こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。今回は「歯・顎(あご)の痛みや違和感」対策としてセルフケアしていただきたいツボをご紹介します。

食べたり飲んだりするときに痛みや違和感があると、おいしさも半減してしまいますよね。今は次々とおいしいものがでてくる季節。実りの秋、食欲の秋を楽しむためにもご自身でケアをしていきましょう。

口の周りの痛みや違和感で、一番多く見られる症状は歯痛です。「虫歯による痛み」「歯は治療したのに歯の周辺や歯茎のあたりが痛い」「歯が浮くような感覚がある」といったケースですね。

また、顎(がく)関節のトラブルとしては「かむときに口の周りの筋肉に痛みを感じる」「口が開かない」「口を動かすと顎関節の雑音がする」「かみ合わせに違和感がある」「疲れたりストレスを感じたりすると、歯や顎やこめかみが痛く重く感じる」などを訴える患者さんが多くいらっしゃいます。

こういった症状が悪化すると、「かみしめ」「歯ぎしり」のほかに「肩こり」「頭痛」「眼痛」「腰痛」「めまい」「耳鳴り」「不眠症」「更年期女性の不定愁訴」など全身症状を引き起こすこともあります。口周辺、顎まわりのトラブルは脳に近いため、とても不快なもの。持続する痛みや違和感は生活の質も下げてしまいます。

虫歯や歯・顎の痛みには歯科受診をお勧めしますが、すぐに受診できないときの応急処置として、ツボ刺激で症状を軽減させることができるとされています。また、顎関節のトラブル時や予防にも効果的です。顎周りの筋肉を緩めることで、お肌や表情も明るくなります。ご紹介したツボ以外にも耳まわりや顎周辺を刺激してください。

そして、ツボ刺激のほかにも日常的な顎関節症予防方法として「口や顎の周りの筋肉をマッサージして緩める」「食べるときには片側の歯だけでかまない」「ほおづえを長時間しない」「電話などを耳と肩で挟まない」「日中のかみしめチェックをして、かみしめていた場合は顎の力を抜く」などがあります。

ぜひこれを機会に日常生活を見直してみてください。

セルフケアしたいツボ

ツボの刺激効果を得るポイントは、強く押しすぎないこと。心地よい刺激を感じることで、効果が増幅されます。

合谷(ごうこく)

万能のツボ。歯痛、顔面痛、生理痛などの痛みを鎮めるほか、むくみにも効果抜群とされています。

■場所: 手の甲、親指と人さし指の間。人さし指側の骨の真ん中。親指と人さし指でL字を作ったときの角より少し人さし指よりで、押さえたときにジーンとするところ。

合谷(ごうこく)の場所

えい風(えいふう)

耳鳴り、難聴、歯痛、頬や顎の痛み、三叉神経痛、顔のむくみに効果ありとされています。

■場所: 前首、耳たぶの後ろから少し下にあるくぼみ。押すと耳の奥に重みを感じるところ。

えい風(えいふう)の場所

頬車(きょうしゃ)

頬や顎の痛み、歯痛、噛むときに使う筋肉を緩めるのに効果的なツボと言われています。

■場所: 下顎の角から中指1本分顔の真ん中の方向、口を閉じてかんだときに筋肉が盛り上がるところ。

頬車(きょうしゃ)の場所

下関(げかん)

歯痛、顔面痛、耳鳴り、顎関節症、顔面神経麻痺、三叉神経神経痛に有効なツボとされています。

■場所: 顔、耳の前指2本分くらいで、頬骨中央のくぼみ。ツボを押したまま口を開けると顎の関節が盛り上がって触れるところ。

下関(げかん)の場所



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。