クチコミを書けるWebサイトにしたい!

ネット上には、商品に対する感想が頻繁に書き込まれている。自社の商品がどのように顧客に受け止められているのか、ECサイト運営者(オーナー)には気になるところだ。書き込みを分析するサービスも活況だという。

日経リサーチが7月に発表した「ブログを参考とした購買経験」の調査結果によると、男性の32.4%、女性の47.1%でブログの書き込みが商品の購入に影響を与えているという。また、同月発表のマイボイスコムの調査でも、商品購入時に参考にする情報源としてクチコミサイトがテレビ・ラジオのCMや番組を押えてトップに立っている。

そこで今回は、「XOOPS」というコンテンツ管理システム(CMS)をホスティング環境に導入し、クチコミを書き込めるWebサイトを構築する方法を紹介しよう。ホスティング環境には、引き続きNTTPCコミュニケーションズのVPSサービス「WebARENA SuitePRO V2」を用いる。

なお、ここではデフォルトのrootユーザーでログインした場合で紹介するが、実際の運用では専用ユーザーを追加するなど、よりセキュリティに配慮したほうが好ましいことはいうまでもない。


「XOOPS」をインストールする


ダウンロードと展開
XOOPSはPHPアプリケーションとして構築されている。ただし単体では日本語に対応していない。そのため、ここでは日本語に対応し、いくつかのモジュール(拡張機能)を1つのパッケージに収めた「XOOPS for You」というパッケージをインストールすることにした。

ダウンロードは、ダウンロードサイトのリンクをクリックすると自動的に転送されるが、Webブラウザからダウンロードしてもホスティング環境にはインストールできないので、SSH端末で接続して、図1のようにwgetコマンドでアクセスしてほしい。

執筆時点ではファイル名がxoops4u_20061107.zipとなっているが、今後のバージョンアップなどで変更される可能性があるので注意していただきたい。

【図1】wgetコマンドによるダウンロード例(TeraTerm Proで接続)

ダウンロードしたファイルをunzipコマンドで展開し、生成されたxoops4u_20061107ディレクトリ内のhtmlディレクトリ以下すべてをApacheのドキュメントディレクトリ(/var/www/html)以下のxoopsディレクトリとしてコピーし、図2で示すディレクトリに必要な権限を追加しておく。

ここでは、 http://(ドメイン名)/xoops/ というURLでアクセスできるようにするため、/var/www/html/xoopsディレクトリ以下にコピーしている。

【図2】これらのディレクトリに必要な権限を追加(インストール画面より)


文字化けを防ぐ
実際のインストールはWebブラウザから行うのだが、表示されるページの文字コードはEUCとなっているため、表示が文字化けしないようにしておかなくてはならない。もしApacheの設定ファイル(/etc/httpd/conf/httpd.conf)にデフォルトの文字コードが設定されているのなら、EUCが出力されるように変更していただきたい。

たとえば、デフォルトがUTF-8に設定されている場合は、以下のようにそれをコメントアウトする方法がある。ただし設定は慎重に行う必要があるため、実際の手順はWebサイトを管理する技術者に確認していただきたい。

AddDefaultCharset UTF-8

#AddDefaultCharset UTF-8 (先頭に#を付加してコメントアウト)

Webブラウザ上でインストール

それではMySQL(mysqld)とApache(httpd)を起動して(第2回参照)、Webブラウザからホスティング環境 http://ドメイン名/xoops/ にアクセスしていただきたい。図3の画面が表示されたらインストールを開始できる。「次へ」をクリックして画面上の指示に従って進めていただきたい。データベースもこの画面上で作成できるので、mysqladminコマンドを実行する必要はない。

【図3】インストール開始画面

Webブラウザ上でのインストールが終了したら、/var/www/html/xoops/install/ディレクトリを削除し、mainfile.phpの書き込み権限を削除しておく。

これでXOOPS本体がインストールできた。再び http://ドメイン名/xoops/ にアクセスすると、今度はログイン画面が表示される(図4)。ただしこの時点ではまだクチコミを書き込むことはできない。

【図4】ログイン画面


フォーラムのインストール

次に、このWebサイトでクチコミを書き込めるようにするために、XOOPSに「フォーラム」というモジュールをインストールする。これはいわゆる掲示板の機能で、インストールされたらすぐに掲示板サイトとしてクチコミを書き込むことができるようになる(図5)。

【図5】フォーラムモジュールによる掲示板の例(フラット表示)

これ以降、モジュールのインストールはすべてWebブラウザ上のXOOPSを操作して行う。

モジュールの選択
インストール中に設定した管理者ユーザー名でログインした後、管理メニュー→オレンジのアイコン→モジュール管理の順にクリックすると図6が表示される。これをスクロールさせるとFORUMと書かれたアイコンが見つかるはずだ。それが掲示板機能を持つFORUMモジュールを表している。

【図6】モジュールの選択

FORUMモジュールのインストール
その段の右から2番目のアイコンをクリックして図7が表示されたら、インストールをクリックする。そして「モジュール管理メニューへ戻る」をクリックした後に、「システム管理」の下に「フォーラム」が表示されたらインストールは完了だ(図8)。インストールされたモジュールは、ログイン後のメインメニューに表示されるので、確認しておこう。

【図7】インストールするモジュールを確認

【図8】FORUMモジュールがインストールされた

なお、モジュールを削除(アンインストール)する場合は、図8の「アクティブ」のチェックをはずして「送信」を2回クリックした後、同じ段の右から2番目のアイコンをクリックする。


クチコミサイトで役立つモジュール

この他にも、クチコミサイトで役立つモジュールがインストール可能になっているので、これらも上記と合わせて活用し、ユーザーにとって有意義なクチコミサイトを構築していただきたい。

表1 クチコミサイトで役立つモジュール

モジュール 概要
FAQ 「この商品はどんなものですか?」など、よくある質問(FAQ)をあらかじめまとめておく
POLLS 掲載した質問に対してユーザーが投票できる
NEWS 掲載したニュース記事に対してユーザーがコメントできる
LINKS Webサイトのリンク情報(ブックマーク)をユーザーが登録/修正/評価できる
CONTACT US(図9) サイト運営者向けにメールを送信するフォームを表示する

【図9】CONTACT USモジュールによる問い合わせ画面


次回は……XOOPSと第3回で紹介したECサイト構築ツール「Zen Cart」を融合させた「ZenCart On XOOPS」をインストールする。