現在、月刊ヤングマガジン(講談社)にて『海めし物語』を連載しており、ドラマ化もされた『たべるダケ』(小学館)の著者として知られている高田サンコ先生。そんな高田先生が制作環境をアナログからデジタルへ一新させるべく、立ち上がった。本連載では、そんな高田先生が悪戦苦闘しながら、制作環境を変えていく様子を紹介していきたい。

高田サンコ(たかださんこ)
管理栄養士の資格を持つ。代表作はドラマ化もした『たべるダケ』(小学館)など。月刊ヤングマガジン(講談社)にて『海めし物語』を連載中。現在のデジタル環境は約10年前のiMac。Photoshopを使っているものの、ブラシなどの機能は使いこなせていない。

ワコム東京支社にやってきた高田先生

普段は紙にGペンで原稿を描いている高田先生。ペンタブレットで漫画を描くデジタル制作に興味はあるものの、何から揃えれば良いのか分からないと言う。そこでマイナビニュース編集部の出した助け舟は「ワコムに聞いちゃえば?」だ。

ワコムの会議室に通されると、最新ペンタブレットである「Wacom Cintiq Pro 16」「Wacom Cintiq Pro 13」「Wacom Intuos Pro Large」「Wacom MobileStudio Pro 16」の4機種がセットアップされて並んでいた。

それぞれの違いを簡単に説明してもらい、1つずつ触れていくことになったが、さあ、緊張して既に何がどう違うのかサッパリだぞ。

まずは15.6型液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 16」の説明を受ける。2017年4月に発売されたばかりの新製品だ。液晶ペンタブレットの良いところは、通常のペンタブレットと異なり、手元に目を落として紙に描く感覚で描けること。モニターが別途ある環境ならば、メニュー類や資料をモニターに表示して、絵だけ手元のペンタブレットに広く映し出すこともできる。細かい部分を描き込みたいときに、絵の全体をモニターに映し、手元の作業領域は拡大表示だけ映すといった使い方も可能だ。

15.6型液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 16」の説明を受ける高田先生

ワコムでプロダクトマーケティングを担当する小幡幸結さんが、液晶ペンタブレットの魅力を手取り足取り。有り難い

最初はよく分からず緊張していたものの、目の前で実際に動かしながら説明を受けるとやはり分かりやすい。興味津々で食いつく高田先生。「えっ! 凄い!?そんな簡単にできるんですか!」の連続だ

ワコムの小幡さんによると、現役の漫画家に人気なのは、15.6型だそう。ちなみに、15.6型も13.3型も、1,920×1,080ドットでの表示に対応。15.6型はUSB Type-C接続により4K解像度(3,840×2,160ドット)での表示も可能だ。

特筆したいのは、高度なコントロールが可能なペン「Wacom Pro Pen 2」。8,192レベルの筆圧感知により、ペンの動きの違いを見分け、繊細なタッチでの描画を実現する。ペン先を変更することで好みの書き味に調整するのも簡単だ。

「なんでペン先を替えるんですか?」ズバンと核心に迫る高田先生。面倒臭いと思ったようだ。「もう少し摩擦係数があったほうが書きやすい、ないほうが書きやすいなど、色々なニーズに応えるためです」と小幡さん

実際にペン先をフェルト芯に替えてみて、書き味が変わることを知る。「あ、確かに紙に描いているときに近くなりました!すごいすごーい!」

ちなみにペンスタンドは、くるっと回してフタを外すと中に10本の替え芯が入っている。また、毎月11日は替え芯の日。ワコムの替え芯が割引価格で購入できる。覚えておこう

液晶ペンタブレットを利用すれば、原稿の下書きを紙で描いて、スキャンで取り込んで枠線やトーンだけデジタルで処理するといったことも容易に行える。

今回は15.6型と13.3型の両方の液晶ペンタブレット上で、セルシスのイラスト・マンガ・アニメ制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」を起ち上げ、実際にコマ割りやトーンの貼り付けなども体験。本体の大きさの違いによる使い勝手の差なども比べた。

デジタル制作環境では、作業の修正やバックアップ、同じ作業の繰り返しなどはアナログ制作環境よりも劇的に簡単になる。コマ割りやトーンの貼り付け程度の作業でも、便利さがすぐに実感できる。15.6型と13.3型だと、やはり大きく見やすい分だけ、15.6型のほうが使いやすく感じたようだ。

コマ割りして絵の上にトーンを貼り、さらになぞった部分だけトーンを削る作業も試す

今回の試し絵。「とりあえず何か描く」となったとき、猫を描く漫画家は結構多いのだそうだ。なぜ……?

次回は、モニターを別途用意するペンタブレット「Wacom Intuos Pro」を試し、導入する機材を決定する。果たして高田先生は無事にデジタル化できるのか!?

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