPressは、bbPressの他にも別のシステムとして利用されているものもある。MovableType もまた、オープンソース化されたことでその動きが強まりそうだ。

ブログエンジンはそれまでCMSやWikiによく見られたプラグインの仕組みを最初から取り入れているのも特徴だ。プラグインを開発するだけで、その機能は大きく変わってくる。自分の使っているブログソフトウェアのプラグイン情報にも目を配ってみてほしい。

著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。