こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。今回は「夏の冷え」対策としてセルフケアしていただきたいツボをご紹介します。

夏場の冷えは「自律神経の乱れ」「免疫力の低下」を引き起こし、「夏バテ」の原因にもなります。「いつも冷房が強い場所にいる」「外は暑いのに手足が冷たい」「夜中に足がつる」など、一般的に「冷え症状」は女性に多い悩みですが、最近は冷えを感じている男性も増えているようです。

冷えの原因には「冷房で冷えた体を冷たいものを飲むことでさらに冷やす」「冷たいものばかり食べる」「水分を摂(と)りすぎる」「動かない」「お風呂ではなくシャワー」「薄着で肌みせファッション」「運動の習慣がない」「慢性的な睡眠不足」など、さまざまなものがあります。

冬の冷え対策をしている人でも夏は油断しがちで、冷えているという自覚がない方が多いことも。汗をかく季節の「冷え」は要注意です。ツボのセルフケアと生活習慣の改善で、体を外と中から温めていきましょう。冷えを撃退することで、「夏バテ」の予防と改善にもつながります。

夏の冷え対策でセルフケアしたいツボ

ツボの刺激効果を得るポイントは、強く押しすぎないこと。心地よい刺激を感じることで、効果が増大されます。太渓から陰陵泉までの骨際のラインを連続して刺激することや、下から上へ押し上げるマッサージ、お灸もお勧めです。

太渓(たいけい)

冷え性、生理不調、不眠、むくみなどの改善が期待できます。

■場所: 足首、内くるぶしとアキレス腱の真ん中。

太渓(たいけい)の場所

三陰交(さんいんこう)

産科婦人科疾患(生理不調、閉経、おりものなど)、貧血、不眠、下痢、むくみ、冷え性ほかへの効果が期待できます。

■場所: 足首、内くるぶしから指幅4本くらい上がったところ、スネの内側で骨のきわ。

三陰交(さんいんこう)の場所

陰陵泉(いんりょうせん)

むくみ、食欲不振、泌尿器・生殖器の機能低下、膝痛などに有効とされています。

■場所: すねの上部内側、すねの骨の内側ラインを足首側からなで上げていき、膝の下の骨のでっぱり部分で止まるところ。

陰陵泉(いんりょうせん)の場所

血海(けっかい)

産科・婦人科疾患全般(生理不調、生理痛、閉経、不正出血など)、湿疹、膝痛ほかによいと考えられています。

■場所: 膝、膝皿の内側の角から指3本分くらいのところ。足をピンと伸ばしたときに盛り上がる筋肉の上。

血海(けっかい)の場所

これらのツボのセルフケアに加えて、気をつけていただきたいのは食事や生活習慣の改善です。

なるべく階段を使う

ちょっとした階数ならば、階段を使ってみましょう。水分は重力の影響で下半身にたまります。脚の筋肉が水分を動かすポンプの役割をしますし、運動することで体の内部が温まるきっかけになります。

湯船につかる

ぬるめのお風呂にゆったりとつかりましょう。芯から温めると血行が促進されます。リラックスすることでストレスにも睡眠不足にも効果があります。

首と名の付く3カ所とおなかを守る

足首、手首、首は血管が多い場所です。体の中の冷えた箇所から冷たい血液がめぐるので、冷えは加速してしまいます。足首はレッグウォーマーや靴下で保護しましょう。首は冷えると「肩こり」「頭痛」の原因にもなりますので、スカーフなどで保護しましょう。おなかには薄手の腹巻きなどを着用してみてください。

食べ物と水分の温度に注意

喉の渇き解消には、ぬるめの水分のほうが効果的です。ガブガブと一気に飲まずに少しずつ摂取しましょう。冷たい飲食物は、胃腸に負担がかかります。消化によい体を温める食事を心がけてください。



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。