いよいよ湖上へ出て釣りを開始することになった。最初にやることや、時間帯によってどのように集中していけば良いか解説していこう。いつもの釣りに、少しだけITの合理的な考え方をプラスするだけで釣果が確実にアップするぞ!

魚探を使って群れの泳ぐ層を素早く見つける

前回で、ここぞと思うポイントにボートを固定したので、ここからはいよいよ本格的な釣りの開始だ。魚群探知機がある場合は、すぐにセットして欲しい。本来なら、ボートヤードから出る前に準備しておくべきだが、朝一は桟橋前が混み合うのでそういう時間帯はみんなの邪魔にならぬよう、ある程度離れてから用意する。それも間に合わなければ、その日の有望ポイントに到着してからでもいい。

ともかく、魚探があれば自分のポイントの直下がどのようになっているか、まずは確かめる。この時のコツは魚影よりも魚群を探すこと。単体で移っているのは他の魚の可能性が高いので、どちらかというとノイズっぽい塊が何メートルの辺りに出ているかをチェックすればいい。

例えば10mの水深があり、群れの反応が5mで出れば、その日は宙層で食ってくる可能性が高い。なので、魚の群れに当たれば連続ヒットになるので、オモリは重めの4~7gを使う。オモリを重くするのは掛かった魚が暴れて仕掛けが絡むのを防ぐ目的がある。逆にボトム近辺に反応がある場合は、繊細なアタリになるケースが多いので、なるべく軽めの1~2.5gのオモリを使うのだ。それが分かればセットする穂先の硬さも決まるので、まずはそれを手がかりに釣りを始めるのがいい。

もし魚探が無い場合は、ボート屋で良く釣れている層を聞いておこう。その場の水深を測るにはオモリを直接ラインに結び、一度水中へ落とせばいい。PEラインを使っているなら、1mごとにマーカーがついているはずなので、それを数えれば水深を測ることができる。ナイロンラインの場合は着底してからラインを両手でたぐる。その場合、片方の手でラインをつまみ、両手を体いっぱいに広げるようにして、その回数をカウントする。釣り用語で大人が両手を広げた際の感覚のことを「ヒトヒロ」という。個人によって違いはあるが、日本人の標準体型ならヒトヒロ=約1.5mになる(わたしは体が大きいので約1.8m)。着底したオモリを回収するのに6ヒロだった場合は水深約9mになるという計算だ。そうして水深が分かれば、ボート屋で聞いた情報とすり合わせて、宙層になるのか、ボトムになるのかが推測できるというわけだ。

水深10mのポイントで7.5~8mの辺りに反応がある。宙釣りになる可能性があるので、最初は重めのオモリを使う

タックルが決まればいよいよ投入!

これで釣るべき層と、使うべきオモリが決まったので、あとはお気に入りの仕掛けをセットして投入となる。そこで忘れてはいけないのが餌の付け方だ。関東近郊の釣り場なら、主にサシ餌か赤虫を使う。針にセットする場合は、どちらも針先に頭かお尻を刺すだけのいわゆる「チョン掛け」で構わない。ちなみに、頭に掛けると餌はすぐに弱るので動きが少なくなる。逆にお尻に掛けるとしばらく活きているのでよく動く付け方になる。針を刺した場所から体液がにじみ出るのと相まって、動きとニオイで魚の口を使わせる釣り方だ。

餌のどちらかの端を針先にちょこんと掛ける「チョン掛け」

基本的に、餌付けはチョン掛けだけでも良いのだが、釣れる魚のサイズが小さかったり、魚が口を大きく開かないこともある。その場合は、刺した餌の一部をハサミでカットしてより体液が多く出ていくようにするといい。関東近郊の釣り場では撒きエサ禁止になっていることがほとんどなので、付け餌で寄せるという意味合いもある。

究極は餌を半分にして針に付ける方法。面倒なのでやりたがる人は少ないが、非常によく釣れるやり方だ。セット方法も工夫が必要で、枝針のひとつにまずチョン掛けする。その上にある針にもう一方の側を刺す。こうしてひとつのサシに二つの針がセットされた状態になったら、ハサミで半分に切るのだ。

少し分かりづらいが、チョン掛けした餌のもう一方に枝針の近い側の針先を掛ける。この後、ハサミで中央を切れば「ハン掛け」になる。集魚力のもっとも高い餌付け方法だ

すべての餌付けに言えるが、マメに餌交換をするほど釣果は伸びる。ただし、餌付けに時間が掛かってはチャンスタイムを失うので、なるべく迅速に行うことが必要。目安として、サシなら餌が白っぽくなったとき、赤虫なら赤みが薄くなったときが替え時だ。これを面倒がって、放っておくと群れが通ってもまったく見向きもされなくなる。人間でもそうだが、食事は新鮮なもののほうがうれしい訳で、混雑する釣り場ならなおさら新鮮な餌が供給されているとこへ、多くの群れが回遊するようになる。釣果が伸びない、と悩んでいる人の多くが、餌替えを面倒がっているだけというケースも非常によく見る光景なので、十分注意していただきたい。

また、餌替えの頻度として、いちばん長持ちするのはふつうのチョン掛け、ついでチョン掛け+餌カット、すぐに白くなるのは半カットという順番になる。逆に集魚力は、半カットが一番高く、次いでチョン掛け+餌カット、最後はチョン掛けという具合だ。こうして考えれば、餌の付け方ひとつで魚の活性に合わせて行くこともできる。以前、カープフィッシングのときに解説した、餌のローテーションはここでも通用するのだ。

みなさんもその日の活性や、自分が餌交換にかかる時間などを考慮し、餌付けのバリエーションを自分のものにしていくといいだろう。わたしは、ほぼ半カットだけで終日過ごすことが多い。針数を増やさずに手返しで釣っていくタイプなので、集魚力を高めて群れをなるべく長時間足止めしておきたいというのが理由だ。

さて、餌付けができたらいよいよ仕掛けを投入だ。釣れるかどうかはここまでで集めた情報の質次第!ドキドキの瞬間は次回お伝えしよう。

早くも有望ポイントでは釣果が上がり始めている。焦る気持ちを抑えつつ、すばやく準備を整えよう!