鉄道の信号機も道路の信号機も「赤」「黄」「青」を使う。でもよく見ると切り替わる順序が違う。道路の信号機は「赤→青→黄→赤」だけど、鉄道信号機は「赤→黄→青→赤」。この違いは、それぞれの信号機の役割に由来する。「赤」「青」の意味はほぼ同じだけど、「黄」の意味がちょっとだけ違う。色が切り替わるきっかけも違っている。

道路の信号機と鉄道信号機の違いは?(写真はイメージ)

道路信号についておさらい

子供の頃、交通安全教室で、「赤はとまれ」「黄はちゅうい」「青はすすめ」と教わった。しかし運転免許取得などで法令を学ぶと、正しい意味はちょっと違う。道路での「赤」は、「歩行者は横断してはいけない」「車両は停止位置を超えてはいけない」である。

「黄」は、「歩行者は横断を始めてはいけない」「車両は停止位置から先へ進んではいけない」である。黄信号も、「交差点進入禁止」という意味では赤信号とほぼ同じであることに気をつけよう。ただし黄信号の場合、「黄色になった時点で安全に停止できない場合は進んでも良い」となる。急停止して追突したほうが危険だから、黄色のときだけは無理して止まらなくても良い、ということになる。

「青」は、「すすめ」と説明されることが多いけれど、実際には「進んでも良い」である。「進む権利が与えられた」ではなく、「他の交通状況に問題なければ進んで良し」という意味。これも詳しくは、「歩行者は横断して良い」「車両は直進・左折・右折して良し。ただし、2段階右折を義務づけた車両は右折する地点まで進んで良し」となる。

道路の信号機の意味

よって道路の信号機は「青」→「黄」→「赤」→「青」の順となる。黄信号は「進んで良い」と「止まれ」の間にあって、赤信号に変わる予告のようなはたらきをする。車を運転していて信号機が見えたら、「青から黄に変わったらブレーキをかけ始める。交差点手前で赤になったら停止。黄色のままで、後ろの車が接近していれば進む」となるだろう。

鉄道信号機の色にはどんな意味がある?

鉄道信号機の色の意味は、道路の信号機とはまったく異なる。よく見かける「駅と駅の間にある信号機」の場合、「赤」は「止まれ」だが、その意味するところは、「この先の区間に列車があるから入るな」である。

「黄」は「減速せよ」だ。詳しく言えば、「2つ先の区間に列車がいる。次の信号は赤だ。そこで止まれる速度で走れ」となる。道路の場合の「黄」は「原則として止まれ」だが、鉄道の場合は「止まれる速度で走れ」の意味合いがある。「青」は「進行」だ。詳しくは、「2つ先の区間まで他の列車はいない。指定速度で進行せよ」となる。

このような「駅と駅の間にある信号機」の一般的なものを、「閉塞信号機」という。「閉塞」とは、ひとつの区間にひとつの列車しか入れないという意味。追突や正面衝突を防ぐためのしくみで、日本の鉄道の安全システムの基本になっている。鉄道線路は閉塞された区間が連続し、その区間ごとの状態を示すのが閉塞信号機ということになる。

日本の鉄道の一般的な閉塞信号機のしくみ

ある閉塞区間(A)の状態を示す閉塞信号機が「青」のとき、列車は閉塞区間(A)へ進む。これにより、区間内に列車が存在した状態になるので、それまで「青」だった閉塞区間(A)の信号機は、「この先の区間に列車があるから入るな」つまり「赤」に切り替わる。

この列車が次の閉塞区間(B)へ進むと、閉塞区間(A)に列車はなく、閉塞区間(B)に列車がいる状況になる。それまで「赤」だった閉塞区間(A)の信号機は、「次の赤信号で止まれる速度で走れ」つまり「黄」になる。

さらに列車が進み、閉塞区間(A)より2つ先の閉塞区間(C)に入ると、その次に来る列車は閉塞区間(A)で減速する必要がなくなる。だから閉塞区間(A)の信号機は「青」に。結果として、この閉塞信号機の色は「青」→「赤」→「黄」→「青」と切り替わったことになる。ひとつの信号機に注目した場合、道路の信号機とは色の順番が違うというわけだ。

ただし列車の運転士から見ると、通過していく信号機の色は、「青」→「黄」→「赤」の順番になっている。「赤」は「止まれ」、「黄」は「減速」、「青」は「進行」。自動車のドライバーに近い感覚になっているようだ。