こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。

汗が気になる季節の到来間近ですね。運動もしていないのに、頭や顔から汗がだらだら流れている様子は決して美しいとは言えませんよね。開いた毛穴に汗で流れたファンデーションが入り込んだり、シャツに汗染みができたり、さらにはニオイだって心配です。汗が噴き出ていると周囲の目を気にするあまり、焦りや不安感が生じ、今度は手汗まで……。

ということで、今回は「今、顔に汗がでたら困るんですけど! 」というシチュエーションで、瞬間的に汗を抑えたいときにセルフケアしていただきたいツボをご紹介します。

汗を抑えるツボ

大包(だいほう)

全身のだるさ、肋間(ろっかん)神経痛、顔や脇の汗、胸のつかえを和らげる。

■場所: 脇の下、みぞおちからあばら骨を触って脇の下の真下にずらした所。

大包(だいほう)の場所

極泉(きょくせん)

肩関節周囲炎、心痛、心悸(しんき)、悲しみ、胸のつかえなどに効果が期待できます。

■場所: 脇の下、脇のくぼみの真ん中で脈が触れる所。

極泉(きょくせん)の場所

屋翳(おくえい)

急性乳腺炎、バストアップにも効果あり。

■場所: 鎖骨と乳首を結ぶ線上の真ん中。

屋翳(おくえい)の場所

脇の下のツボの効能

脇の下のツボは反射を利用したもので、舞妓(まいこ)さんや着物を着る方が顔に汗をかかず涼やかな表情をしていられるのも、帯を締めているときにこの脇の下のツボが押されるからだといわれています。ただ、顔や脇から汗を出さないようにしている分、代償で他の場所に汗をかくことがあるのでご注意を。

周囲に気づかれずに汗を止めたいときは、強めに腕組みをしたフリをしてツボを押さえましょう。また、生理痛で使用した合谷は、ストレスや不安、神経過敏などの精神的な症状に効果があります。

プレゼンやデートの直前など、「緊張で急に汗をかいてしまったけれど脇の下を触れない」というときなどに使用してみてください。焦っても汗は引きません。気持ちと呼吸を落ち着けてから。

そもそも汗は、嫌なニオイの原因になるアポクリン汗腺と、全身にあって体内の熱を放出して体温の調節をしてくれるエクリン汗腺の2種類の汗腺から分泌されます。

噴き出る汗は主にエクリン汗腺から出ている汗で、分泌をコントロールしている交感神経が「精神的なストレス」「ホルモンのバランス」「食生活」「体質」など、さまざまな理由から正常に働かなくなることで発汗異常が起こります。

また、空調の効いた場所で汗をかかない生活が続くと、汗腺は休暇状態になってしまいます。そうすると、汗は比較的活発な活動汗腺がある脇や顔に出るようになってしまいます。日頃から有酸素運動を行って全身の汗腺を活発化させ、全身からバランスよく汗が出るようにしましょう。



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。