JR東海が山梨リニア実験線で開催している「超電導リニア体験乗車」の2015年度第3回の募集が始まった。2014年11月から開催され、今回で通算5回目。座席数が少なく、抽選制でかなりの高倍率となっている。だから超電導リニアの体験者は少ないだろうと思ったら、2005年の時点ですでに10万人を突破していた。

「超電導リニア体験乗車」2015年度第3回は10・11月の計14日間、各日6回にわたり実施される(画像はイメージ)

今回のような有料の「超電導リニア体験乗車」は2年目だけど、試乗会自体の歴史は長い。次の開催に期待しつつ、超伝導リニア試乗会の歴史を振り返ってみた。

山梨県に敷設された実験線は、将来は中央新幹線に使われる予定だ。走行実験の開始は1997年4月3日。このときはまだ車輪による走行で、浮上走行開始は同年5月30日だった。その約1年後、1998年5月17日に初の試乗会が開催された。試乗会に使用された車両は山梨リニア実験線用に開発された「MLX01」。走行試験では最高速度550km/hを達成済みだったが、試乗会では最高速度450km/hで走行したという。

当時の試乗会は、実験線建設の理解を求めるために地元の人々を招待するケースや、JR東海および山梨県が公募し実施するケースなどがあった。公募の場合は抽選制で料金は不要だった。山梨県主催の試乗会は現在も開催されており、応募資格は山梨県民に限定されている。ただし、2015年に山梨県リニア見学センターの1周年を記念した体験会の募集が行われたことがあり、このときは県外の人も応募できた。もっとも、応募手続きは来館時に行う必要があり、遠方からの参加は難しそうだった。

2003年4月18日の試乗会から最高速度500km/hとなった。その後、2003年7月26日に試乗会参加者がのべ5万人に到達し、記念の盾が配布された。その2年後、2005年8月6日に開催された351回目の試乗会にて、参加者がのべ10万人を超えた。このときは記念乗車証が配布されたという。2009年4月3日から新型車両L0系の走行試験が始まった。営業用仕様の量産先行車という位置づけで、現在の試乗会もL0系で実施されている。

リニアに試乗したVIPとしては、2001年1月26日には秋篠宮殿下・同妃殿下がご試乗され、2005年1月29日には皇太子殿下もご試乗されている。米国への売り込みをアピールするため、2013年11月に米国の元上院議員トム・ダシュル氏や元ニューヨーク州知事のジョージ・パタキ氏などが試乗した。2014年4月には安倍首相とケネディ駐日大使、2015年6月に米国東部メリーランド州のラリー・ホーガン知事が試乗している。

超電導リニアの試乗会は17年間も開催されている。ここまで来ると「電導」ではなく「伝統」の域に達している。「超伝統」にならないように予定通り開業してほしい。

※画像は本文とは関係ありません。

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